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私立大学の入学金はどう変わる?文科省が見直しを要請【2026年度から】

私立大学の入学金はどう変わる?文科省が見直しを要請【2026年度から】 教育・育児
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文部科学省は2025年6月、私立大学の入学金の納付方法を見直すよう全国の私立大学に通知を出しました。これは、受験生が複数の大学に合格した際に、進学しない大学にも入学金を支払わなければならない「二重払いの負担」を軽減するためのものです。

今回の通知は、2026年度入学者を対象とした入試から対応するよう求められています。私立大学は、今年(2025年)の秋ごろを目途に、具体的な制度設計を進める必要があります。


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私立大学入学金「二重払い」はなぜ問題なのか?

私立大学の入学金は、入学手続き時に納付が求められる費用で、一般的に20〜30万円程度かかります。この入学金は、一度納付すると返還されないのが原則です。

しかし、現在の入試制度では次のような状況が生まれています。

  • 私立大学の合格発表は早い(推薦入試・総合型選抜など)
  • 国公立大学の合格発表は遅い
  • 受験生は第一志望である国公立の合否を待たずに、私立大学の入学金を納付する必要がある

この結果、国公立大学に進学が決まっても、私立大学に支払った入学金は戻ってこないという事態が発生しています。

文部科学省の調査によると、2023年度に入学した学生の約23.5%が、最終的に進学しなかった大学に入学金を支払っていたことがわかっています。この割合はここ数年で大きく変動しているわけではありませんが、「依然として高い割合が続いている」ことが問題視されています。


文科省が要請した入学金負担軽減策

文科省は私立大学に対し、以下の3つの見直し策を提案しています。

① 入学金の一部先払い・残額後納制度

合格した時点で入学金の一部だけを先に支払い、進学を決定した段階で残りを納付する制度です。
これにより、辞退した場合の負担が最小限に抑えられるようになります。

② 入学金の分割納付制度

納付期限を複数回に分ける方法も推奨されています。これにより、家計の一時的な負担を減らし、進学先が確定するまでに無理なく支払いを進めることが可能になります。

③ 入学金の返還制度

入学を辞退した場合でも、条件によって入学金を返還する制度の導入も検討されています。
たとえば、「代わりとなる入学者が確保できた場合」や「辞退の時期が早い場合」などが返還条件となる可能性があります。


制度変更はいつから?

今回の通知は2026年度入学者の入試からの適用を目指しています。
つまり、2025年秋ごろまでに私立大学側が検討を完了し、2026年度入試の募集要項で新しい制度を発表することが想定されています。


大学側の懸念と今後の課題

私立大学にとって入学金は、運営費の一部や繰り上げ合格の事務手続きの費用をまかなう重要な収入源でした。
これまでは「入学金は返還不要」とする2006年の最高裁判決に基づいて運営されてきたため、大学側は経営リスクを懸念しています。

大学ジャーナリスト・石渡嶺司氏によれば、今後は辞退者が多い大学ほど、入学金返還に伴う経費を学費に転嫁する可能性があると指摘されています。出典:Yahooニュースのコメント

その結果、授業料の値上げや一般入試の合格者数の抑制が起こり、入試の競争が激しくなることも予想されています。

私立大入学金の負担軽減を 文科省 - Yahoo!ニュース
文部科学省は26日、全国の私立大に対し、合格者が納付する入学金の負担軽減を検討するよう求める通知を出した。近年は入試の多様化で複数の大学に合格して入学金を納付するケースが増えており、改善を求める声が

受験生・保護者にとってのメリット

今回の制度見直しは、受験生と保護者にとって次のようなメリットがあります。

  • 家計負担の軽減:入学金の一括納付が不要になることで、進学先決定までの出費が抑えられます。
  • 進路選択の自由:お金の心配が減ることで、滑り止め校を積極的に受験できるようになります。
  • トラブル回避:入学金返還ルールが明確になれば、納付後の辞退も安心して選択できるようになります。

受験生が気をつけたいポイント

新しい入学金制度が導入された場合、受験生や保護者は次の点に注意しましょう。

  • 大学ごとに支払い方法や返還条件が異なる可能性が高い
  • 納付期限や辞退可能な時期をしっかり確認することが重要
  • 一部先納金が返還対象外になる場合もあるので、細かいルールを事前にチェックする必要がある

情報は常に最新の大学募集要項や公式サイトを確認し、納得したうえで受験校を選ぶことが大切です。


まとめ

  • 文科省は2026年度入学者向けの入試から、私立大学入学金の分割納付や返還制度の導入を要請しました。
  • 二重払いが増加したわけではなく、依然として高い割合が続いている状況です。
  • 私立大学は、2025年秋までに制度変更を検討し、新たな納付ルールを提示する見込みです。
  • 家計負担軽減や進路選択の自由度向上が期待される一方で、学費の見直しや入試の競争激化も予想されます。

今後の動きに注目を

今回の文科省の通知は、入試制度の公平性と受験生の経済的負担に向き合った大きな方針転換です。

実際にどのような納付制度が導入されるかは、大学ごとの判断に委ねられるため、受験生と保護者は引き続き情報収集が必要です。
本記事でも、各大学の対応状況が明らかになり次第、最新情報をお届けします。

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