渋谷区でポイ捨てに2000円の罰則スタート!新条例が変える「まちのルール」

渋谷区でポイ捨てに2000円の罰則スタート!新条例が変える「まちのルール」 時事・ニュース
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2026年6月1日、東京・渋谷区でひとつの新しいルールが動き出しました。ごみをその場に捨てる「ポイ捨て」が確認された場合、区の巡回指導員がその場で2000円の過料を徴収するというものです。

渋谷・原宿・恵比寿といった国内外から多くの人が訪れる繁華街を抱えるこの街では、コロナ禍が明けて来街者が急増するなか、路上に散乱するごみが深刻な問題となっていました。

「モラルに訴えるだけでは、もはや限界」と区が判断した今回の取り組みは、単なる罰則強化にとどまらず、コンビニや飲食テイクアウト店へのごみ箱設置義務化など、ごみを「出す側」と「売る側」の双方に責任を求める大きな制度改革でもあります。

この記事では、条例改正の背景から具体的なルールの内容、事業者や観光客への影響まで、わかりやすく解説します。


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なぜ今、渋谷区はポイ捨て罰則を強化したのか

渋谷区のポイ捨て対策の歴史は意外と長く、1997年に「きれいなまち渋谷をみんなでつくる条例」を制定したことに始まります。当初は刑事罰としての「罰金」を設けていましたが、手続きが複雑で実効性を確保できず、区によれば「適用実績はほぼなかった」のが実情でした。

状況が大きく変わったのは、コロナ禍が収束した2022年以降です。国内外からの来街者が急増するにつれ、ポイ捨てごみも急激に増加しました。渋谷区の人口は約24万人ですが、昼間人口はその2倍以上に膨らむとも言われており、特に渋谷駅・原宿駅周辺では路上のごみ問題が常態化していました。

区が2025年に実施した調査では、ポイ捨て者の内訳は外国人が52%、日本人が48%とほぼ半々。日本人も決して「他人事」ではないことが浮き彫りになりました。さらに区の巡回員による指導件数は月平均345件にのぼり、啓発活動だけでは改善に限界があることが明確になりました。

こうした実情を踏まえ、2025年12月10日に区議会で改正条例案が可決。2026年4月1日に条例が施行され、周知期間を経た6月1日から過料の徴収が正式にスタートしました。

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新ルールの具体的な内容――過料2000円の仕組みとは

ポイ捨てをした人への即時徴収

今回の最大の特徴は、「その場で」過料が徴収される点です。区内を24時間巡回する最大約50人の指導員がポイ捨て行為を現認した場合、その場で2000円を徴収します。支払い方法は現金のほか、キャッシュレス決済にも対応しています。

対象となるごみは、たばこの吸い殻・飲料缶・瓶・ペットボトル・容器包装・チューインガムのかみかす・包装紙など、散乱しやすいものが幅広く含まれます。対象エリアは私有地を含む区内全域です。

万が一その場で支払わなかった場合も、軽い罰則で済むわけではありません。過料は行政処分であり、未払いの場合は税金の滞納と同様に、預金の差し押さえなどの滞納処分が行われます。

事業者へのごみ箱設置義務化

今回の条例改正では、ポイ捨てをする側だけでなく、「ごみを生み出す側」への責任も明確化されました。コンビニエンスストア、テイクアウトができる飲食店、自動販売機を設置する事業者には、ごみ箱(回収容器)の設置が義務付けられます

対象エリアは、自動販売機については区内全域、飲食料テイクアウト販売については渋谷・原宿・恵比寿の繁華街エリアが対象です。設置しない場合や適切な管理を怠った場合、まず勧告・命令・事業者名の公表という段階を経て、それでも改善がみられなければ最大5万円の過料が科されます。

区の2025年調査によると、ごみ箱の設置率はファストフード(97%)、カフェ(80%)では比較的高いものの、飲料テイクアウト(47%)やキッチンカー(50%)は約半数にとどまっており、改善の余地が大きいことがわかります。


路上喫煙の先例が示す「過料の実効性」

今回の取り組みにはすでに参考にできる実績があります。渋谷区では以前から路上喫煙に対する過料を導入しており、昨年度の処分件数は約2万7000件にのぼりました。この路上喫煙対策で培った巡回体制やノウハウ、多言語対応の指導スキルを、そのままポイ捨て対策に活用する方針です。

罰金(刑事罰)から過料(行政罰)への切り替えが鍵で、刑事罰は手続きが重く実質的に機能しにくいのに対し、行政罰である過料はその場での徴収が可能で、抑止効果が直接的です。路上喫煙の実績が証明するように、「見つかればすぐ支払う」という仕組みが行動変容を促す力は大きいと考えられています。


観光客や事業者の反応――施行1か月で見えてきた課題

条例の施行から1か月が経過した時点で、さまざまな声が上がっています。

外国人観光客からは「ルールを知らなかった」という声が多く聞かれました。「罰則自体に反対ではないが、まず十分な周知が必要」「案内表示があった方がいい」といった意見は、制度の浸透にはまだ時間が必要であることを示しています。

一方、ごみ箱設置を義務付けられた事業者からは負担の大きさを訴える声もあります。ある飲食店では、設置したごみ箱に自店舗とは無関係のごみまで捨てられてしまい、毎月のごみ処分費用が8万〜10万円にのぼるケースも報告されています。「条例施行後のサポートをしっかりしてほしい」という現場の声は、制度の設計と運用の両面で引き続き改善が求められることを示しています。

また、深夜の清掃に携わる業者からは「条例の存在を知らない人が多く、ごみの量に大きな変化は感じられない」という声も聞かれており、周知と実績の積み上げにはさらなる時間が必要な状況です。


渋谷区を訪れる際に知っておきたいこと

渋谷区を訪れるすべての人に関わるルールをまとめます。

ポイ捨てをしない:飲み終わったペットボトルや食べ終わった包装紙などは、必ず指定のごみ箱に捨てるか、持ち帰りましょう。買った店のごみ箱を利用することも推奨されています。

ごみ箱がなければ持ち帰る:区は「自分のごみは自分で持ち帰る」という原則を基本としています。ごみ箱が見当たらない場合は、持ち帰るか、購入した店舗に引き取ってもらいましょう。

知らなかったでは通じない:路上喫煙と同様、「条例を知らなかった」という弁明は認められません。訪問前にルールを確認しておくことが大切です。


まとめ――「きれいな渋谷」は誰がつくるのか

渋谷区の今回の取り組みは、罰則という手段を使いながらも、その根底にある問いは「街をきれいにする責任は誰が担うのか」という点にあります。購入者は自分のごみを責任を持って処分する。事業者はごみを生み出す側としてごみ箱を設置する。区はルールを整え、巡回によって実効性を担保する。こうした「三者の役割分担」を明確にしたのが、今回の条例改正の本質といえるでしょう。

モラルや啓発だけでは維持できなくなった街の清潔さを、仕組みとルールで支えようとする渋谷区の姿勢は、観光地化が進む日本の多くの都市が直面する課題への、ひとつの現実的な答えかもしれません。渋谷を訪れる際には、ぜひこのルールを頭に入れて、きれいな街づくりに参加してみてください。

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