2026年8月19日、千葉県警は「撮り鉄」グループに所属する14〜17歳の中高生の少年7人を、威力業務妨害や偽計業務妨害、鉄道営業法違反などの疑いで書類送致し、捜査を終結したと発表しました。
少年たちは電車の非常用ドアコックを操作してドアを開閉させ、運行を妨害したなどの疑いが持たれています。いずれも容疑を認めているとのことです。
何が起きたのか
千葉中央署によると、7人は2026年4月9日から5月9日にかけて、複数人または単独でJR蘇我駅や東京駅などにおいて、非常用ドアコック内のスイッチを操作し、電車のドアを開閉させて運行を妨害しました。
それだけでなく、茨城県や埼玉県内の踏切に侵入するなどして電車を遅延させた疑いも持たれています。神奈川県内でも同様の行為が確認されており、被害は東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県、茨城県の1都4県に及ぶ広域なものでした。裏付けられた事件は合計9件にのぼります。
事の発端は、今年5月8日にJR東日本の職員が千葉県警に相談したことでした。駅で停車中の電車内の非常用ドアコックを操作して電車を遅延させた人物が、改札を突破して逃走する事案が相次いでいるという内容です。
これを受けて県警鉄道警察隊が駅の警戒を強めたところ、5月10日、四街道市のJR物井駅で少年1人(14)を現行犯逮捕しました。その後、押収したスマートフォンの解析や関係者への聞き取りを重ねた結果、残る6人も浮かび上がり、今回の7人全員の立件に至ったということです。
少年たちの供述
7人は地元の知人やSNSを通じてつながった撮り鉄グループで、LINEなどを使って犯行の様子を撮影した動画をやり取りしていたといいます。調べに対しては、次のように話しているとのことです。
- 「鉄オタ仲間に見せる動画作りや話題作りだった」
- 「電車を止めることでどれくらい遅延させたかを競っていた」
- 「電車が遅れた理由が自分であることを自慢したかった」
電車を止めること自体が目的化し、遅延時間の長さを仲間内で競い合うゲーム感覚で行われていた実態が浮かび上がっています。
余罪も多数発覚
捜査の過程では、電車の運行妨害以外の余罪も明らかになりました。少年のうち5人は5月9日、東京モノレールで1人あたり920円分の不正乗車をした疑いが持たれています。
また、埼玉県久喜市の少年(15)は、撮影現場に向かうために約2万円相当の自転車を盗んだほか、仲間内で食べるための菓子18個(計4863円相当)を盗んだ疑いも持たれています。
なぜ問題なのか
非常用ドアコックは、火災や事故など緊急時に乗客が安全にドアを開けて避難するための装置です。これを娯楽目的で操作する行為は、単なる悪ふざけでは済まされません。電車の遅延は同じ路線を利用する多くの乗客の予定を狂わせるだけでなく、後続列車や接続路線にも影響を及ぼし、鉄道会社の運行体制全体に大きな負担をかけます。
さらに、踏切の遮断機が下りている最中に立ち入る行為は、一歩間違えば重大な事故につながりかねない極めて危険な行為です。撮影や話題作りという動機は、社会に与える実害の大きさとまったく釣り合っていません。
今回の事件は少年たちがSNSでつながり、動画を共有しながら「競争」をエスカレートさせていった点にも特徴があります。仲間内の承認欲求が、公共交通という多くの人の生活を支えるインフラへの妨害行為へと直結してしまった構図が見えてきます。
まとめ
千葉県警による今回の書類送致は、撮り鉄の一部が起こしてきた迷惑行為の延長線上にありながら、非常用設備の操作という一線を越えた事案として重く受け止める必要があります。鉄道は多くの人が日常的に利用する公共インフラであり、その安全と定時運行は多くの関係者の努力によって成り立っています。趣味や仲間内での自己満足のために、その仕組みを揺るがす行為が許されないことを、今回のニュースは改めて示していると言えるでしょう。

