ハクビシンが都会に増殖中!感染症リスクや家屋被害、正しい対処法は?

ハクビシンが都会に増殖中!感染症リスクや家屋被害、正しい対処法は? 時事・ニュース
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東京の住宅街で、電線の上をすいすいと歩くハクビシンの姿が目撃されています。高円寺や杉並区、大田区など都心部での出没情報は年々増加し、2024年度には東京23区だけで300匹以上が捕獲されたと報告されています。

愛らしい顔立ちとは裏腹に、屋根裏への侵入による住宅被害や、感染症のリスクをはらむ厄介な外来種として、各自治体が対策に頭を悩ませています。

この記事では、ハクビシンとはどのような動物なのか、なぜ今都心で増えているのか、そして万が一遭遇したときにどう対処すべきかを、わかりやすくまとめました。


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ハクビシンとはどんな動物?その生態と見た目の特徴

ハクビシン(白鼻芯)は、ジャコウネコ科ハクビシン属に分類される哺乳類です。名前のとおり、鼻筋から額にかけて白い線があるのが最大の特徴で、一度見たら忘れられないユニークな顔をしています。

体長はおよそ50〜70cm、尾の長さが40〜65cmほどあるため、全長は90〜135cmにもなります。体重は3〜6kg程度で、ネコのような細身の体つきと長い尾を持ち、木登りや電線渡りが得意です。

食性は雑食で、果物や昆虫、小動物のほか、家庭から出る生ごみも好んで食べます。基本的には夜行性ですが、最近の都市部では昼間に目撃されるケースも増えており、人への警戒心が薄れていることがうかがえます。繁殖力もある程度高く、1度に1〜4匹の子どもを産みます。


ハクビシンはいつから日本にいるのか——外来種をめぐる謎

ハクビシンが「外来種か在来種か」という議論は、長年にわたって続いてきました。

江戸時代の絵図に、ハクビシンに似た動物(妖怪「雷獣」のモデルとも言われる)が描かれているとする説もあり、一部では古くから日本に生息していた可能性も指摘されていました。

しかし、近年行われたDNA解析の結果では、日本のハクビシンは台湾から持ち込まれたとする説が有力になっています。毛皮利用を目的として戦時中に台湾から輸入されたとも言われており、その一部が野生化して全国に広がったと考えられています。

現在、国や多くの自治体では「外来種」として扱い、「重点対策外来種」にも指定されています。これは、在来の生態系を乱したり、農作物や住宅に被害を与えたりするおそれが高いと判断されているためです。ハクビシン科(ジャコウネコ科)の化石記録が日本には存在しないことも、外来種説の根拠のひとつとなっています。


なぜ今、東京でハクビシンが増えているのか

東京都環境局によると、ハクビシンの相談件数(目撃情報や被害情報)は区部・多摩地域ともに年々増加しており、現在は多摩地域だけでなく23区のほぼ全域に広く分布していると考えられています。東京23区内だけで1,000頭以上が生息していると推定されており、その数はタヌキを上回るほどに達したという報告もあります。

増加の背景には、いくつかの要因があります。

天敵がいない都市環境: 山間部にはキツネやタカ・フクロウなどの猛禽類という天敵がいますが、都市部にはそうした肉食獣が少なく、ハクビシンが安心して活動できる環境になっています。野生動物の専門家は「都心は外敵がいないため、ハクビシンの警戒心がどんどん薄れている」と指摘しています。

空き家の増加: 近年、都内では空き家が増加しており、老朽化した住宅の屋根裏や床下がハクビシンの格好の巣場所となっています。一度住みつくと同じ場所で排泄を繰り返すため、除去が難しくなります。

豊富な食料: 雑食性で適応力が高いハクビシンにとって、生ごみが豊富な都市部は「食の宝庫」です。家庭菜園の野菜や果物、外の金魚鉢まで、ありとあらゆるものが餌になります。


ハクビシンによる住宅・農作物への被害

ハクビシンが引き起こす被害は、大きく「住宅被害」と「農作物被害」に分けられます。

住宅への被害: 屋根裏に巣を作り、決まった場所で排泄を繰り返すため、糞尿が天井板に染みこんで腐食が進みます。最悪の場合、天井板が腐り落下するほどのダメージになることもあります。また、断熱材を引き裂いたり、配線をかじったりする被害も報告されています。足音や鳴き声による騒音被害も深刻で、特に夜行性のため夜中に動き回る音が睡眠の妨げになることがあります。

農作物への被害: 柿・ブドウ・スイカ・トウモロコシなど甘い果実や野菜が特に狙われます。農家だけでなく、家庭菜園をしている都市住民も被害を受けています。


感染症・ペットへの影響——見た目の可愛さに惑わされないで

ハクビシンが近くにいることのリスクとして、感染症の問題は見逃せません。

人への感染リスク: ハクビシンの糞尿には、トキソプラズマ・レプトスピラ症・サルモネラ菌・E型肝炎ウイルスなど、人体に有害な病原体が含まれている可能性があります。特に免疫力の低い高齢者や小さな子ども、持病のある方は重篤化しやすいため注意が必要です。

また、ハクビシンの体表に寄生するノミ・ダニを介して、日本紅斑熱・ツツガムシ病・SFTS(重症熱性血小板減少症候群)などに感染するリスクもあります。疥癬(ヒゼンダニによる皮膚病)もハクビシンを通じて人間やペットにうつる可能性があります。さらに、かまれた場合は狂犬病の感染リスクもゼロではないとされています(狂犬病は致死率が極めて高い感染症です)。

ペットへの影響: 特に注意したいのが「犬ジステンパーウイルス」です。これは感染力が強く致死性の高いウイルスで、犬や野生動物に深刻な影響を及ぼします。感染すると発熱・呼吸器症状・神経症状などが現れ、死亡率も高い病気です。ハクビシンがジステンパーウイルスを保有している可能性があるため、犬が直接接触したり、同じ空間にいたりすることで感染するリスクが生じます。

愛犬にはワクチン接種を欠かさず行い、ハクビシンに近づけないようにすることが重要です。猫についても、ノミやダニを介した感染症リスクへの注意が必要です。


ハクビシンを見かけたら——正しい対処法と駆除の方法

「可愛いから」と餌を与えたり近づいたりするのは非常に危険です。追い詰めたり驚かせたりすると、かみついたり引っかいたりすることがあります。見かけた場合は、まず安全な距離を保ち、近づかないことが最優先です。

自分でできる予防策: 生ごみは、屋外に放置しない。ネットだけでは防ぎきれないケースもあるため、しっかりと密閉できる容器を使用することが推奨されます。屋根裏や軒下の隙間をふさぐことも、侵入を防ぐ有効な対策です。

捕獲・駆除は専門家に: ハクビシンは鳥獣保護管理法の対象であり、無許可での捕獲は違法です。捕獲・駆除には都道府県知事または市町村長の許可が必要です。まずは居住する自治体の窓口(環境課や農業振興課など)に相談し、指示を仰ぐことが大切です。自治体によっては捕獲用のわなの貸し出しや、専門業者への補助制度を設けているところもあります。

屋根裏に侵入された場合: 専門の害獣駆除業者に依頼することをおすすめします。駆除後は侵入経路のふさぎ込みと、糞尿の清掃・消毒が必要です。放置すると腐食や悪臭が広がるだけでなく、再侵入の原因にもなります。


まとめ——身近な問題として捉えることが大切

ハクビシンは、その愛らしい外見から「珍しい動物が来た」と感じる方も多いかもしれません。しかし、住宅被害・農作物被害・感染症リスクと、実害は決して小さくありません。都市部での目撃情報は今後もさらに増えていく可能性があり、一人ひとりが正しい知識を持って行動することが大切です。

ハクビシンを見かけた場合は、近づかず、餌を与えず、自治体や専門業者に相談する——この3つを徹底するようにしましょう。地域全体で対策に取り組むことが、被害の拡大を防ぐ最善の方法です。

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