韓国でシャインマスカットの価格が急落 過剰生産でピーク時の3分の1に

韓国でシャインマスカットの価格が急落 過剰生産でピーク時の3分の1に 農業・漁業
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日本で開発された高級ブドウ「シャインマスカット」が、韓国で価格急落に直面しています。

韓国では栽培面積が約10年で20倍以上に拡大し、ブドウ生産の大きな割合を占めるまでになりました。しかし、生産量の増加によって供給過剰となり、農家の経営を圧迫しています。

日本から苗木が海外に流出したことも背景にあり、今回の問題は農産物の品種保護や輸出競争を考えるうえでも重要です。

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韓国でシャインマスカットの価格が3分の1に急落

2026年10月28日の西日本新聞の報道によると、韓国のソウル市内の卸売市場では、シャインマスカットの価格が大きく下落しています。2020年8~10月には2キロ当たり平均2万8532ウォン(約3400円)でしたが、2026年の同時期には8746ウォン(約1040円)となり、ピーク時の約3分の1まで落ち込みました。

シャインマスカットは、種がなく皮ごと食べられる手軽さや強い甘みが特徴です。韓国でも人気を集め、かつては高級ブドウとして高値で販売されていました。しかし、生産費が上昇する一方で販売価格が下がり、農家が十分な収益を確保することが難しくなっています。

同紙によると、2021年に就農した韓国中部の農家が、価格下落や生産費の上昇、借金返済の負担に苦しんでいたことも報じられました。韓国の農業団体も、今回の問題を個人だけの問題ではなく、多くの農家が直面する深刻な課題として受け止めています。

栽培面積が約20倍に拡大した理由

韓国でシャインマスカットの生産が急拡大した背景には、高い人気と収益への期待がありました。

韓国の栽培面積は、2016年には約278ヘクタールでしたが、2024年には約6300ヘクタールに拡大したと報じられています。約8年間で20倍以上に増え、ピーク時には生産量が約10万トンに達したとされています。韓国のブドウ栽培面積に占める割合も約4割となり、日本の栽培面積を上回る規模にまで拡大しました。

人気が高く、高値で売れる作物があれば、新たに栽培を始める農家が増えるのは自然なことです。しかし、多くの農家が同じ品種に集中すると、収穫期に出荷が重なり、市場に供給される量が需要を上回る可能性があります。

シャインマスカットの場合も、生産拡大によって供給過剰が進み、価格の下落につながりました。さらに、特定の品種に経営を依存していた農家は、価格が下がった際にほかの作物で損失を補うことが難しくなります。人気のある作物であっても、生産者が増え続ければ、高い収益を維持できるとは限りません。

日本からの苗木流出と品種登録の問題

シャインマスカットは、日本で開発されたブドウです。2006年に品種登録され、農研機構が育成した品種として知られています。

ところが、その後、日本から中国や韓国などに苗木が流出し、海外でも栽培が広がりました。韓国では2014年ごろから本格的な栽培が始まったとされています。

ここで重要なのが、植物の新品種を保護する「品種登録」の仕組みです。日本で品種登録をしていても、その権利が自動的に世界各国で認められるわけではありません。海外で育成者権を行使するには、原則として、それぞれの国や地域で必要な保護手続きを進める必要があります。

シャインマスカットは海外での品種登録が行われないまま普及し、海外で権利を確保する機会を失ったことが問題となりました。海外で十分な権利保護ができなければ、現地での無断栽培や増殖を制限することが難しくなります。

ただし、現在は日本国内でも対策が進められています。2021年には改正種苗法が施行され、登録品種の海外への持ち出し制限などが強化されました。こうした制度は、今後開発される新品種を保護するうえで重要な役割を担っています。

韓国産の輸出拡大で日本産との競争も激化

韓国では、国内の価格下落を抑えるため、海外への輸出を増やす動きも進んでいます。西日本新聞によると、韓国のシャインマスカット輸出量は2022年の1515トンから2025年には8252トンに増加しました。

国内で売り切れない生産物を海外市場に出荷できれば、販路を広げることにつながります。しかし、輸出先でも需要を確保できるとは限りません。韓国産の流通量が増えれば、海外市場で日本産と競合する場面も増えると考えられます。

日本にとっては、国内で開発した品種が海外で広く栽培され、競合する産地が形成されることになります。日本産のシャインマスカットを輸出する際にも、価格だけでなく、品質やブランド価値をどのように維持するかが課題となります。

シャインマスカットの価格急落から見える農業の課題

今回の問題は、苗木の海外流出だけで説明できるものではありません。韓国国内で栽培面積が急拡大し、生産が特定の品種に集中したことも、価格下落を招いた大きな要因です。

農業では、需要が増えている作物に生産者が集まる一方、栽培を始めてから収穫量が増えるまでには時間がかかります。その間に生産者が増え続ければ、需要の伸びを供給量が上回り、価格が下落することがあります。農家が安定した経営を続けるには、品種を分散させることや、需要を見極めながら生産計画を立てることも欠かせません。

また、日本で開発された農産物の品種を守るには、国内での品種登録だけでなく、海外での権利保護や流出防止の取り組みも重要です。新品種の開発には長い年月と費用がかかるため、開発者や生産者が正当な利益を得られる環境を整える必要があります。

韓国で起きているシャインマスカットの価格急落は、人気品種への生産集中が農家の経営を不安定にすることを示しています。同時に、日本の農産物を海外市場で守り、競争力を維持するためには、品種保護と生産・販売戦略の両方が重要であることを改めて示す事例といえます。

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