お笑い芸人の中山功太さんがABEMAの番組内で「10年間いじめられていた先輩がいる」と打ち明けたことをきっかけに、お笑いコンビ・サバンナの高橋茂雄さんへの疑惑がSNSで急速に広まりました。
当事者同士は話し合いの末に和解し、中山さんは「いじめ」という表現そのものを撤回しましたが、波紋はすでに大きく広がっていました。
高橋さんが2010年から16年にわたってCMキャラクターを務めてきたライオンの「ストッパ下痢止め」は、プロモーションへの活用を「当面見合わせ」と発表。企業がブランドを守るために下した判断の重さと、SNS時代における言葉の影響力を、改めて考えさせられる出来事となっています。
騒動のはじまり――中山功太さんの「告白」がSNSを揺るがす
2026年5月5日、お笑い芸人の中山功太さんがABEMAの番組「ナオキマンの都市伝説ワイドショー」に出演し、衝撃的な告白をしました。
「10年くらい、ずっといじめられた先輩がいる」という言葉は、実名こそ伏せられていたものの、「今めちゃくちゃ売れていて、皆さんも良いイメージを持っていると思う」という補足と合わせてSNSで瞬く間に拡散。ネット上では”犯人探し”が過熱し、その矛先の一つとしてお笑いコンビ・サバンナの高橋茂雄さんの名前が浮上しました。
中山さんはさらに、生放送直前に「こいつがやっているあの仕事、100万円もらってもやらへんわ」と言われたなどの具体的なエピソードも明かしており、その内容がリアルだっただけに、ネットの反応は加速度的に大きくなっていきました。

相方・八木真澄さんが声明を発表、高橋さん本人も謝罪
SNSでの憶測が広がる中、5月10日夜、サバンナの相方である八木真澄さんがXに長文の声明を公開しました。八木さんは高橋さんと中山さんの双方と話し合ったことを明かしたうえで、「今回のことで、世間の皆様や後輩たち、多くの方々にご心配や不快な思いをおかけして申し訳ありません。全てコンビであるサバンナの責任です」と謝罪しました。
また、当時の状況について、「中山功太とは20年前、大阪の番組で一緒でした。そのとき、相方のツッコミや発言にきついなと思う時があったが、攻撃するために故意的に言っているつもりはなかったと思う。でも、それで功太が傷ついてしまったのだから、100%茂雄に責任があると思っています」と丁寧に説明しました。
その後、高橋さん本人もXを更新し、「今回の中山功太との件について、多くの方々にご心配と不快な思いをおかけしてしまい、本当に申し訳ありません」と謝罪。「言い方やカラミが嫌な思いをさせていた」「未熟で受け取る側のことをしっかり配慮できていませんでした」と深く反省する言葉をつづりました。
中山功太さんが発言を撤回――「いじめ」という表現は「完全に不適切」
騒動はさらに大きな展開を見せます。5月12日、中山さん自身がXに長文を投稿し、「いじめられていた」という表現について「完全に不適切でした。謝罪して撤回させてください」と発言を取り消したのです。
中山さんは、高橋さんとの電話での話し合いを経て「高橋さんに全く悪意がなかったとわかりました」と説明。高橋さんから「カラミ・イジリのつもりだった」という説明を受け、「当時の僕の被害者意識が過剰だったかもしれません」とも振り返りました。また、「バラエティ番組内の発言として、『いじめ』ではなく『昔嫌いだった芸人』と言うべきでした」と反省の弁を述べ、双方の和解も報告されました。
中山さんは投稿の中で「自分で蒔いた種ですが、日々その言葉を使ったネットニュースを目にし、後悔の念で押し潰されています」とも胸の内を明かしており、一つの言葉がいかに大きな影響を持つかを改めて感じさせる内容でした。
ライオンの対応――「当面見合わせ」という重い決断
こうした当事者同士の動きと並行して、企業側も動き始めていました。
高橋茂雄さんは2010年から、ライオンの「ストッパ下痢止め」のCMキャラクターを務めてきました。「おなかが弱い芸人」としてバラエティ番組でトークをしたことがきっかけで起用されたといい、その後15年以上にわたって同製品の”顔”として親しまれてきた存在です。
ところが今回の騒動を受け、ライオンは5月11日の時点で「現在総合的に対応を検討しております」とコメント。さらに5月13日夜、J-CASTニュースの取材に対し「総合的に判断してプロモーションへの活用は当面見合わせています」と正式に回答しました。
実際、5月13日の朝時点では「ストッパ下痢止め」の公式サイトに高橋さんの写真やCM映像が掲載されていましたが、同日19時30分ごろには高橋さんの写真もCM映像も公式サイトから消えていました。中山さんによる発言の撤回と和解の報告があったにもかかわらず、ライオンが「当面見合わせ」という姿勢を崩さなかった点は、企業のブランドイメージ管理の厳しさを改めて示すものといえます。
「当面見合わせ」が意味するもの――企業にとってのCM起用とは
今回のライオンの対応は、芸能人の不祥事・炎上に対する企業姿勢の難しさを浮き彫りにしています。
中山さん自身が発言を撤回し、「いじめ」という認識を否定したうえで、当事者間の和解も成立しました。それでもライオンが「当面見合わせ」を選んだのは、一度でもブランドイメージと結びついた負のイメージが、消費者の心の中に残り続けることへの懸念があったからでしょう。
「ストッパ下痢止め」は急な下痢への素早い対応をウリにした医薬品です。商品の特性上、ユーザーからの信頼が特に重要であり、CMキャラクターへの好感度が購買意欲に直結しやすい面があります。たとえ当事者間で和解が成立していても、企業としては「まだ世間の目が落ち着いていない」と判断し、慎重な態度をとることは珍しくありません。
また、こうした対応は「芸能人のスキャンダルに対して企業がどう向き合うか」という社会的なメッセージを発信する意味合いもあります。「問題が起きたとき、きちんと対処する企業である」というイメージの維持は、長期的なブランド戦略のうえでも欠かせない要素です。

高橋茂雄さんをめぐる今後の活動への影響
今回の騒動で懸念されているのは、CMだけではありません。高橋さんはNHK Eテレの「将棋フォーカス」の司会を務めるほか、子ども向け番組「みいつけた!」での声の出演も担っています。特に子どもを対象にしたコンテンツへの影響は、視聴者からの関心が高く、NHKは「変更はありません」とコメントしているものの、今後の動向を注視する声は少なくありません。
SNS上では「イジメはさすがに印象が悪すぎる」「すっかり陰湿なイメージがついた」という批判的な意見もある一方で、当事者同士が話し合いをして和解したのに批判し続けることへの疑問を呈する声もあり、世論は二分されています。
まとめ――SNSの拡散力と、言葉の重さ
今回の一連の出来事は、いくつかの重要な教訓を私たちに残してくれます。
まず、SNSにおける情報の拡散スピードと影響力の大きさです。名前を伏せた発言であっても、状況の説明や補足情報があれば、あっという間に特定が進んでしまいます。「誰かのことを話したいが名前は出したくない」という意図であっても、現代のSNS環境ではそれが必ずしも守られるとは限りません。
次に、「言葉の選び方」の難しさです。中山さん自身が振り返ったように、「いじめられていた」という表現は一人歩きし、本人の意図とは異なる形で世間に伝わってしまいました。バラエティ番組の空気感の中で「嫌いな先輩」「つらかった先輩」という文脈で語るべき内容が、「いじめ」という強い言葉によって全く別の意味合いを持ってしまったのです。
そして、芸能人のスキャンダルに対する企業の姿勢の一端が、今回のライオンの対応によって示されました。15年以上続いてきた関係であっても、ブランドの信頼を守るためには迅速かつ慎重な対応が求められる、ということを改めて感じさせる出来事でした。
今後、高橋茂雄さんとライオンの関係がどうなっていくのか、また高橋さんの芸能活動全体にどのような影響が及ぶのか、引き続き注目が集まりそうです。
