学歴を題材にした企画で知られるYouTuber・wakatte.tvが、福島大学を取り上げた動画をめぐって大きな批判を浴びています。
出演者の発言がきっかけとなり、福島大学は学長名で異例の声明を発表、YouTuber側も謝罪に追い込まれる事態となりました。ここでは、これまでの経緯と双方の対応を時系列で整理します。
「学歴厨」ネタで人気を集めてきたチャンネル
wakatte.tvは、出身大学や偏差値を街頭でストレートに突っ込む企画で知られ、いわゆる「学歴厨」というネットスラングと結び付けて語られることが多いチャンネルです。
学歴厨とは、出身大学や偏差値の高さを過度に重視し、それによって人の価値や能力を測ろうとする人を揶揄するインターネット発の言葉です。
同チャンネルの出演者は、京都大学出身の高田ふーみんと早稲田大学出身のびーやまの2人で、高田が学生の学歴を容赦なくいじり、びーやまが制止役として突っ込むという掛け合いが持ち味になっています。チャンネル自体は「絶対にこんな大人になるな」という皮肉を込めた企画だと標榜していますが、行き過ぎた表現として度々物議を醸してきた経緯もありました。
発端は8月28日公開の動画
問題となったのは、wakatte.tvが8月28日に公開した「【入試ラクすぎ?】国公立最下位!?震災復興・放射線研究から驚きの入試事情まで!福島大学キャンパス調査!」というタイトルの動画です。
今回の動画でも同様の流れで福島大学の学生にインタビューが行われましたが、そこで大きな問題が生じました。
「福島大には触らせたくない」発言の中身
インタビューに応じた男子学生が、福島大学ならではの研究として放射能研究に触れた場面がありました。これは、福島大学が東日本大震災と東京電力福島第一原発事故を受けて2013年に環境放射能研究所を設立するなど、長年取り組んできた分野です。
これに対して高田は「放射能とか原子力ってエネルギーで超重要な問題なわけですよ」と切り出したうえで、「福島大には触らせたくない」と発言しました。この一言が、震災や原発事故の被害、そして福島大学の研究や学生を軽んじる発言だとして、SNS上で瞬く間に拡散されることになります。
ある投稿は1000万回以上表示されるなど、批判は急速に広がりました。
動画は一時非公開に、注釈を加えて再公開
批判の高まりを受け、動画は8月31日に一度非公開となりました。ところがその後、問題の場面の前後に注釈テロップを加えたうえで、同日中に再び公開されるという対応が取られています。
テロップには、震災や原発事故の被害、福島大学の研究や学びを揶揄する意図は一切ないという趣旨の説明が加えられていました。しかし、この対応自体が「言い訳がましい」「火に油を注いだ」といった新たな批判を招く結果となりました。
福島大学が学長名で声明を発表
事態を受け、福島大学は9月1日、公式サイトに佐野孝治学長名の声明を掲載しました。声明では、本学を取り上げた動画において学生や教育研究活動に関し配慮を欠くと受け取られかねない発言があったことを確認しているとしたうえで、教育・研究活動に真摯に取り組む学生や教職員の尊厳が傷つけられることがあってはならないという考えを示しています。
佐野学長は取材に対しても、動画は不適切だと考えていると述べつつ、これまで大学として積み上げてきた復興に関する取り組みを軽んじられたという思いから声明を出したという趣旨の説明をしています。なお、大学として今後wakatte.tv側に直接抗議する予定はないとのことです。
高田ふーみんが謝罪、動画は削除
学長声明の発表を受け、高田ふーみんは同日夕方、自身のXを更新し謝罪の言葉を投稿しました。表現が言葉足らずで、意図とは異なる形で多くの人に伝わってしまったとして、福島大学の関係者に不快な思いをかけたことを詫びる内容です。
そのうえで、震災や原発事故を揶揄・差別する意図はなかったと重ねて説明しつつ、福島大学で原子力を学ぶ意義や、日々研究に取り組む学生への配慮が決定的に不足していたと自省する言葉も添えられていました。当該動画については削除したことを明らかにし、今後同様の事態を起こさないよう徹底するとしています。
SNSでの反応
今回の一件について、X(旧Twitter)上ではさまざまな意見が寄せられています。多く見られたのは、「福島大には触らせたくない」という発言の真意を具体的に説明してほしいという声で、揶揄する意図がなかったと繰り返すだけでは納得できないという指摘が目立ちました。
また、謝罪文で使われた「意図とは異なる形で伝わってしまった」という言い回し自体に対しても、本来伝えたかった内容が何だったのか分からないという疑問が寄せられています。
このほか、今回の動画に限らず、取材対象となる大学の学生や関係者への配慮がこれまでも不足していたのではないかという指摘や、年齢を重ねた出演者がいつまでも学歴ネタで注目を集めようとする姿勢自体に否定的な意見も見られました。批判的な声が中心を占める一方で、謝罪や動画削除といった対応を評価する投稿は目立たず、火消しには至っていない状況がうかがえます。
謝罪文になお残る疑問の声
一連の謝罪を受けても、SNS上の批判は完全には収まっていません。特に指摘されているのは、「意図とは異なる形で伝わった」という表現に対する疑問です。揶揄する意図がなかったのであれば、そもそも「福島大には触らせたくない」という発言にどのような真意があったのかが説明されていない、という声が多く見られます。
また、今回の動画に限らず、学生や大学関係者への配慮を欠いた企画が繰り返されてきたのではないかという、チャンネルの姿勢そのものへの疑問も上がっています。学歴をネタにする演出自体への批判も根強く、年齢を重ねた出演者がいつまでも学歴の話題で笑いを取ろうとする姿勢に違和感を覚える視聴者も少なくないようです。
まとめ
今回の騒動は、震災や原発事故という重いテーマを扱う大学に対して、軽い調子の企画で臨んだことのミスマッチが、批判の大きな要因になったと考えられます。福島大学側の毅然とした声明と、YouTuber側の謝罪という形で一区切りはついたものの、謝罪文の内容に納得していない視聴者が多いのが現状です。今後、同チャンネルがどのような企画方針を取っていくのか、注目が集まりそうです。

