滋賀県の琵琶湖周辺で今年8月22日に開催予定だった「琵琶湖三市同時花火大会」が、開催直前になって突如中止となりました。
高島市・長浜市・彦根市の3市が同時に会場となる異例の企画として注目を集めていましたが、地元3市は開催への関与を明確に否定しており、ネット上では「詐欺ではないか」との声も広がっています。
ここでは、この騒動の経緯と現時点で分かっている被害の実態を、報道各社の取材内容をもとにまとめます。
いつから、どのように告知されていたのか、主催者は?
公式サイトの情報によると、この大会のドメインは2025年12月に登録され、今年1月下旬から有料指定席チケットの販売が始まっていました。価格は7000円から1万9000円(システム利用料込み)で、「パノラマ席」「カップル席」など複数の席種が用意されていたといいます。
公式サイトでは「高島市・長浜市・彦根市の3市・3方向から同時に花火を打ち上げる」「1万発以上」「ナイトマーケット併設」などとうたわれ、シャトルバスや専用駐車場の運行も案内されていました。出店を希望する飲食店からは、1店舗あたり5万円の出店料が事前に徴収されていたことも分かっています。
主催者を名乗るのは「琵琶湖三市同時花火大会実行委員会」で、運営統括責任者は谷中康亮氏とされています。ただし、大規模な花火大会を運営した実績は公開情報からは確認しづらいという指摘もあります。
早い段階からあった違和感
会場の詳細はチケット購入者に対して開催の約1週間前をめどに個別連絡するという案内方式が取られていましたが、こうしたやり方は一般的な花火大会としては珍しく、以前からSNS上で「詐欺ではないか」と疑う声がちらほら上がっていたといいます。
さらに、公式サイトやSNSの文章には「お問い合わせ」の「問」の字が誤っていたり、掲載された琵琶湖の形が実際の地形と異なっていたりするなど、いくつもの違和感が指摘されています。
出店予定だったからあげ店の店主が保健所に申請へ行った際には、「花火大会については知らない」「申請が出ていない」と告げられたといい、この時点で不安は確信に近いものへと変わっていったと証言しています。また、今年5月に主催者側とやり取りをしたという花火師によれば、開催まで3カ月ほどしかない中で「今ある花火玉を寄せ集めてでもいい」と伝えたところ、資金面については「心配ない、お金はある」という趣旨の返答があったといいます。

3市が関与否定、そして中止発表へ
開催まで2週間ほどに迫った8月6日、会場とされていた高島市・長浜市・彦根市の3市が、そろって大会への関与を否定するという異例の発表を行いました。3市には事前に必要な申請等は一切なく、消防への火薬使用許可申請も確認されなかったとされています。
そして8月9日、主催者側は公式サイトとSNSを通じて突然の中止を発表しました。理由については「開催日までに大会を実施するために必要な準備・運営体制を整えることが困難であると判断した」と説明されており、延期や振替開催は行わず、今後の開催予定もないとしています。
返金はされるのか、詐欺には当たるのか
中止発表の中で、主催者はチケット購入者や出店者への対応について「法的専門家に相談しながら整理を進めている」としていますが、即時の全額返金は明言されていません。当面は個別の問い合わせにも応じない方針が示されており、購入者からは不安の声が広がっています。
元大阪地検検事の亀井正貴弁護士は、花火大会を開催する意思がないまま代金を受け取っていた場合には、詐欺罪に該当する可能性があると指摘しています。一方で実行委員会は取材に対し、「開催を前提として調整を進めていた」と説明しており、開催の意思がなかったのかどうかは、今後の返金対応や資金の使途が明らかになるかどうかにかかっていると言えそうです。
なお、特定商取引法に基づく表記上の所在地は滋賀県栗東市とされていましたが、主催者側はこれについて今年6月に使用を終えた旧所在地だと説明しています。
まとめ
「日本一安全で、日本一計画的」とうたっていた花火大会は、結果として開催13日前という直前のタイミングで中止となりました。会場となるはずだった3市が関与を否定し、必要な申請も確認されないまま高額なチケットや出店料が集められていた経緯を踏まえると、今後は返金対応の有無と、集められた資金の使い道が焦点になっていくとみられます。購入者や出店者にとっては、公式からの続報を注意深く見守る必要がありそうです。

