熊本県で最大震度7を観測した地震の発生からわずか1時間半後、福岡県議会の自民党県議団・松尾統章会長が北九州市内で政治資金パーティーを開いていたことがわかりました。
県議会では正副議長ポストをめぐる金銭授受疑惑が渦巻くさなかの開催で、松尾会長自身が「正直やってよかった」と語ったことが波紋を広げています。この記事では、パーティー開催に至る経緯、発言の真意、そしてSNSでの反応を時系列でまとめます。
パーティー開催までの経緯 地震発生の約1時間半後に強行
パーティーが開かれたのは7月28日午後6時、北九州市小倉北区のホテルでした。熊本県では同日午後4時半ごろに最大震度7の地震が発生しており、福岡県内でも震度5弱を観測した地域があったといいます。
松尾会長によると、受付は地震発生時点ですでに始まっており、午後5時には会場の扉が開き、参加者が入場していた状況でした。震度7という速報を耳にしながらも「取りやめる判断をする状況ではなかった」と説明しています。参加者はおよそ600人、会費は食事付きで1万5000円でした。
パーティーは二部構成で、前半は松尾会長自らが約30分にわたって県政報告を行い、後半は食べ放題・飲み放題のビアパーティー形式に。乾杯後にはものまね芸人による余興やアンコールも行われたと報じられています。
なぜこの時期に開催したのか 金銭授受疑惑への説明の場という位置づけ
福岡県議会をめぐっては、議長就任時に多額の金銭が渡されたとする疑惑が浮上し、高市総理や自民党県議団内部からも真相究明を求める声が強まっていました。松尾会長自身も、議長就任時に「お車代」を受け取ったと名指しされた一人です。
松尾会長は取材に対し「一連の報道について、きちんと説明したいという覚悟を持って開いた」と述べ、パーティーの場で「私は十数年前に議長に就任しましたが、その際、金銭授受は一切ありませんでした」と改めて否定しました。支援者から「頑張れ」という励ましの声を多く受け取ったことも、開催してよかったと感じた理由の一つに挙げています。
「やってよかった」発言は切り取りか 前後の文脈から見える真意
問題視されている「正直やってよかった」という発言ですが、報道各社が伝える発言全文を見ると、次のような文脈で語られています。
「私自身が決断をしました、やろうと。正直、やってよかったと思っています。今後の政治活動について、私自身の覚悟ができた」
つまりこの発言は、パーティーという催し自体を娯楽として楽しんだという意味ではなく、疑惑について自らの言葉で支援者に説明する機会を持てたことへの評価として語られたものです。
松尾会長は別の取材でも「支援者の方々にも相談して『自分の口でしっかりと多くの方々に今、あっていることを説明すべきではないか』と言われたのが決め手になった」と述べ、説明責任を果たす場だったと強調しています。
ただし、地震発生から間もない中でお笑い芸人の余興を含む飲食を伴う催しを続けたこと自体への批判は別問題です。松尾会長も後日、「お笑いの方は乾杯後の余興の中でのプログラムでして、今になったらそれは不適切だなと思わんでもない」と一部を反省する姿勢を見せています。つまり「やってよかった」という言葉そのものは切り取りというより、説明の場を持てたことへの評価であり、被災地への配慮を欠いた催しの内容全体まで肯定した発言ではないと見ることもできます。とはいえ、地震直後というタイミングでこの言葉を発したこと自体が、多くの人の反感を招いた事実は変わりません。
知事の批判と県議団内の「辞職」を求める声
福岡県の服部誠太郎知事は「こういう時に飲食を伴う会合を開くことは不適切ではないか」と述べ、開催そのものを疑問視しました。自民党県議団の内部からも「会長を辞職するべき」との声が上がっており、若手議員の中には「議員辞職にも値する」という厳しい意見も出ているといいます。松尾会長は7月30日の取材で、会長辞職について「今のところはない」と否定しました。
SNSの反応 「被災地への配慮を欠く」との批判が拡散
X(旧Twitter)では、この一件に対する厳しい声が相次いでいます。
- 「熊本で震度7の地震が発生し、死者や救助活動が続く中でパーティーを開催し、『やってよかった』と自画自賛するのは政治家として極めて軽率」といった投稿
- 企業献金をめぐる別の政治家の発言と重ね合わせ、「やっていることが変わらない」と皮肉る声
- 「被災者や救助に関わる人たちはやり切れないだろう」「平気でこんな発言ができるなんて良識を疑う」といった投稿
批判が強まった7月31日、松尾会長は自身のインスタグラムで「先日の『やってよかった』という私の発言により、多くの皆様に不快な思いとご心配をおかけしました。深くお詫び申し上げます」と謝罪文を投稿しました。しかしその後も厳しい意見が相次いでおり、事態の収束にはなお時間がかかりそうです。

まとめ
熊本地震発生の直後というタイミングで開かれた政治資金パーティーは、金銭授受疑惑への説明の場という位置づけであった一方、飲食や余興を伴う内容とタイミングの不一致が批判を招く結果となりました。「やってよかった」という発言は文脈上、説明の機会を持てたことへの評価と読み取れますが、その言葉遣い自体が被災地への配慮を欠くと受け止められ、謝罪に追い込まれています。県議団内での辞職論も含め、今後の動向が注目されます。

