静岡市清水区日の出地区で、河津町の体感型動物園 iZoo(イズー) を運営するレップジャパンが、新しい体感型水族館「Zoo Zoo Sea(ズー・ズー・シー)」を計画していることが明らかになりました。
白輪剛史社長は2025年5月30日の報道取材にて、「ペンギン、オットセイ、ウミガメ、アシカなど海の動物に極めて近く接し、子どもが飼育体験できる施設」と構想を説明しています。
清水港エリアに新たな水族館が登場か――「Zoo Zoo Sea」構想
Zoo Zoo Seaは、ペンギン、アシカ、オットセイ、ウミガメなどとの「ふれあい」を軸に、子どもから大人まで楽しめる体感型水族館を目指しています。年間30万〜50万人の来場を見込んでおり、港湾観光と連携したにぎわい創出が期待されています。
- 展示動物:ペンギン、アザラシ、ウミガメ、オットセイなどを想定 。
- 施設機能:飼育体験や博物館的学び、体験重視の構成。
- 子ども向けアプローチ:「海の動物たちを身近に感じ、世話ができる施設」を目指す。
- ロゴ発表:2025年6月10日、ペンギン、アザラシ、カワウソなどを配した躍動感のある親しみやすいロゴを発表 。

レップジャパンと白輪剛史社長による民間水族館構想「Zoo Zoo Sea」
この計画を手がけるのは、静岡県河津町で体感型動物園「iZoo(イズー)」や、カエル専門の展示施設「KawaZoo(カワズー)」を運営するレップジャパンです。
同社が運営する「iZoo」は、単なる動物展示にとどまらず、アカミミガメやアリゲーターガーなど、飼育放棄された外来種や特定動物の引き取りにも積極的に取り組む施設として知られています。教育・保護・啓発を一体化させたその運営方針は、動物福祉と環境保全の観点からも高く評価されています。
代表の白輪剛史(しらわ つよし)社長は、爬虫類・両生類に関する深い知識と優れた飼育技術を持ち、テレビ番組や講演会でも広く活躍する人物です。専門的な内容を、親しみやすくユーモアを交えて伝えるスタイルも魅力のひとつで、子どもから大人まで幅広い支持を集めています。
新たに構想されている水族館「Zoo Zoo Sea(ズーズーシー)」の名前にも、レップジャパンらしい遊び心が垣間見えます。英語で「動物園(Zoo)」と「海(Sea)」を組み合わせつつ、日本語の「ずうずうしい」との語感をかけたネーミングと考えられ、印象にも残りやすいユニークな工夫が光ります。
これは、「伊豆」の“iZoo(イズー)”や、「河津町とカエル(蛙=かわず)」を掛けた“KawaZoo(カワズー)”といった過去の施設名と同様、楽しく学べる空間づくりを意識した、同社の一貫した姿勢を象徴しています。
静岡市の海洋ミュージアムとの共存展望
静岡市は同じ日の出地区で「海洋・地球総合ミュージアム」を計画中。これはPFI方式で駿河湾の生物展示や博物館要素を兼ねた大型施設です。
静岡市の難波喬司市長も、「民間と市の施設が競合ではなく共存・相乗効果を生む」と明言。両施設が近接することで、清水港全体の集客力と海洋教育の質が大きく高まる可能性があります。Zoo Zoo Seaは市のミュージアムとは異なる「ショー型動物ふれあい機能」を担うことで、両施設が補完関係になるとの期待です。
静岡市「海洋・地球総合ミュージアム」計画の現況と課題
清水港日の出地区に、海洋と地球に関するエデュテインメント型施設をPFI手法で整備するプロジェクト。施設は水族館と博物館が融合したもので、駿河湾を軸にした展示を行い、東海大学・JAMSTECらとの連携によって、研究・教育・観光を一体化する構想です。
建設費は当初の93億円から154億円へと大幅に膨らんでおり、市は9月議会での補正予算案提出を予定しています。
※PFI(プライベート・ファイナンス・イニシアティブ)手法とは、公共施設などの整備・運営に、民間の資金やノウハウを活用する仕組みです。

遅延の要因
- 東海大学との協議の遅れ
魚種選定や飼育設備の仕様・維持費に関する調整が長引き、それだけで約7ヶ月の遅延が発生したとの試算もあります 。 - 地盤調査の齟齬
市と事業者の地質調査結果が異なり、杭設計の変更が必要になったという事情もあります。 - 資材価格高騰
整備費用が当初の約93億円から1.5倍に膨らむ見通しで、補正予算が不可欠となっています 。 - 補助金の期限
国交付金の要件として「今年度中の着手」が課されており、市は遅くとも年内には着手・増額を判断する必要に迫られています。
開館時期と予算
当初の目標は2026年4月開館でしたが、市長の見通しでは10ヶ月程度遅れる可能性が高く、実際には「2027年初頭〜春」まで開館はずれ込む見通しに。今年2月の補正予算で30億円を削減しつつ、さらなる財源を9月議会に提案する意向です。とはいえ、建設費用負担の折り合いもついておらず、計画の規模見直しや白紙撤回さえも選択肢として残ります。
クルーズ・フェリーとの連携で観光拠点へ
4月に駿河湾フェリーの新ターミナルが完成し、清水港エリアはクルーズ船寄港や港湾観光に向けてインフラ整備が進んでいます 。
Zoo Zoo Seaと市施設が完成すれば、学び・体験・観光が融合する「清水港の新しい文化軸」となる可能性があります。
期待される効果と今後の展望
- 年間来場者数:Zoo Zoo Seaは30万~50万人を想定 。
- 動態展開:白輪社長は「数年以内のオープン」を想定し、Zoo Zoo Seaは市施設より小規模で数十億円規模の投資としています。
- 市の対応:「駐車場や交通対策を整備する」意向も市長より示されています 。
まとめ:静岡市における体感型水族館構想の意味
静岡市清水区の日の出地区は、市主導の「海洋・地球総合ミュージアム」と民間主導の「Zoo Zoo Sea」が隣接して誕生しうる、日本でも珍しい体感型水族館コンビネーションエリアになります。
- レップジャパン/白輪社長の体験重視・教育重視の視点が反映されたZoo Zoo Sea。
- 静岡市施設は駿河湾の海洋生物を主軸とした研究観光型ミュージアム。
- 相互補完により、親子連れ・観光客・教育現場の幅広いニーズへの対応が期待できます。