OTC類似薬は保険外にならない方針へ 政府・与党が追加負担案で調整を加速

OTC類似薬は保険外にならない方針へ 政府・与党が追加負担案で調整を加速 時事・ニュース
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政府・与党は、湿布薬や保湿剤、抗アレルギー薬など、市販薬と成分や効果が似ている「OTC類似薬」について、当面は公的医療保険の適用を維持しつつ、処方された場合に追加の自己負担を求める方向で調整を進めています。医療費の抑制を図りつつ、患者の受診・治療が妨げられないようにするという“中間的な解決策”が採用されつつある状況です。

OTC類似薬を巡っては、医療費を大幅に削減する目的から、保険適用から除外して市販薬に誘導すべきだという意見もありました。しかし、慢性疾患や難病の患者など、処方薬を継続的に利用せざるをえない人々の負担増が懸念されることから、政府・与党は除外案をいったん見送り、「保険は残すが、追加負担を求める」という折衷案にかじを切りました。

OTC類似薬の保険外し見送りへ 政府・与党、利用者に追加負担を要求 - 日本経済新聞
政府・与党は12日、市販薬と成分や効果が似る「OTC類似薬」に関し、日本維新の会が求めていた保険適用からの除外を見送ると決めた。患者の支払額が増えすぎるケースに配慮して保険適用を維持した上で、一部に追加負担を求める方針だ。維新は現役世代の社...
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OTC類似薬とは何か

OTC類似薬とは、医療機関で処方される医療用医薬品のうち、市販薬(OTC医薬品)と同じ、あるいは類似の成分・効能を持つ薬を指すとされます。具体的には、湿布薬、解熱鎮痛薬、抗アレルギー薬、胃腸薬、保湿剤、一部の点眼薬などが該当します。

これらは軽症から中等症で利用するケースが多く、市販薬で代替できる場合もありますが、医師の判断のもとで処方される場面も多く、特に慢性的な症状を抱える患者にとっては重要な治療薬です。

なぜOTC類似薬の見直しが必要になったのか

背景にあるのは、増え続ける医療費です。日本の医療費は高齢化と高度医療の進展により増加し続け、国の財政を圧迫しています。政府は医療費の適正化を目指し、軽度な症状については市販薬での自己対応を促す「セルフメディケーション」の考え方を強化しています。

こうした流れの中で、「市販薬でも同じ成分の薬を買えるのであれば、処方薬に保険を適用する必要があるのか」という疑問が生まれ、OTC類似薬の保険適用を見直す議論が本格化しました。

OTC類似薬の保険適用からの除外案が見直された理由

当初は「OTC類似薬を保険適用外にし、市販薬へ誘導する」という強い案も示されました。しかし、この案には大きな問題があると指摘されました。

特に、以下のような点が課題となりました。

• 花粉症やアトピーなど、長期にわたって薬が必要な人の負担が増える
• 一部の薬は市販薬より医療用のほうが症状に合う場合があり、治療の質が低下するおそれ
• 経済的な理由で市販薬の購入や受診を控え、症状が悪化するリスク
• 高齢者や低所得者など、影響が大きい層が明確に存在する

こうした懸念から、当面の除外は見送られ、追加の自己負担を求めながら保険適用を維持する方針が示されました。

追加負担の仕組みはどうなるのか

制度設計は現在も調整中ですが、政府・与党が検討している“追加負担案”は次のようなイメージです。

・処方されたOTC類似薬の価格に一定割合を上乗せし、患者が追加で負担する
・保険適用は残すため、完全な全額負担にはならない
・収入が低い世帯や難病患者などは負担を免除する可能性
・大幅な負担増とならないよう、対象薬の選定を慎重に行う

これにより、患者に一定の選択肢を提供しつつ、「必要な診療は受けられる」「財政的な負担は分散させる」というバランスを狙っています。

医療現場が懸念する課題

医療や薬局の現場からは、次のような声が上がっています。

・追加負担の対象薬の説明が増え、窓口業務が煩雑になる
・制度が複雑化すると患者にも理解されにくい
・薬を必要とする患者が受診や薬受け取りを控える可能性がある

制度の導入に際しては、医療機関の事務負担と混乱が生じないよう、分かりやすい仕組みと丁寧な周知が不可欠です。

OTC類似薬について知っておくべきポイント

現時点で患者が押さえておくべき点は以下の通りです。

・OTC類似薬の保険適用はすぐに廃止されない
・対象薬や追加負担額は今後確定する
・慢性疾患・難病患者など、配慮措置の可能性が高い
・利用中の薬がOTC類似薬に該当するかは、かかりつけ医・薬剤師に確認できる
・制度の詳細は政府の発表で順次明らかになる

特に、長期で薬を使用している人や、複数の薬を併用している人ほど、生活への影響が生じやすいため、早めに情報収集しておくことが重要です。

今後のスケジュール

政府・与党は月内の合意を目指して最終調整を進めています。制度がまとまれば、関連法案が来年の通常国会に提出され、来年度中の導入を目標とするとみられます。
議論の過程では、患者団体や医療現場の意見を踏まえた修正が入る可能性もあり、制度の詳細は今後数か月で大きく動くことが予想されます。

導入後に何が変わるか

制度が導入されれば、OTC類似薬を処方箋で受け取る場合の患者負担が増える可能性があります。一方で、市販薬のほうが安く手に入り、受診せずに対応できるケースも増えるでしょう。
ただし、自己判断のみで市販薬に切り替えるのは望ましくありません。症状や体質によっては、市販薬では十分に効かない、あるいは相互作用がある場合もあるため、かかりつけ医や薬剤師のアドバイスを受けながら検討することが重要です。


まとめ

OTC類似薬の保険適用の見直しは、医療費の適正化と利用者の健康維持のバランスを取る極めて難しい政策判断です。政府・与党が今回示した「保険適用を維持しながら追加の自己負担を求める」案は、急激な負担増を避けつつ医療費削減を進めるための妥協策といえます。
今後、対象薬の選定や配慮措置の内容など、議論はさらに詳細化していきます。医療機関の現場負担を減らし、患者が安心して治療を続けられる制度となるよう、丁寧な情報提供とわかりやすい設計が求められます。

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