2026年6月15日(日本時間)午前5時。北中米ワールドカップ(W杯)グループFの第1節、日本代表対オランダがアメリカ・ダラスのダラス・スタジアムで幕を開けました。
FIFAランク18位の日本が、同8位の強豪オランダと激突するとあって、早朝にもかかわらず多くのサッカーファンがテレビの前に釘付けに。試合は2-2の引き分けという劇的な結末を迎えましたが、試合と同じくらい──あるいはそれ以上に──日本中の話題をさらったのが、NHKの中継を彩った”ある名コンビ”の存在でした。
元日本代表MFの本田圭佑さんの独自解説と、実況を担当した小宮山晃義アナウンサーの完璧なサポート。この二人が織りなす掛け合いがXのトレンドを席巻し、試合翌日もSNS上で多くの人が語り合う、前代未聞の”放送現象”となったのです。
本田圭佑の「本田節」炸裂──独自語録が次々と爆誕
本田圭佑さんは、2022年カタール大会でABEMAに出演して解説者デビューを果たし、その個性的なコメントで一躍人気解説者となりました。そして今大会は、地上波の雄・NHKの実況中継という晴れ舞台に登場。その”本田節”は、キックオフ直後から全開でした。
前半3分、オランダのFWガクポ(背番号11)が強烈なシュートを放つと、本田さんは「11番がめっちゃうざいんですよ」と一言。続いて、オランダの最大の脅威について問われると「1にガクポ、2にガクポ、3にガクポ」と三連呼し、その警戒度の高さを独特の表現で伝えました。さらに後半、オランダがベテランFWデパイを途中出場させると「デパイなんか出して、調子乗って」とバッサリ。日本代表選手や解説ゲストには一転して丁寧な敬語を使う場面も見られ、「鎌田さんもおっしゃってましたけど…」という言葉遣いとのギャップが、視聴者の笑いを誘いました。
前半23分の飲水タイム(ハイドレーションブレーク)が取られた際には「これなんすか?」とポツリとつぶやくシーンも。”解説のプロ”らしからぬ素朴な一言が、視聴者に親近感を与えました。
試合後のXでは「本田さん」「本田の解説」「ケイスケホンダ」がトレンド入り。NHKのサッカー公式Xアカウントは翌日、本田さんの発言を時刻とともに一覧化した”本田語録タイムテーブル”の画像を投稿し、こちらも「どこの好事家かと思ったら公式で草」「保存する」「NHKさん本田さんに乗っかりすぎw」と大きな反響を呼びました。
「なんで全部答えられんの?」小宮山アナの神対応が評価急上昇
本田さんの個性的な解説が際立つ一方で、実況アナとしてその”全力投球”を支えたのが、NHKの小宮山晃義アナウンサー(42)でした。
本田さんは試合中、矢継ぎ早に「11番誰ですか?」「身長何センチですか?」と質問を繰り出してきます。小宮山アナはそのすべてに即座かつ正確に回答。「1にガクポ、2にガクポ、3にガクポ」と畳みかける本田さんに対しては「4は誰ですか?」と絶妙な返しを見せ、本田さんから「(MFの)デヨング、それか(FWの)マレン」という言葉を引き出すなど、掛け合いを巧みにエスカレートさせました。
その後、本田さんは自身のYouTube配信で「俺に4聞ける? 普通4聞かんやろ」と小宮山アナを大絶賛。「彼がMVP」とまで口にしました。ネット上でも「雪崩のように続く本田圭佑からの質問に対して全て答える満点回答を披露」「本田圭佑解説員のどんな質問にもパッと答えてくれるのが、さすがです」と称賛の声が相次ぎました。
小宮山アナのサッカーへの深い造詣──名門・暁星出身の経歴
小宮山アナがなぜこれほどの知識を持ち合わせているのか。その背景には、彼自身の豊かなサッカー経験があります。
小宮山アナは、高校サッカーの名門・暁星高校の出身。小学1年生からサッカーを続け、暁星サッカー部時代には2学年上に元日本代表FWで現・森保ジャパンのコーチを務める前田遼一氏がいたという経歴の持ち主です。慶應義塾大学卒業後の2006年にNHKへ入局し、地方局でサッカーコーナーなどを担当。W杯実況は2018年ロシア大会から担当しており、今回が初の日本戦実況となりました。
自身も「スポーツ中継を中心に経験を積んできました。オリンピック・パラリンピック、サッカーW杯では実況やキャスター業務を担当。幅広い競技の魅力をお伝えできるように日々取り組んでいます」と語っているように、その実況は長年の準備と情熱の結晶といえます。
玄人目線と素人風の質問を意図的に使い分けることで、視聴者が試合をより楽しめる工夫があったと分析しました。実況と解説が互いの個性を引き出し合う”理想的なコンビネーション”だったと言えるでしょう。
試合内容も劇的──88分の「鎌田の1ミリ」で奇跡のドロー
放送の話題に隠れがちですが、試合内容もまた劇的なものでした。
日本代表は後半50分にオランダのガクポに先制を許すも、57分に中村敬斗が同点弾を叩き込みます。しかし64分に再び勝ち越しを許す苦しい展開に。それでも日本はあきらめず、88分に小川航基のヘッドに鎌田大地が頭でわずかに触れ、土壇場で同点に追いつきました。この場面は「三苫の1ミリ」ならぬ「鎌田の1ミリ」としてXでもトレンド入りし、勝負強さを改めて証明しました。
オランダの選手たちは試合後、取材エリアでほぼ全員が険しい表情。デンゼル・ドゥムフリースやメンフィス・デパイは無言でその場を立ち去り、土壇場で勝ち点2を失った悔しさが滲み出ていました。
米スポーツメディア「ジ・アスレチック」は「日本が終盤のゴールでオランダに衝撃を与える:今大会最高の試合」と報じ、海外でも高く評価されました。
本田圭佑が語る「世界との差が縮まった理由」
試合後、本田さんは自身のYouTubeチャンネルで生配信を行い、日本が世界との差を縮めた理由について問われると、こう即答しました。
「これはもう一択ですよね。ネットの普及です」
インターネットにより、誰でも無料でどんなプレーにも瞬時にアクセスできるようになったことが、サッカーレベルの均質化をもたらしたという鋭い分析です。「要するにコモディティ化したんですよ。サッカーが」と続け、「今の子どもたちは毎日最高のプレーに1秒でたどり着ける。だからサッカーのレベルが縮まっているのは、もっと縮まっていきます。”絶賛縮まり中”なんで」と力強く語りました。
自身が子どもの頃にTSUTAYAで欧州サッカーのビデオを借りた話を交えながら話す姿は、”本田節”全開でありながら、本質を突いた説得力のある言葉でもありました。
本田圭佑、今大会の出演予定は?次はどこで見られる
オランダ戦で日本列島を沸かせた本田さんですが、今大会はさらに多くの試合で解説を担当する予定となっています。
NHKでは第1戦のオランダ戦に続き、グループステージ第3戦・6月26日(金)のスウェーデン戦でも解説席に座る見込みです。また、日本代表が決勝トーナメントに進出した場合も、NHKが放送権を持つ日本戦であれば引き続き解説を務めると報じられています。
一方、日本テレビ系では「日本戦スペシャルアンバサダー」という肩書きで出演が予定されており、6月21日(日)のチュニジア戦を中心に、中継や関連番組でコメントする場が設けられる見通しです。
| 放送局 | 役割 | 対象試合 |
|---|---|---|
| NHK | 解説 | 6月15日(月)日本 vs オランダ ✅ |
| 日本テレビ系 | スペシャルアンバサダー | 6月21日(日)日本 vs チュニジア |
| NHK | 解説 | 6月26日(金)日本 vs スウェーデン |
| NHK | 解説予定 | 決勝トーナメント(日本が進出した場合) |
まとめ──W杯の楽しみ方変わった
試合も放送も、どちらも最高に盛り上がったW杯初戦。本田圭佑さんの独自の視点と飾らない言葉、そして小宮山晃義アナウンサーの博識と柔軟な対応が相まって、NHKの中継は単なるスポーツ報道を超え、一つのエンターテインメントとして多くの人の記憶に刻まれました。
次戦は6月21日(日本時間)、チュニジア代表との対戦が予定されています。日本代表の戦いとともに、放送席にも注目が集まりそうです。
