2024年度、日本の生活保護申請件数は前年度比3.2%増の25万9353件となり、これで5年連続の増加となりました。特に高齢の単身世帯や非正規雇用の増加が背景にあり、生活困窮者が増えていることがうかがえます。
一方で、過去の生活保護費の引き下げが裁判で違法と争われているなど、制度の在り方そのものも問われています。今回は「生活保護とは?」という基本から、「外国人の生活保護問題」「申請方法」「アルバイトはいくらまで稼げる?」「制限は?」「今後の課題」までを解説します。
生活保護とは?仕組みと目的をやさしく解説
生活保護は、生活に困窮するすべての人に対して、健康で文化的な最低限度の生活を保障し、社会復帰・自立を支援する制度です。日本国憲法第25条の「生存権」を具体化した制度で、生活保護法に基づいて運用されています。
主な支援内容は以下の8種類です:
- 生活扶助:食費や衣服など日常生活に必要な費用
- 住宅扶助:家賃・敷金礼金などの住居費
- 医療扶助:病院での治療や薬代
- 介護扶助:要介護者への介護サービス
- 教育扶助:学用品や給食費などの学費支援
- 出産扶助、葬祭扶助など、特別な事情に応じた支援もあります。
外国人の生活保護受給はなぜ問題視されるのか?
生活保護法では「国民」が対象とされており、原則として外国人は対象外です。しかし、1954年の厚生省通知によって、永住者や定住者など、在留資格に制限のない外国人に対しては人道的な理由から生活保護に準じた支援が行われています。
この運用は長年続いていますが、「外国人に税金を使うべきか?」「日本人が優先されるべきでは?」という意見も多く、SNSやネット掲示板でもたびたび議論の的になります。
ひろゆき氏の見解:「生活保護はどんどん使うべき」「働けない外国人は母国へ」
実業家のひろゆき氏(西村博之氏)は、生活保護に関する話題についてたびたび持論を述べています。
「生活に困ったら生活保護を使うのが当たり前という空気になった方がいい」とコメントし、制度の利用促進を肯定的に捉えています。生活保護を「恥ずかしいもの」「最後の手段」と考える風潮に対して疑問を呈し、「使える制度は正しく使うべき」との姿勢を示しました。
一方で、外国人による生活保護の受給については慎重な立場を取っており、「働けないのであれば、母国に帰っていただいたらいい」と発言しています。この発言は賛否を呼び、「人道的配慮が足りない」とする声と、「日本の制度を日本人優先で運用すべき」とする支持の声に分かれています。
ひろゆき氏の意見は、日本の限られた社会保障財源をどう配分するべきかという根本的な問いを投げかけるものであり、生活保護制度に対する国民的な議論の活性化につながる側面もあります。
このように、ひろゆき氏の発言は刺激的でありながらも、多くの人々が生活保護の在り方について再考するきっかけを与えているといえるでしょう。

生活保護の申請方法|どこで?何が必要?
生活保護の申請は、お住まいの市区町村の福祉事務所で行います。申請の際には以下の書類が必要です:
- 本人確認書類(マイナンバーカード、保険証など)
- 家計の状況を示す資料(通帳、家賃の領収書、給与明細など)
- 家族構成や住居に関する情報
申請後、福祉事務所が家計や健康状態、就労状況などを調査し、支給可否を決定します。電話や窓口での事前相談(生活困窮者自立支援制度)もおすすめです。
生活保護受給中の「アルバイト収入」制限|いくらまでならOK?
「生活保護を受けながら働くことはできるの?」という疑問は多く寄せられます。結論から言えば働いてもOKです。ただし、収入があればその分保護費は減額されるしくみです。
具体的には「勤労控除」という制度があり、収入のうち一部は差し引かれます。
勤労控除の例:
- 月収が 15,200円未満:すべて控除(収入を申告すれば生活保護費は減額されない)
- 月収が 15,200円以上:一定の率で控除、残りは生活保護費から減額
例)月に5万円のアルバイト収入があった場合、3万円が控除対象、残り2万円分が生活保護費から引かれる、といった計算です。
つまり、「いくらまで稼いでも減額されないのか?」というと、おおよそ月15,000円程度までと覚えておくとよいでしょう(※扶養家族や地域差で変動します)。
制限はある?生活保護中にNGなこととは
生活保護にはいくつかの「制限」やルールがあります。以下はその代表的なものです:
- 車の保有:原則禁止(特別な事情があれば例外あり)
- ギャンブル・浪費行為:生活保護費の使途には制限があり、不適切な使い方をすると支給停止の可能性も
- 虚偽申請や無申告の収入:重大な違反とされ、返還請求や刑事罰の対象となる場合も
生活保護中に買えないものは?
活保護を受給していると、一般的に資産(不動産、車、貴金属など)や高額な資産(生命保険、貯蓄型保険など)は保有できません。
また、高価な時計やアクセサリー、2台目以降のスマホなども所有できません。一方、生活必需品やパソコン、スマホ(1台目)、テレビやゲーム機などは所有できます。
生活保護で買えないもの、持てないもの:
- 資産:土地、建物、自動車、バイク、貴金属、預貯金、生命保険、有価証券など
- 高額な資産:10万円以上の現金、貯蓄型の保険、株などの有価証券
- 高価なもの:高級時計、アクセサリー、ブランド品など
- 2台目以降のスマホ:1台は認められるが、2台目以降は不要と判断される可能性がある
- 車・バイク:原則として所有不可。例外的に、交通手段がない場合や障害などで車がないと日常生活を送るのが難しい場合に認められることがある
- 生命保険:新規加入は原則不可
- クレジットカード:原則として所持不可
過去の減額訴訟と今後の生活保護制度のゆくえ
2013年から2015年にかけて政府が行った生活保護基準額の引き下げにより、5年間で約3,000億円が削減されたと試算されています。この件は複数の裁判に発展し、2025年6月に最高裁判決が下される見通しです。
原告側は「生活保護基準引き下げは違法であり、国は謝罪と返還をすべきだ」と主張しています。
この裁判の結果は、今後の制度運用や再引き下げの議論に大きな影響を与えると見られます。
まとめ:生活保護は誰にでも開かれた制度。正しく理解しよう
生活保護は、「働いていても生活が成り立たない」「貯金もない」「支援してくれる人がいない」というとき、最終的なセーフティーネットとして非常に重要な制度です。
外国人問題や制度の持続性といった課題もありますが、一方で「必要な人が、堂々と受けられる」空気づくりも欠かせません。
もしあなたや周囲の人が「生活に困っている」と感じたときは、迷わず福祉事務所や自立支援窓口へ相談してみてください。