2025年8月18日、コンビニ大手の ミニストップ が、店内で調理・販売していたおにぎりや総菜、弁当の一部で 消費期限を偽装して販売していた ことを発表しました。このニュースは消費者に大きな衝撃を与え、全国的な報道となっています。
今回の問題を整理しながら、なぜ消費期限偽装が起きたのか、そしてコンビニ経営の現場が抱える課題について考えていきます。
ミニストップ23店舗で発覚した消費期限偽装とは
ミニストップの発表によると、偽装が確認されたのは 7都府県23店舗。
大阪府が11店舗と最多で、京都府3店舗、東京・埼玉・愛知・兵庫がそれぞれ2店舗、福岡県が1店舗でした。
不正の内容は以下の通りです。
- 調理直後に貼るべき消費期限ラベルを、1~2時間後に貼付して期限を延ばす
- 既に陳列していた商品に、新たなラベルを重ねて貼り替える
つまり、実際の製造から経過した時間よりも「新しい商品」であるかのように見せかけて販売していたのです。
店内調理のおにぎり・弁当・総菜が全国で販売中止
ミニストップは 8月9日から店内調理のおにぎりと弁当の製造を停止。
さらに調査を進めた結果、総菜でも同様の不正が見つかり、18日からは 全国約1600店舗で店内調理のおにぎり・弁当・総菜の販売をすべて中止 しました。
健康被害は現時点で確認されていませんが、調査と再発防止策が完了するまでは販売を再開しないとしています。
なお、工場で製造されるパンやカップ麺、人気のソフトクリームなどは対象外で、引き続き販売されています。
なぜミニストップで消費期限偽装が起きたのか
今回の事件は「一部店舗の不正」と説明されていますが、背景にはコンビニ業界特有の構造的な問題があると考えられます。
廃棄コストの重圧と食品ロス問題
コンビニは24時間営業が基本で、常に商品を豊富に並べておく必要があります。その結果、大量の 食品廃棄(フードロス) が発生。廃棄は店舗オーナーの大きな負担となり、「少しでも売りたい」という心理が不正につながりやすいのです。
本部と加盟店オーナーの板挟み構造
本部は食品安全を重視すると同時に、売上やコスト削減を現場に求めます。オーナーや従業員は「売上確保」と「安全遵守」の板挟みになり、短期的な数字を優先してしまうことがあります。
人手不足と教育体制の不十分さ
調理・接客・発注など、多くの業務を少人数でこなすため、ラベル管理の徹底が難しくなります。教育体制が不十分な店舗ほど、ルールが形骸化しやすいのです。

過去にもあったコンビニの消費期限偽装事例
今回のミニストップだけでなく、過去には他の大手チェーンでも似た事例がありました。
たとえば2019年にはローソンで、埼玉県の店舗が店内で調理する「まちかど厨房」の商品(弁当、調理パンなど)の消費期限を記載したシールを貼り替え、消費期限を故意に7時間延長して販売していました。
つまり「消費期限偽装」は一部チェーンだけの問題ではなく、業界全体に潜むリスクといえます。
ミニストップが直面する信頼回復の課題
消費者にとって、コンビニは「いつでも安全で新鮮な商品が手に入る場所」というイメージがあります。今回のような不正は、その信頼を大きく揺るがすものです。
実際、SNS上では「もうミニストップのおにぎりは買えない」「食品偽装は裏切りだ」という声も見られ、ブランドイメージのダメージは避けられません。信頼を取り戻すには、徹底的な再発防止策と情報公開が不可欠です。
消費者の信頼回復に必要なこと
ミニストップは「工場製造の商品やソフトクリームは引き続き販売する」としていますが、主力商品の一つである店内調理食品の販売中止は、経営的に大きな打撃です。信頼回復には以下の取り組みが不可欠です。
- デジタル管理の徹底
- 消費期限ラベルをシステムで一括管理し、不正な書き換えを不可能にする仕組みづくり。
- 第三者監査の強化
- 本部ではなく独立した機関による定期チェックを行い、透明性を高める。
- 食品ロス削減支援の制度化
- 行政が「販売期限間近商品の値引き販売」や「フードバンク連携」を後押しし、廃棄削減を可能にする。
ミニストップ消費期限偽装問題が示すコンビニ経営の課題
今回の ミニストップの消費期限偽装問題 は、23店舗という限定的な規模とはいえ、全国で店内調理商品を販売中止に追い込む深刻な事態となりました。
背景には廃棄コストや人手不足など、コンビニ経営の厳しい現実があります。しかし、不正を容認すれば消費者の信頼は一瞬で崩れてしまいます。
今後は業界全体で 「食品ロス削減」と「食の安全」 をどう両立させるかが大きな課題となるでしょう。