スーパーやコンビニで見慣れた「クリアアサヒ」が、2026年10月27日から「クリアアサヒ〈生〉」という新しい名前で生まれ変わります。
今回の変更は、単なる商品リニューアルではありません。
2026年10月1日に実施される酒税改正によって、これまで異なっていたビール・発泡酒・新ジャンルの税率が一本化されることが背景にあります。
「いつも買っているビールや発泡酒は値上がりするの?」「第三のビールはどうなるの?」と気になっている方も多いのではないでしょうか。
今回は、2026年10月の酒税改正で何が変わるのか、なぜアサヒビールが「クリアアサヒ」をビールに変更するのか分かりやすく整理します。

2026年10月の酒税改正でビール・発泡酒・新ジャンルはどう変わる?
これまで日本のビール系飲料には、大きく「ビール」「発泡酒」「新ジャンル(第三のビール)」という区分があり、それぞれ異なる酒税が設定されていました。
しかし、2026年10月1日の改正で、ビール系飲料の酒税は350ml換算で54.25円に一本化されます。
| 区分 | 2026年9月までの酒税(350ml換算) | 2026年10月以降 | 変化 |
|---|---|---|---|
| ビール | 63.35円 | 54.25円 | 9.10円減税 |
| 発泡酒 | 46.99円 | 54.25円 | 7.26円増税 |
| 新ジャンル | 46.99円 | 54.25円 | 7.26円増税 |
| チューハイなど | 28円 | 35円 | 7円増税 |
※酒税額は350ml換算。財務省資料などをもとに整理。
つまり、今回の改正では、ビールは減税される一方、発泡酒や新ジャンルは増税されることになります。
これまで「安いお酒」として販売されてきた新ジャンルにとっては、税制上の価格メリットが大きく縮小することになります。
一方、ビールは350ml当たり9.10円の減税となるため、メーカーにとってはビールの商品価値を高める動機が強くなります。
なぜビール・発泡酒・第三のビールで税金が違っていた?
そもそも、なぜ同じように飲まれているビール系飲料に異なる税率が設定されていたのでしょうか。
大きな理由の一つが、麦芽の使用比率や原料によって酒税法上の区分が分かれていたためです。
ビールは麦芽を一定以上使用する必要があります。一方、発泡酒は麦芽使用比率が低いものがあり、新ジャンルは麦芽をほとんど使わない商品や、発泡酒にスピリッツなどを加えた商品が該当してきました。
メーカー各社は、この税率の違いを活用しながら、価格を抑えたビール系飲料を開発してきました。その結果、「ビール」「発泡酒」「新ジャンル」という3つのカテゴリーが広く定着しました。
しかし、酒税の区分によって似た商品でも税負担が異なる状態が続いたため、政府は2018年度税制改正で段階的な税率の見直しを決定しました。
2020年、2023年、2026年の3段階で調整が進められ、2026年10月にビール系飲料の税率が一本化されます。財務省は、類似する酒類間の税率格差を縮小し、酒類間の税負担の公平性を回復することなどを改正の趣旨として説明しています。
ビール・発泡酒・第三のビールの違いとは?
では、そもそもビール、発泡酒、新ジャンルにはどのような違いがあるのでしょうか。
| 区分 | 主な特徴 | これまでの税制上の特徴 |
|---|---|---|
| ビール | 麦芽比率50%以上など、法律上の条件を満たす | 3区分の中で酒税が高かった |
| 発泡酒 | 麦芽を使用するが、ビールの基準を満たさない | 麦芽比率などによって税率が異なった |
| 新ジャンル | 麦芽をほとんど使わない商品など | 低い税負担を生かした低価格商品として普及 |
ビールは麦芽をしっかり使用することで、麦の香りやコクを感じやすい商品が多いのが特徴です。
発泡酒は麦芽を使用していても、ビールとは異なる原料構成や麦芽比率の商品があります。
新ジャンルは、麦芽をほとんど使わないタイプや、発泡酒にスピリッツなどを加えたタイプなどがあり、これまで酒税を抑えられることが大きな特徴でした。
しかし、2026年10月以降はビール系飲料の税率が一本化されるため、麦芽比率を低くして酒税を抑えるという従来のメリットは小さくなります。
これが、各メーカーが新ジャンル商品の「ビール化」を進める大きな背景になっています。
「クリアアサヒ」が「クリアアサヒ〈生〉」に変わる理由
アサヒビールは2026年9月18日、「クリアアサヒ」の中味とパッケージを刷新し、酒税法上の区分を新ジャンルからビールへ変更すると発表しました。
商品名は「クリアアサヒ〈生〉」となり、缶商品は10月27日から全国で発売されます。樽商品は10月6日以降、順次切り替えられる予定です。
新商品では麦芽比率を高め、ビール製法へ変更。
アサヒビールは、独自の鮮度製法を採用することで、雑味のないクリアな味わいを実現し、飲食店で飲む注ぎたての生ビールのような味わいを目指したと説明しています。
つまり、単に税区分だけを変更するのではなく、「クリアアサヒ」というブランドを維持しながら、商品そのものをビールへ変更するというリニューアルです。
「クリアアサヒ〈生〉」は値上がりする?
気になるのが販売価格です。
アサヒビールは2026年10月の酒税改正に伴い、ビールについては減税、新ジャンルについては増税となる価格改定を発表しています。
一方、「クリアアサヒ〈生〉」のメーカー希望小売価格はオープン価格とされており、実際の店頭価格は販売店によって異なります。アサヒビールの公式発表では、具体的な店頭販売価格までは示されていません。
そのため、「必ず○円値上がりする」と断定するより、酒税だけを見ると新ジャンルからビールへ変更することで税負担が軽くなる方向と考えるのが適切です。
「金麦」「本麒麟」などもビールになる?
今回の酒税改正に合わせて、アサヒだけでなく各社が新ジャンル商品のビール化を進めています。
代表的なのがサントリーの「金麦」です。
サントリーは「金麦」「金麦〈糖質75%オフ〉」を従来の新ジャンル製法からビール製法へ変更し、2026年10月6日から全国で発売すると発表しています。また、新商品として「金麦〈豊潤〉」も10月13日から発売します。
サントリーは「金麦」について、ビール化後も新ジャンル時代の価格帯を維持し、酒税改正による増税分のみを反映する方針を示しています。
今回の動きを整理すると、次のようになります。
| メーカー | ブランド | 2026年10月以降の対応 |
|---|---|---|
| アサヒビール | クリアアサヒ | 「クリアアサヒ〈生〉」としてビール化 |
| サントリー | 金麦 | ビール化 |
| サントリー | 金麦〈糖質75%オフ〉 | ビール化 |
| サントリー | 金麦〈豊潤〉 | ビールとして新発売 |
| その他メーカー | 各種新ジャンル商品 | 商品ごとに対応が異なる |
このように、2026年10月は「新ジャンルからビールへ」という大きな商品カテゴリーの変化が起きるタイミングになります。
ビール以外のお酒も酒税が変わる
今回の酒税改正は、ビール系飲料だけが対象ではありません。
例えば、清酒は2023年10月の段階で税率が引き下げられており、2026年10月に新たな一本化が行われるわけではありません。果実酒は2023年10月から税率が引き上げられ、2026年10月には清酒と同じ1キロリットル当たり10万円となっています。
さらに、チューハイなどの「その他の発泡性酒類」は、350ml換算で28円から35円へ引き上げられます。そのため、普段ビールを飲まない人にとっても、10月以降は酒類の価格が変化する可能性があります。
酒税改正で家計への影響はどのくらい?
例えば、350mlの新ジャンルを毎日1本飲むケースを考えてみます。酒税だけを見ると、2026年10月から1本当たり約7.26円の負担増です。
これを単純計算すると、
7.26円 × 365日 = 約2,650円
となります。
反対に、350mlのビールを毎日1本飲む場合は、酒税が1本当たり9.10円下がるため、
9.10円 × 365日 = 約3,322円
となります。
ただし、これはあくまで酒税だけを単純計算した金額です。
実際の店頭価格は、メーカーの価格設定、原材料費、物流費、販売店の価格設定などによって決まるため、「酒税が7円上がるから店頭価格も7円上がる」とは限りません。
2026年10月の酒税改正で何が変わる?ポイントを整理
今回の改正で押さえておきたいポイントは、次の4つです。
| ポイント | 変更内容 |
|---|---|
| ビール | 350ml当たり63.35円→54.25円に減税 |
| 発泡酒・新ジャンル | 350ml当たり46.99円→54.25円に増税 |
| チューハイなど | 350ml当たり28円→35円に増税 |
| 商品戦略 | 新ジャンルの「ビール化」が進む |
これまでの酒税制度では、税率の違いがビール、発泡酒、新ジャンルという商品カテゴリーを生み出す大きな要因になっていました。
しかし2026年10月からはビール系飲料の税率が一本化されます。
その結果、メーカーにとっては「税金を抑えるために麦芽比率を低くする」という商品開発だけでなく、麦芽比率を高めてビールとして販売し、ブランド価値を高めるという選択肢が取りやすくなります。
まとめ|「第三のビール」がなくなるわけではないが、売り場は変わる
2026年10月の酒税改正では、ビール系飲料の酒税が350ml当たり54.25円に一本化されます。
これまで酒税が高かったビールは減税される一方、発泡酒や新ジャンルは増税となります。
この税率変更を受け、アサヒビールは「クリアアサヒ」をビールへ変更し、10月27日から「クリアアサヒ〈生〉」として発売します。サントリーも「金麦」のビール化を進めており、これまで新ジャンルとして販売されてきた人気ブランドが、ビールとして生まれ変わる動きが広がっています。
今回の改正によって、これまでの「ビールは高い、第三のビールは安い」という価格差は、税制上は小さくなります。
ただし、実際の店頭価格は酒税だけで決まるわけではありません。10月以降は、スーパーやコンビニの売り場でも「品目:ビール」という表示が増えていくと考えられます。

