JR東日本は2026年9月8日、交通系ICカード「Suica」の新しいイメージキャラクターの候補を3案発表しました。
同日午後3時から特設サイトで一般投票が始まり、最も票を集めたデザインが現在のペンギンの後継に選ばれます。
この記事では、ペンギン卒業の経緯、投票の締め切りや正式発表の日程、候補のデザイン内容、SNS上の反応を整理します。
ペンギンが卒業することになった経緯
Suicaのペンギンは2001年のサービス開始と同時にイメージキャラクターとして採用され、約25年間にわたって親しまれてきました。
もともとSuicaのために描かれたキャラクターではなく、イラストレーターで絵本作家の坂崎千春さんが1998年に出版した絵本「ペンギンゴコロ」に登場するペンギンが原点になっています。坂崎さんは千葉県のご当地キャラクター「チーバくん」の生みの親としても知られています。
JR東日本は2025年11月11日、このペンギンが2026年度末(2027年3月31日)をもって卒業すると発表しました。2026年度はSuicaが誕生してから25周年にあたる節目の年であり、同社は「今後は新たなイメージキャラクターへとバトンタッチする」との方針を示しています。
今年2月には新キャラクター選考委員会が発足し、若手クリエイターの原案をもとに候補デザインの絞り込みが進められてきました。なお8月には、ペンギンがデザインされたSuicaカードについても在庫がなくなり次第、販売を終了することが明らかになっています。
発表された3つの候補デザイン
9月8日に公開されたのは、A・B・Cの3案です。選考委員会は放送作家の小山薫堂氏が座長を務め、市川紗椰氏や篠原ともえ氏、水野学氏らがメンバーに名を連ねています。選考の基準は「親しみやすさ」「オリジナリティー」「やさしさ」の3点とされています。デザイナー名はいずれも、投票結果が出るまで非公開です。
A案:リスをモチーフにしたデザイン
A案はオレンジ色のリスを描いたデザインです。
最大の特徴は、頭から尻尾まで途切れることなく続く一本のラインで、これは英語の「RAILWAY(鉄道)」を象徴的に表現したものとされています。丸みを帯びた柔らかいフォルムで、子どもから大人まで幅広い世代に親しみを持ってもらえるよう意図されています。
また、リスが枝から枝へ軽やかに移動する姿を、鉄道が人々の暮らしと暮らしをつなぐ役割になぞらえている点も特徴です。3案の中では「鉄道らしさ」を最も直接的に取り入れたデザインといえます。
B案:ウサギをモチーフにしたデザイン
B案は紫色のウサギを描いたデザインです。
色使いにも明確な意味が込められており、「スイスイ(安心)」を表す青と「ワクワク(感動)」を表す赤を混ぜ合わせることで紫色が生まれています。
ウサギ本来の跳躍力を活かし、未来へと大きく跳び進む存在として描かれているのが特徴です。また、耳の形状には「周囲の声に耳を傾ける」という姿勢も込められており、利用者とのコミュニケーションを重視したコンセプトがうかがえます。動きのある姿勢や表情で、3案の中では最も躍動感のあるデザインに仕上がっています。
C案:モグラを連れた不思議な動物のデザイン
C案は、正体がはっきりしないオレンジ色の生き物がポシェットにモグラを入れているという、やや変わったデザインです。
モグラは普段、土の中でしか世界を見ることができません。そのモグラにさまざまな景色を見せてあげたいという「やさしさ」がコンセプトの核になっています。あえて主人公が何の動物であるかを明確にせず、見る人によって捉え方が変わる余白を残している点も特徴です。ペンギンという明確なモチーフだった従来のキャラクターとは対照的に、想像の余地を残したデザインとなっています。
SNSでは現行ペンギンを惜しむ声が目立つ
候補発表の直後から、X(旧Twitter)では反応が相次ぎました。「ペンギンがいい」「現行のペンギンで良くないか」といった、現行キャラクターの続投を望む投稿が数多く見られます。
新3案に対しては「どれも魅力がなさすぎる」「これを見るとスイペンの完成度がすごかったんだな」といった厳しい評価が目立ち、特にB案のウサギについては「ウサギに見えない」との指摘も出ています。長年親しまれてきたキャラクターだけに、後継候補への期待値のハードルが高くなっている様子がうかがえます。
他の交通系ICカードにも動物キャラクターが存在
Suicaのペンギンのように、動物をモチーフにしたキャラクターは他の交通系ICカードにも見られます。
JR西日本の「ICOCA」には、カモノハシをモチーフにした「イコちゃん」が長年親しまれています。JR北海道の「Kitaca」は、北海道に生息するエゾモモンガをモチーフにしたキャラクターが採用されています。JR東海の「TOICA」には、名前や詳しい設定こそ公表されていないものの、黄色く丸いヒヨコの親子のようなキャラクターが描かれています。九州の「SUGOCA」には、カエルの姿をしたキャラクターの膝の上に時計のキャラクターが乗るという、少し変わった組み合わせのデザインが使われています。
一方で、すべてのICカードに動物キャラクターがあるわけではありません。首都圏の「PASMO」や中部地方の「manaca」は、動物をモチーフにしたキャラクターではなく、シンプルなロゴデザインを採用しています。関西圏の「PiTaPa」についても、統一されたマスコットキャラクターは存在せず、前身のサービス「スルッとKANSAI」のキャラクターが便宜的に使われる程度にとどまっています。こうして見ると、Suicaのペンギンは動物キャラクターの中でも特に知名度が高く、長く定着してきた存在だったことがあらためて分かります。

決定までのスケジュール
投票は9月8日午後3時から9月23日午後11時59分まで、特設サイトで受け付けられます。1人1回の投票で、最多得票のデザインが正式な後継キャラクターとなります。
結果の発表日は、Suicaサービス開始から25周年にあたる11月18日です。発表後は新キャラクターの愛称を広く一般から公募する予定とされています。
現行のペンギンは2027年3月31日をもって卒業し、翌4月に新キャラクターへとバトンタッチされる見通しです。卒業までの期間には「Penguin Years」と題した記念キャンペーンも展開され、25年間の歩みや思い出のグッズなどが特設サイトで紹介される予定です。長く駅や車内で見守ってきたペンギンの姿を見られるのも、残りわずかな期間となりそうです。

