鳥取県の大山隠岐国立公園・大山を通る県道沿いで、8月中旬から食パンや鶏の内臓が繰り返し捨てられるという、不可解な出来事が起きています。
8月14日から20日の7日間のうち5日間にわたって投棄が確認され、その総量は約40キロにも及びました。警察も不法投棄事件として捜査を始めています。
一体誰が、何のためにこのようなことをしているのでしょうか。ここまでに分かっている経緯を整理します。
どのようにして発見されたのか
最初に気づいたのは、大山地域で公園施設の管理や美化清掃を担う自然公園財団鳥取支部の職員でした。
8月14日、桝水高原にあるトイレの清掃を終えて周辺を巡回していたところ、県道158号「大山環状道路」のガードレール沿いに何かが等間隔で転がっているのを見つけたといいます。第一発見者となった職員は、遠目には木材のように見えたため、最初は道路脇に落ちていた角材だと思い込んだそうです。
近づいて確認すると、それは食パンでした。ガードレールの柱の間に、ぽつぽつと挟まれるように置かれていたといいます。

3日連続で食パン、その後は鶏の内臓も
最初の発見は8月14日で、ガードレールに沿って150メートルにわたり等間隔に置かれた食パン約30個が見つかりました。翌15日、16日にも同様の投棄が続き、3日間の回収量は合計28.5キロにのぼりました。しかも見つかった食パンは、スーパーで売られているような一斤サイズではなく、一本で約4斤分にもなる業務用とみられる巨大なサイズを半分にちぎったようなものだったといいます。
いったんは17日、18日と投棄が確認されず、事態は収束したかに見えました。ところが19日、再び動きがありました。今度は食パンではなく、「鶏の内臓(レバー)」とみられるもの1.3キロが、袋にも包まれず地面に直置きされる形で山側の5カ所に点在していたのです。そして20日には、1本で約4斤分に相当する巨大な食パンをちぎったようなものが十数個、計10.5キロ分も見つかりました。
食パンが置かれていた場所は2〜3メートルの等間隔で並べられており、単なる落とし物とは考えにくい状態でした。発見はいずれも午前中で、周囲に防犯カメラや街灯もないため、犯人の特定は難航しているようです。
クマの誘引につながる懸念
現場となったのは、大山寺と桝水高原のちょうど中間にあたるエリアで、ハイキング客も通る「横手道」の近くです。国立公園という野生動物の生息地でこうした行為が続くと、動物への「餌付け」につながる恐れがあると、鳥取県西部総合事務所環境建築局の担当者は懸念を示しています。
夏はエサ不足でクマが低地まで下りてくる時期にあたり、人間の食べ物の味を覚えてしまうと、同じ場所への出没が繰り返され、人身事故のリスクも高まります。大山周辺のクマ目撃情報は、昨年度は1件だったのに対し、今年度はすでに8月時点で2件確認されており、例年より多い傾向にあるとのことです。
鳥取市の海岸でも同時期に食パンが
大山での騒動と前後して、鳥取市白兎の白兎海岸でも食パンの投棄が見つかっていたことが21日に判明しました。
大山で最初に食パンが確認された14日と同じ日に、歩道から砂浜へのスロープ部分に10個ほどのパンが捨てられていたといいます。
21日時点でも、乾燥して硬くなったパンが2個、現場付近に残されていました。大山の事案との関連性は不明ですが、同じ時期に県内複数箇所で似た投棄が起きていた可能性があります。
SNS上で広がる困惑と憶測
この一連の出来事は、Yahoo!ニュースへの掲載後、コメント欄に300件を超える書き込みが集まるなど、ネット上でも大きな話題になりました。「一体誰が何のためにやっているのか分からない」「愉快犯としか思えない」といった困惑の声が目立つほか、山中でクマの目撃が増えている時期と重なることから「クマを呼び寄せて事故を誘発する気なのでは」と不安視する投稿も見られました。
X(旧Twitter)では、大山での投棄が報じられた際、白兎海岸を訪れたことがあるユーザーが、同じような食パンが海岸にも捨てられていたと自身の体験を投稿し、大山以外の場所でも似た投棄が起きていた可能性を指摘していました。この投稿はのちに白兎海岸での投棄が報道で裏付けられる形となり、注目を集めました。
また、行政や地元メディアの発信をきっかけに「なぜ食べ物をわざわざ等間隔に並べる必要があるのか」「単なるゴミ捨てではなく何らかのメッセージ性を感じる」といった、投棄の意図を推測する声も多く上がっています。真相はまだ分かっていませんが、SNS上では今後の展開を注視する反応が続いています。
法律上どう扱われるのか
国立公園内で食品を捨てる行為は自然公園法違反にあたる可能性があり、公園外であっても許可のない場所へのごみの投棄は廃棄物処理法違反、道路や路肩に物を置いて交通を妨げた場合は道路交通法違反に問われる可能性があります。現在は所轄の警察署が現場を確認し、不法投棄事件として捜査を進めており、行政側もパトロールの強化や防犯カメラの設置を検討しています。
本格的な行楽シーズンを控え、大山の自然環境と訪れる人の安全を守るためにも、早期の解明が待たれます。
