2025年12月28日、東京都日野市にある多摩動物公園で、飼育されていたタイリクオオカミ1頭が飼育施設から脱走する事案が発生しました。園は一時的に臨時閉園となり、来園者の安全確保が最優先で進められました。最終的にオオカミは同日午後2時20分ごろ、園内で無事に捕獲され、けが人は確認されていません。
本記事では、
・脱走から捕獲までの時系列
・多摩動物公園の対応
・タイリクオオカミとはどのような動物なのか
・動物園の安全管理の課題
について、丁寧に解説します。
多摩動物公園で起きたオオカミ脱走の概要
多摩動物公園によると、28日午前9時半の開園後まもなく、オオカミ舎で飼育していた「スイ」「カヨラン」2頭のうち1頭が姿を消していることに飼育員が気付きました。その後、園内の通路にいる1頭を発見。確認の結果、もう1頭はおりの中に留まっており、脱走したのは1頭「スイ」(メス、2歳)のみでした。
午前10時50分ごろ、園の公式X(旧Twitter)で「オオカミが脱走している」と発表。新規の入園を停止し、園内にいた来園者を建物内や正門付近へ避難誘導。
当時、園内には年末の来園客が多数訪れており、現場は一時的に緊張感に包まれました。
捕獲までの経緯と園側の対応
午前11時ごろ警察へ通報、園内では警察官や獣医師、飼育スタッフによる捜索と捕獲作業が開始されました。
オオカミは園外へは出ておらず、園内にとどまっていることが確認されていました。
捕獲作業では、
・麻酔銃
・捕獲用ネット
などを使用し、動物と人の双方に危険が及ばないよう、慎重に対応が進められました。
午後1時50分頃 安全確保のため、この日の臨時休園を正式に決定。
午後2時20分ごろ、オオカミは飼育施設から直線で約400メートル離れた「ウォッチングセンター」付近の藪(雑木林)の中で発見され、職員が麻酔銃を使用して眠らせ、無事捕獲。来園者および職員にけが人はおらず、オオカミの状態も安定しているとされています。
多摩動物公園は翌29日から年末年始の休園期間に入り、年始は2026年1月2日から営業を再開する予定となっています。
タイリクオオカミとはどんな動物か
今回脱走したのは「タイリクオオカミ」と呼ばれるオオカミです。日本ではあまり馴染みがありませんが、学術的にはヨーロッパオオカミ(Eurasian wolf)に分類されます。
日本にかつて生息していたニホンオオカミとは異なります。
タイリクオオカミの基本情報
・分類:哺乳綱 食肉目 イヌ科
・分布:ヨーロッパ、ロシア、中央アジアなど
・体長:120〜160cm
・体重:30〜50kg前後
タイリクオオカミは、オオカミの中でも比較的大型で、群れで狩りを行う高い知能を持つ動物として知られています。自然界では主にシカやイノシシなどの大型獣を狩り、頂点捕食者として生態系のバランスを保つ重要な役割を担っています。
一方で、人に慣れていない個体が不意に人と遭遇した場合、防衛的な行動を取る可能性があるため、動物園では特に厳重な管理が求められます。今回の事案で迅速に入園停止と避難誘導が行われたのは、この動物の特性を踏まえた判断だったと言えます。

多摩動物公園が公式Xで謝罪
捕獲後、多摩動物公園は公式X(旧Twitter)で臨時閉園を発表し、
「ご迷惑をおかけして大変申し訳ございません」
と来園者や関係者に謝罪しました。
年末の混雑時期ということもあり、予定を変更せざるを得なかった来園者も多く、園側の説明責任や情報発信のあり方にも注目が集まっています。
脱走の原因は?今後の調査と課題
現時点で、オオカミがどのようにしておりから脱走したのか、具体的な原因は公表されていません。
「今後、脱出原因を検証し、再発防止策を実施した後、当該放飼場での展示を再開する見込みです。」
動物園は教育・研究・保全という重要な役割を担う一方で、来園者の安全確保が大前提です。今回の事案は、国内の動物園全体にとっても、安全管理体制を見直す契機となる可能性があります。
来園者の反応と動物園に求められる安全意識
SNSや報道映像では、突然の避難指示に驚きつつも、職員の誘導に従って冷静に行動する来園者の姿が確認されています。一方で、「情報が分かりにくかった」「もっと早く状況を知りたかった」といった声もあり、緊急時の情報共有の重要性が改めて浮き彫りになりました。
まとめ|大きな事故を防いだ迅速対応と今後への教訓
多摩動物公園で発生したタイリクオオカミの脱走事案は、幸いにも人的被害がなく終息しました。しかし、大型肉食動物の管理という点で、多くの課題と教訓を残した出来事でもあります。
今後、脱走原因の検証と再発防止策がどのように示されるのかが注目されます。来園者が安心して動物と向き合える環境を維持するためにも、動物園の安全対策と情報発信の在り方が問われています。

