PTAは入らなくていい?PTAの実態と向き合い方

PTAは入らなくていい? 教育・育児

小学校や中学校への入学が決まると、多くの保護者が不安に感じるのが「PTA」への加入です。PTAとは「Parent-Teacher Association(保護者と教職員の会)」の略で、子どもたちのために活動するボランティア団体とされています。

ですが、最近では「PTAは負担が大きすぎる」「強制的に加入させられた」など、否定的な意見やトラブルの声も聞かれるようになってきました。そこで今回は、PTAの加入義務の有無や、加入をめぐるトラブル、海外との違い、今後の向き合い方について考えてみたいと思います。


PTAは任意加入です。強制ではありません

まず結論から言うと、PTAは法的には「任意団体」であり、加入は義務ではありません

2023年3月の参院予算委員会では、当時の岸田文雄首相が「PTAは任意団体であり、入退会は保護者の自由」と明言しています。また、熊本市立小学校の保護者がPTAへの強制加入を不当として提訴した裁判でも、2017年に福岡高裁で「任意加入であることを保護者に周知する」内容の和解が成立しました。

にもかかわらず、実際には「入学と同時に自動的に加入」といった慣習が根強く残っているのが現状です。埼玉県教育委員会の2024年の調査によると、県内のPTA192団体のうち、加入届を提出させているのはわずか19団体。多くは「特に断られなければ入会したとみなす」としており、任意性が十分に確保されているとは言い難い状況です。


トラブル事例

PTA加入や活動をめぐるトラブルは少なくありません。実際に報告されている例には以下のようなものがあります。

  • 加入意思を確認されないまま会費が引き落とされた
  • 非会員の子どもがPTA主催のイベントで不利な扱いを受けた
  • 役員を断ったことで周囲から非協力的と見なされ、孤立した
  • 「全員加入が当たり前」とする校長や教員の姿勢が変わらない

これらの問題は、任意団体であるにもかかわらず、「当然加入」という空気が続いていることから発生しています。特に学校側の関与が強いケースでは、PTAがほぼ公的な存在と誤認されやすく、トラブルの温床となることがあります。


海外にもPTAはある?国によって違うPTAの形

日本だけでなく、アメリカやイギリス、韓国など多くの国にPTAやそれに類する組織は存在します。

たとえばアメリカでは、PTAは州単位や全国組織に加盟する形で運営されており、活動内容や方針が明確にされています。参加も完全に任意であり、加入しなくても子どもが学校生活に支障をきたすことはありません。イギリスでは「PTA(Parent Teacher Association)」の代わりに「Parent Council」など、より緩やかな保護者組織が存在することもあります。

ただし、どの国でも共通しているのは、「保護者が学校に関心を持ち、関わる機会をつくる」という目的です。日本でも、その点においてはPTAの役割を見直し、今の時代に合った形に再構築することが求められています。

PTAを考える

PTAをなくすべき?必要性を考える

「役員のなり手がいない」「共働き世帯が多くて活動が難しい」などの理由で、PTAを廃止すべきと考える声もあります。

しかし、安易にPTAをなくしてしまうことで、以下のようなデメリットがあることも忘れてはいけません。

  • 学校の様子を知る機会が減る
  • 校長や教職員と直接話す機会がなくなる
  • 地域とのつながりが希薄になる

実際にPTAの代替として「学校運営協議会(コミュニティ・スクール)」を設置するケースもありますが、参加する保護者はごく一部に限られ、会議が形骸化しているとの指摘もあります。


今後のPTAとの向き合い方:ただ乗り問題と外部協力の視点

PTAの見直しを進める上で課題となるのが、いわゆる「ただ乗り」の問題です。非会員でありながら、自分の子どもだけ活動に参加させることが公平なのかという声もあります。

この点については、明確なルールづくりや、外部からのボランティア受け入れ制度など、柔軟な選択肢を用意することが今後の課題です。地域のNPOや企業と連携するなど、保護者に限らない形での「協力体制」を築いていく視点も重要です。


「続ける・見直す・変える」ためにできること

現状を変えるには、保護者や教職員自身が主体的に関わり、声を上げていくことが必要です。以下のような行動が一つのヒントになるかもしれません。

  • PTAに入る前に「入会届」や「活動内容」の確認をする
  • 会則や活動の透明性について話し合う場を設ける
  • 学校や教育委員会に対して、任意性の明示を求める
  • 外部と連携した新しいモデルを提案する

PTAは、もともと子どもたちのために保護者と教職員が協力してつくった組織です。だからこそ、「負担だからやめる」ではなく、「よりよい形に変える」という視点で向き合うことが、今の時代に求められているのではないでしょうか。

教育・育児
この記事を書いた人
Rouma

日々のニュースやSNSの話題できになることを中心に、感じたことや、役立った情報をお届けしています。

新聞配達、データ入力、動物病院の助手、ペット用品の販売、製薬会社や銀行での派遣事務など、さまざまなお仕事を経験。現在は在宅で事務代行をしながらライターとして活動しています。

小学生の子供と柴犬に癒される日々です。

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