2025年4月17日、政府が2022年から実施してきた「燃料油価格激変緩和補助金」が、初めて支給額ゼロ円となりました。これは原油価格の下落を受けたものであり、一見すると良いニュースのように思えるかもしれません。
しかし実際には、ガソリン価格がほとんど下がっておらず、多くの人がその理由に疑問を抱いています。
この記事では、補助金制度の開始から現在までの推移、なぜ今回ゼロ円になったのか、ガソリン価格が下がらない本当の理由、そして私たちが今できる対策について詳しく解説します。さらに、ガソリンを少しでも安く給油するための具体的な方法や、今後必要となるエネルギー政策の方向性についても触れています。
補助金制度はいつから始まり、どう推移してきたのか
「燃料油価格激変緩和補助金」は、2022年1月に始まりました。当時の世界的な原油高騰とウクライナ情勢により、ガソリン価格は大きく上昇していました。
補助金は当初1リットルあたり5円前後の支給でしたが、その後段階的に増額され、ピーク時には35円を超える補助が実施されるなど、国民の生活支援策として重要な役割を果たしてきました。
2025年3月末で終了予定だったものの、政府は当面継続する方針に転換。そして今回、制度開始以来初めて支給額がゼロ円になったのです。
なぜ補助金が「ゼロ円」になったのか
原油価格の下落が主因
今回補助金がゼロ円となった最大の理由は、原油価格の下落です。
アメリカの通商政策への懸念や世界経済の減速見通しなどが背景にあり、国際的な原油価格は一時的に低下しました。
資源エネルギー庁が設定する基準である「全国平均1リットル185円以下」を下回ったことで、補助金の発動条件を満たさなくなり、結果的にゼロ円となったのです。
ガソリン価格が下がらない理由
原油が安くなり補助金も打ち切られたのに、なぜガソリン価格は高止まりしているのでしょうか。その理由は複数あります。
ガソリン価格には多くの税金が含まれている
ガソリン1リットルあたりには、ガソリン税(本則+暫定税率)、地球温暖化対策税、消費税が上乗せされており、合計で60円以上が税金です。
この「構造的な高さ」が、原油価格の下落を相殺しています。
円安や為替の影響が価格に反映
原油はドル建てで取引されるため、円安が進むと国内価格は上昇します。現在は円高傾向にあるとはいえ、即座に小売価格に反映されるわけではありません。
元売り会社による価格維持も影響か
一部では、補助金が存在した期間中も、元売り企業が価格を維持することで利益を確保していたのではないかという指摘もあります。
補助金の恩恵が本当に消費者に届いていたかどうかは、引き続き検証が求められます。
ガソリンを安く給油するためのコツ
今すぐできる対策として、ガソリン価格を抑える工夫を紹介します。
比較サイトやアプリを活用する
「gogo.gs」「e燃費」などの比較サイトを活用すると、地域ごとの最安価格がわかります。こまめに確認する習慣をつけると効果的です。
セルフスタンドを利用する
セルフ式のガソリンスタンドは人件費が抑えられており、フルサービスのスタンドよりも安価なケースが多くあります。
会員制度やポイントカードを活用
各社の発行するポイントカードやアプリを使うことで、リッター数円の割引やポイント還元を受けられます。
ガソリンカードを利用する
ガソリンカードとは、ガソリンスタンドでの給油時に割引特典や高還元率のポイント・キャッシュバックを受けられるクレジットカードのことです。
主に石油元売会社(ENEOS、出光、コスモ石油など)と提携して発行されるカードで、各社のスタンドでの利用時に特典を得られるよう設計されています。
ただし、石油会社系のカードだけでなく、一般的な高還元クレジットカードの中にも、ガソリン代の支払いに強いカードがあります。車を頻繁に利用する方にとっては、家計の節約に直結する重要なアイテムです。
時間帯・曜日に注目する
ガソリン価格は、平日と週末、時間帯によって変わることがあります。特に平日の午前中や深夜の割引に注目しましょう。
補助金頼みでは限界、構造的なエネルギー政策を
短期的な補助金に頼るだけでは、エネルギー価格の安定にはつながりません。
省エネと再生可能エネルギーへのシフトが必要
ガソリン車から電気自動車(EV)やハイブリッド車への転換、太陽光・風力といった再生可能エネルギーの活用が、中長期的には不可欠です。
エネルギー自給率の向上こそが、価格の安定につながる道です。
ガソリン税・暫定税率の見直しも議論を
一部では、暫定税率の恒久化に対する不満も根強くあります。
価格の透明性や公平性を確保するためには、税制そのものの見直しも避けて通れません。
まとめ
2025年4月、政府のガソリン補助金が制度開始以来初めて「ゼロ円」になりました。しかし、ガソリン価格はほとんど下がっておらず、私たちの生活への影響は続いています。
原油価格、為替、税制といった複雑な要因が絡む燃料価格。今後は一人ひとりが情報を得て、日常的に節約を意識すると同時に、より持続可能なエネルギー社会の実現に向けて、構造的な議論を深めていくことが求められます。