新学期の始まり。ピカピカのランドセルを背負った新1年生の姿が街にあふれるこの季節、実は多くの家庭で「ランドセルが重い」という悩みが生まれています。とくに低学年の小さな体には、その重さが思った以上に負担になっているのです。
ランドセル症候群とは何か?
「ランドセル症候群」とは、3キロ以上のランドセルを毎日背負って通学することで、次のような心身の不調を引き起こす状態をいいます。
- 肩こり、腰痛、筋肉疲労
- 通学時の不快感や倦怠感
- 学校に行くことそのものへの苦手意識
実際に、小学3年生までの子どもたちの約9割が「ランドセルが重い」と感じており、中には登校そのものがつらくなってしまう子どももいます。
重いランドセル、なぜこんなに?
原因① 教科書の大型化と教科数の増加
教科書のサイズがB5からA4に変わり、ページ数も増えています。低学年でも5〜6冊の教科書・ノートを持ち歩くことは珍しくありません。
原因② タブレットの持ち帰り
GIGAスクール構想の一環として全国の小学校に導入されたタブレット。しかし、多くの家庭では「毎日持ち帰るが、家では使っていない」という声も。重量は700g以上ある機種もあり、大きな負担です。
原因③「置き勉」の禁止
文部科学省は2018年に「置き勉(教科書の学校保管)」を認めましたが、未だに「すべて持ち帰るように」と指導している学校も少なくありません。
小学生の約9割が「ランドセルは重い」と回答
最近の調査(株式会社フットマーク調べ)では、小学生の89.2%が「ランドセルが重い」と感じているという結果が出ています。また、通学時に体の痛みを感じたことがある児童も約3人に1人に上っています。
これは決して少数派の問題ではなく、子どもたちの大多数が直面している現実なのです。
軽量ランドセルの選び方
最近では、従来のものよりも一回り大きくなってきています。これは、ファイルなどがA4サイズであることや、タブレット端末の導入が進んだことが大きな要因です。負担が少ないモデルが重さ1,000g以下の「軽量モデル」や、肩や腰にフィットする構造のランドセルが登場しています。
選ぶ際のポイント:
- A4フラットファイルが入るサイズ
- 人工皮革(クラリーノなど)で軽量
- チェストベルト付きで体への負担軽減
- 無駄な金具が少ない構造
ランドセルを選ぶ際には、単に「本体が軽い」だけでなく、背負いやすさや荷物を入れたときのバランスも重要なポイントとなります。子どもの背中の形にフィットするかどうか、重心が下がらないかなど、実際に試着することが失敗のない選び方につながります。
価格が高騰している傾向(10万円以上のモデルも)には注意が必要ですが、丈夫さや6年間使える機能性を見極めて選びましょう。
人気の軽量ランドセルモデル紹介(2025年時点)
現在市場には、多くの軽量モデルが登場しており、選択肢は豊富です。中でも特に支持を集めているのが以下のようなブランドやモデルです。
- セイバン「スゴ軽 エアーII」:重さ約890g。背中のヘリをなくしたコンパクトな形状で、内寸は広めの約13.5cmで大容量です。また、マグネット式の錠前で開閉が楽に行えます。
- フィットちゃん「フィットちゃんベーシック軽量 安ピカッ」:約1,050g 高機能でありながらシンプルで軽く、大容量なランドセル。雨で視界が悪い日や夕暮れ時に、ランドセルのふちがピカッと光ります。
これらのランドセルは、大手百貨店やショッピングモールだけでなく、ネット通販でも手軽に購入することができます。ただし、ネットでの購入は便利な反面、実際の背負い心地を確かめにくいため、店舗での試着を推奨します。

ランドセルを軽くする収納術
重いものを背中側に入れる:教科書やノートなどの重いものをランドセルの背中側に入れ、軽いものを外側に配置することで、重心が体に近づき、軽く感じられ
荷物をきちんと整頓する:物がバラバラに入っていると偏りができ、体に余計な負担がかかります。毎日、必要な物を見直して整理整頓を心がけることで、不要な荷物を省き、総重量の軽減にもつながります。
ポーチやケースで仕分ける:筆箱や小物類を専用のポーチにまとめておくことで、荷物の移動が少なくなり、偏った重さの発生を防げます。
家庭でできる「軽くする」習慣づくり
ランドセルを軽くするには、日々の「中身の見直し」も大切です。登校前に、今日必要なものだけを整理し、余分な荷物を減らす習慣を親子で身につけることが効果的です。特に低学年のうちは、保護者が一緒に中身をチェックすることで、「なぜこれは必要なのか」を話しながら整理整頓の力も育てられます。
加えて、サブバッグの使い方を見直すことも有効です。体操服や水筒を別に持たせる場合でも、子どもの肩への負担が分散されるよう、リュックタイプや斜めがけなど工夫の余地があります。
学校と話し合って「置き勉」やタブレット運用を見直す
- 学校によっては「週末のみ持ち帰り」などのルールが可能です。
- 教科書をすべて持ち帰るよりも、タブレットを置いてくる方が軽くなるケースもあります。
学校に相談する際には、「ランドセル症候群」や通学の身体的負担について具体的に伝えると、理解されやすくなります。
子ども目線での改善が求められる時代へ
重いランドセルを「当たり前」とする時代は、そろそろ終わりにすべきかもしれません。便利な道具が増えたはずの今、逆に子どもたちの体に負担がかかっている現実があるのです。
ランドセルの形状や材質を見直すだけでなく、教科書のデジタル化、タブレットの持ち帰り運用の見直し、「置き勉」の柔軟な運用など、学校側にも改善してほしい点は多くあります。
私たち大人がすべきことは、子どもの声に耳を傾けること。ランドセルが重すぎるなら、それをどう軽くするかを真剣に考え、行動に移すことではないでしょうか。
まとめ:子どもの健康を守るために、できることから始めよう
「ランドセル 重い」「ランドセル 軽くする」と検索する保護者が増えている背景には、子どもの健康と安全を願う真剣な気持ちがあります。ランドセルは、単なる鞄ではなく、子どもたちの毎日を支える大切なパートナーです。
だからこそ、デザインやブランドだけでなく、「軽さ」「使いやすさ」「体への負担の少なさ」といった要素を重視したランドセル選びを意識してみてください。そして、家庭と学校が一体となって、子どもの健やかな成長を支える通学環境を整えていくことが、今後ますます大切になっていくはずです。