2025年の大みそかに放送される「第76回NHK紅白歌合戦」をめぐり、韓国発の多国籍ガールズグループ aespa(エスパ) の出場について、NHKが「予定に変更はない」と正式に発表しました。
一方で、中国人メンバーである ニンニン(NINGNING) の過去のSNS投稿が再び注目され、SNSや署名サイトを中心に賛否の声が広がっています。
本記事では、
- 何が問題視されているのか
- なぜ今になって再燃したのか
- NHKはどのような基準で判断したのか
を整理し、冷静に読み解いていきます。

aespaとはどんなグループか
aespaは、韓国の大手芸能事務所SMエンターテインメントに所属する4人組ガールズグループです。
メンバーは韓国、日本、中国など複数の国籍で構成されており、K-POPの中でも国際色の強いグループとして知られています。
近年は日本での活動も活発で、音楽番組やライブを通じて知名度を高めてきました。
今回の紅白歌合戦出場も、そうした実績を踏まえたものとされています。
物議を醸したaespaニンニンの過去投稿とは
問題となっているのは、ニンニンが 2022年5月にファン向けアプリへ投稿した写真 です。
投稿文自体は「かわいいランプを買ったよ」という趣旨のものでしたが、掲載されたランプの形状が キノコ雲を連想させる と受け取られました。
キノコ雲は、日本においては原爆被害を強く想起させる象徴です。
そのため、「原爆を軽視しているのではないか」「配慮に欠ける」という批判がSNS上で拡散しました。
当時は一部で話題になったものの、大きな社会問題には発展せず、時間の経過とともに沈静化していました。
aespaの 紅白歌合戦出場発表で再燃
この問題が再燃した直接のきっかけは、aespaの 紅白歌合戦出場発表 です。
国民的番組への出演が決まったことで、過去の行動が改めて掘り起こされました。
さらに、11月には Change.orgで「aespaの紅白出場停止を求める署名」 が立ち上がり、SNSを通じて広く拡散されました。
これにより、世論の議論が活発化したのです。
aespaニンニン側と所属事務所の説明・主張
今回問題とされている投稿について、ニンニン本人および所属事務所は、原爆や戦争を揶揄する意図は一切なかったと説明しています。
ニンニンが写真を投稿した当時は、あくまで「デザインがかわいいと感じた照明器具を紹介しただけ」であり、その形状が日本で特別な意味を持つことについて、十分な認識がなかったという立場です。
NHKも定例会見の中で、所属事務所を通じて当時の状況や意図について確認したことを明らかにしています。その結果として、「原爆を連想させる表現を意図したものではない」と判断したと説明しました。
NHK側は、出演可否の判断にあたって、過去の一件だけでなく、今年の活動実績や視聴者の支持、番組全体の企画意図などを含めて総合的に検討したとしています。
つまり、ニンニン側・事務所・NHKの共通した認識は、「不適切と受け取られる可能性はあったが、悪意や挑発的意図は確認されなかった」という点にあります。
SNSの反応
一方で、SNS上ではこの説明に対して賛否が大きく分かれています。
肯定的な意見としては、「意図がなかったのであれば過度に責めるべきではない」「数年前の投稿を理由に現在の活動を否定するのは行き過ぎだ」といった声が見られます。グローバルに活動するアーティストに対して、日本独自の歴史認識をすべて求めるのは現実的ではない、という意見も少なくありません。
その一方で、批判的な意見も根強く存在します。
「意図がなかったでは済まされない」「原爆を連想させる表現に対する配慮が欠けていたこと自体が問題だ」「公共放送であるNHKは、より慎重であるべきだ」といった声が多く投稿されています。特に、被爆地に関わりのある人々や、その歴史に強い思いを持つ層からは、説明が不十分だと感じる意見も見受けられます。
また、SNSでは「謝罪の有無」や「本人の言葉での説明がない点」を指摘する投稿もあり、単なる是非論を超えて、説明の仕方や姿勢そのものが問われている状況です。
NHKの公式見解と判断理由
2025年12月17日、NHKは定例会見でaespaの紅白出場について言及しました。
担当者は、以下の点を明らかにしています。
- 問題の投稿については 把握している
- 所属事務所を通じて事実確認を行った
- 原爆を揶揄する意図はなかった ことを確認した
- 出演可否は、今年の活動実績、世論の支持、番組企画などを 総合的に判断 した
そのうえで、「出演予定に変更はない」と明言しました。
NHKとしては、意図の有無と現在の活動状況を重視し、公共放送としての判断を下した形です。

原爆をめぐる表現と日本社会の感受性
この問題が大きな反響を呼んだ背景には、日本特有の歴史的事情があります。
広島・長崎の原爆被害は、今もなお多くの人々にとって深い記憶として残っています。
たとえ悪意がなかったとしても、原爆を連想させる表現に対して強い反発が生じやすいのは事実です。一方で、海外出身のアーティストがその文脈を十分に理解していなかった可能性も否定できません。
この点は、「無知と加害性をどう評価するか」という、非常に難しい問題を含んでいます。
署名活動はどこまで影響力を持つのか
オンライン署名は、問題提起の手段として一定の役割を果たします。
しかし、署名数がそのまま社会全体の総意を表すわけではありません。
放送局が判断を下す際には、
- 署名の有無
- 事実確認の結果
- 当事者の説明
- 番組全体の公共性
といった複数の要素を考慮する必要があります。
NHKは今回、署名の存在を踏まえつつも、最終的には独自の基準で判断したと言えるでしょう。
問われる出演者選定の背景
この問題に正解はありません。
ただし、感情的な賛否だけでなく、以下の視点を持つことは重要です。
- 過去の行動と現在の活動をどう評価するか
- 意図がなかった行為にどこまで責任を求めるのか
- 公共放送に求められる説明責任とは何か
紅白歌合戦は「国民的番組」であるからこそ、出演者選定の背景が問われ続けます。
まとめ:冷静な議論が求められる事例
aespaの紅白出場をめぐる今回の騒動は、
グローバル化したエンタメと、日本社会の歴史的感受性が交差した象徴的な事例 だと言えます。
NHKは出演予定に変更はないと判断しましたが、視聴者の疑問や不安が完全に解消されたわけではありません。
今後も、説明の透明性や再発防止への姿勢が注目されるでしょう。
大切なのは、誰かを一方的に断罪することではなく、
事実を整理し、背景を理解したうえで冷静に考えることです。
この問題は、エンターテインメントと社会の関係を改めて考えさせる出来事と言えるでしょう。

