日本マクドナルドが2025年11月19日から、全国の店舗で「紙ストロー」の提供を順次終了することを発表しました。これまで環境配慮の一環として導入されていた紙ストローですが、ユーザーの使い勝手や飲み心地などに関して不満の声も多く、今回の変更には「待ってました!」という反応がSNS上で広がっています。
紙ストロー廃止の背景と新しい「ストローレスリッド」の特徴
マクドナルドは公式サイトで、バージンプラスチック削減の取り組みを強化すると発表しました。新たに導入されるのは、ストローを使わずにそのまま飲める「ストローレスリッド(リサイクルPET製のフタ)」です。
このフタは、3年以上の開発期間をかけて完成したもので、店内利用だけでなくテイクアウトやドライブスルーにも対応できる設計になっています。
素材には100%リサイクルPETを使用しており、環境負荷を抑えると同時に、炭酸飲料の噴き出しを防ぐよう工夫された構造です。デリバリー時の振動などによる中身の漏れを防ぐため、密閉性にも優れています。
これにより、紙製ストローは全国で順次提供を終了することになります。ただし、ハッピーセットやマックシェイク、マックフィズ、マックフロート、フラッペ、スムージーなど一部の商品では、引き続きストロー付きで提供されます。
ストローが必要な人にはどう対応するのか?
SNS上では、「紙ストローがなくなるのは嬉しいけど、障がいがある人はどうするの?」という声も上がっています。
実際、作家の乙武洋匡さんは過去に「ストローが使えないと飲み物を飲めない人もいる」と発言しており、環境対策とバリアフリーの両立が重要であることを指摘していました。
マクドナルド側は、ストローが必要な方には引き続き提供できる体制を整える方針としています。つまり、全店舗で完全にストローを廃止するわけではなく、必要に応じて柔軟に対応するという形です。環境と人への配慮を両立したこの方針は、多くの人から支持を集めています。

レジ袋も環境対応へ バイオマスプラスチック95%使用に
今回の発表では、ストローだけでなくレジ袋の素材変更も注目されています。
マクドナルドは同日、全国の店舗で「バイオマスプラスチック95%使用」の新しいレジ袋を導入すると発表しました。これは、すでに長崎県で先行導入されており、耐久性や使い心地も従来と変わらないことが確認されています。
この変更により、店舗運営全体での環境負荷をさらに軽減することが期待されます。
ハッピーセットの絵本も“脱プラスチック化”へ
マクドナルドでは、子ども向けの「ほんのハッピーセット」でも環境に配慮した取り組みを進めています。
2025年3月以降、絵本のハードカバーをFSC認証の紙製ソフトカバーに変更し、パッケージもビニール製から紙製に切り替えられます。これにより、絵本シリーズからも“バージンプラスチック”が完全になくなります。
子どもたちが自然と環境にやさしい素材に触れる機会を増やすことで、企業としての社会的責任を果たすだけでなく、教育的な側面も担っている点が特徴です。
紙ストロー廃止は「現場の声」から?ネット上の反応
今回の発表後、SNSでは「マックの進化が止まらない」「これはナイス」「紙ストローは不評だったもんな」といったポジティブなコメントが多数寄せられています。
中でも、紙ストローに対する不満は根強く、「飲み心地が悪い」「時間が経つとふやける」「炭酸飲料には合わない」といった声が多かったため、ユーザーからの反応は概ね好意的です。
マクドナルドとしても、環境と顧客満足の両立を目指す中で、より現実的な選択として今回のリッド導入を決断したとみられます。
学校給食でも進む「ストロー廃止」の流れ
実は、ストローの使用削減はマクドナルドだけの動きではありません。
全国の学校給食でも、紙パック牛乳に付属するストローの廃止が進んでいます。
自治体によっては、紙パックの飲み口を直接口に当てて飲む方式に切り替えており、年間数トン単位でプラスチック削減を実現している例もあります。
ただし、こちらも同様に「障がい児が飲みづらくなるのでは」との懸念があり、柔軟な対応を求める声が上がっています。
マクドナルドのように「必要な人には提供する」という姿勢は、今後の環境政策のモデルケースになるかもしれません。

未来の環境技術:「塩で溶けるプラスチック」も登場
環境対策の流れの中で注目されているのが、「塩で溶けるプラスチック」です。
これは、通常のプラスチックと同じように使用できるにもかかわらず、使用後に塩水に溶かすことで完全に分解されるという新素材。
すでに日本の研究チームが実用化に向けた開発を進めており、将来的には食品容器やストローなどへの応用が期待されています。
こうした技術が広がれば、「使いやすく、かつ環境に負担をかけない」理想的な素材が実現するかもしれません。
マクドナルドの環境戦略は次のステージへ
マクドナルドはこれまでも、プラスチックカトラリーの廃止や紙製パッケージの採用など、サステナブル経営を積極的に推進してきました。
今回の紙ストロー提供終了は、その延長線上にある取り組みです。
重要なのは「廃止すること」ではなく、「誰もが困らない形で持続可能な社会をつくること」。
マクドナルドの姿勢は、企業としての責任を果たすだけでなく、消費者や社会全体が“環境と共存する選択”を考えるきっかけになりそうです。
まとめ:環境と快適さの両立をめざすマクドナルドの挑戦
マクドナルドの「紙ストロー提供終了」は、単なる利便性の改善ではなく、持続可能な未来を見据えた一歩です。
リサイクルPET製リッドの採用やバイオマス素材への切り替えなど、企業としての環境意識の高さがうかがえます。
一方で、ストローが必要な人への配慮も忘れない姿勢は、多様性の尊重という観点からも高く評価されています。
学校給食や新素材開発など、社会全体でも同様の動きが広がる中、マクドナルドの取り組みは“次世代型エコ社会”への象徴的な変化といえるでしょう。

