アメリカのトランプ大統領が、10月27日(月)から29日(水)までの3日間、公式実務訪問賓客として日本を訪れます。トランプ氏の来日2019年6月、20カ国・地域首脳会議(G20大阪サミット)の時以来となります。
トランプ政権の2期目発足後、初めてのアジア歴訪の一環であり、日本では高市早苗首相との首脳会談が予定されています。今回の訪日は、日米関係の再構築や安全保障、エネルギー、経済分野など、幅広いテーマで重要な意味を持つとみられています。
トランプ大統領来日の主な日程【10月27日〜29日】
10月27日(月)
トランプ大統領は、マレーシアでの首脳会談を終え、同日夕方に羽田空港へ到着予定です。夜には皇居を訪れ、天皇陛下との会見が行われる見通しです。
この訪問は、アメリカ大統領としての正式な国賓級待遇にあたり、儀礼的な行事だけでなく、国際社会に対するメッセージ性も強いものとなります。
10月28日(火)
午前中には、高市早苗総理大臣との初の日米首脳会談が行われます。
議題としては以下のテーマが中心になると見られています。
- 日米同盟のさらなる強化
- 「自由で開かれたインド太平洋」構想の推進
- 日本の防衛費負担の見直し
- コメやLNG(液化天然ガス)の輸入拡大
- 対米投資とレアアース供給網の再構築
特に、レアアース(希土類)資源の安定供給については、両国の経済安全保障に直結する議題として注目されています。中国への依存度を下げ、日米間でサプライチェーンを強化する狙いがあるとみられます。
米海軍「ジョージ・ワシントン」視察へ
会談後には、高市首相とトランプ大統領が専用ヘリコプターで米海軍横須賀基地(神奈川県横須賀市)へ移動し、原子力空母「ジョージ・ワシントン」を共に視察する予定です。
この動きは、日米防衛協力の象徴的な場面として大きく報じられる見込みで、同盟関係の緊密さを内外に示す意図があるとされています。
また、首脳会談後の夕刻には、拉致被害者家族との面会が調整されているとの報道もあり、人権問題を重視する姿勢を打ち出す可能性があります。
夜には、首相官邸主催の公式夕食会が予定されており、経済界・政財界関係者も同席する方向で準備が進んでいます。
10月29日(水)
滞在最終日には、トランプ大統領が日本での公式日程を終え、次の訪問地である韓国へ向かう予定です。
韓国ではユン・ソンニョル大統領と会談し、米韓同盟や北朝鮮問題を協議するとみられています。さらに、その後には中国・北京を訪れ、習近平国家主席と会談する計画も明らかになっており、アジア全体の外交戦略において重要な位置づけとなっています。
来日に伴う交通規制に注意
トランプ大統領の来日にあわせ、10月27日〜29日の期間、都内では大規模な交通規制が実施されています。
特に首都高速道路や都心部の主要幹線道路では、一時的な通行止めや車線規制が行われる見込みです。移動時間や区間の詳細は、警備上の理由から非公表となっていますが、警視庁は「不要不急の外出を避けてほしい」と呼びかけています。
過去のアメリカ大統領来日とその意義
トランプ前政権時(2019年5月)
今回のトランプ大統領の日本訪問は今回が2期目での初となりますが、初政権時にも2019年に令和初の国賓として来日しています。
当時は天皇陛下(現上皇陛下)との会見や安倍晋三首相とのゴルフ外交など、親密な関係を象徴する訪問でした。東京・両国国技館で大相撲観戦を行い、「トランプ杯」を優勝力士に授与したことも話題になりました。

バイデン大統領(2022年)
ジョー・バイデン前大統領は2022年に来日し、岸田文雄首相との首脳会談で「経済的安全保障」や「半導体サプライチェーン強化」などを中心に協議しました。
また、クアッド(日米豪印)首脳会合も開催され、自由で開かれたインド太平洋の推進を確認しました。

オバマ大統領(2014年)
さらに遡ると、オバマ大統領が2014年に来日し、安倍政権下で安全保障協力とTPP交渉をめぐる議論を行いました。オバマ氏はその際、広島訪問の意向を示し、後に大統領として初めて被爆地を訪れています。

今回の訪日が持つ意味
今回のトランプ大統領の来日は、単なる儀礼的な外交イベントではなく、日米同盟の新たな段階を象徴するものとされています。
高市首相にとっては、女性初の首相として初めて迎える米大統領との会談であり、国内外の注目が集まっています。
経済分野では、レアアースの安定供給や防衛産業の協力拡大が焦点となる見通しで、特にエネルギー・資源問題では日本企業への直接投資も期待されています。
安全保障面では、米国の対中戦略における日本の役割がさらに高まる可能性があり、横須賀での「ジョージ・ワシントン」視察はその象徴的な出来事となるでしょう。

