岐阜県大垣市で、エンジンを切った車内に犬を約4時間放置した飼い主が、動物愛護法違反の疑いで書類送検される方針となりました。幸い犬は一命を取り留めましたが、外気温30度を超える夏の日にエンジンを切った車内に放置する行為は、熱中症や命の危険を招く極めて危険な行為です。
本記事では、この事件をきっかけに「ペットの車内放置」がなぜ虐待とされるのか、また飼い主が守るべき法的責任について詳しく解説します。
岐阜・大垣で起きた犬の車内放置事件
7月、大垣市内のショッピングモール駐車場で、飼い主の男性が犬を車内に残したまま約4時間買い物をしていました。通行人がぐったりとした犬を発見して通報し、犬は救出されました。当日の気温は33度に達しており、車内温度はそれ以上に上昇していたとみられます。
警察はこの行為を動物愛護法違反(虐待)と判断し、さらに飼い主が犬の登録や狂犬病予防接種を怠っていたことから、狂犬病予防法違反でも書類送検する方針を固めました。

車内放置は「虐待」に当たる行為
動物愛護管理法では、動物に不必要な苦痛を与える行為や適切な世話を怠る行為は虐待として処罰の対象になります。夏場の車内はわずか10分で外気温よりも20度以上高くなることがあり、閉め切った空間で犬を放置することは命を脅かす重大な行為です。
飼い主が「少しの時間だから大丈夫」と思っても、短時間で動物が熱中症に陥る可能性があるため、法的にも社会的にも「虐待」として厳しく見られます。
犬に義務付けられている登録と狂犬病予防接種
日本では犬を飼う際に、市区町村への登録(生涯1回)と毎年の狂犬病予防注射が義務付けられています。これを怠ると20万円以下の罰金が科されることがあります。狂犬病は世界的には依然として致死率の高い感染症であり、日本でも法律で予防が徹底されています。
適切な登録と予防接種を行うことは、ペットの命を守るだけでなく、社会全体の安全を守るための重要な責任です。
車内で犬を放置するとどうなる? — 熱中症のリスク
犬は人間と違って汗腺が少なく、体温を効率的に下げることができません。高温の車内に置かれると短時間で体温が急上昇し、呼吸困難や意識障害、最悪の場合は死に至ることがあります。
特に以下の条件では危険が一層高まります。
- 夏場の直射日光下
- 気温が25度を超える日
- 換気が不十分な密閉空間
- 老犬や短頭種(パグ、フレンチブルドッグなど)
このような状況では、数十分どころかわずか数分で深刻な熱中症を発症する可能性があるのです。
動物虐待の摘発は年々増加
警察や行政による動物虐待の摘発件数は増加傾向にあります。ペット飼育者の増加とともに、社会全体の動物愛護意識も高まっており、「車内放置」は社会的にも厳しく非難される行為です。
SNSや報道でも広く拡散されるため、飼い主は「少しだけ」という軽い気持ちが大きな社会問題に発展することを自覚する必要があります。
車内放置を見かけたときの行動
もし駐車場などで車内に取り残された犬や猫を見かけたら、以下の行動を取ることが推奨されます。
- 警察(110)や消防(119)に通報し、場所や車の情報を正確に伝える。
- 施設の管理者に報告し、館内放送などで飼い主を探してもらう。
- 証拠として写真や動画を記録し、発見時の状況を残す。
- 緊急時は救助の判断が必要になる場合もあるが、原則として警察や消防の到着を待つ。
安易に窓を割るなどの行動は法的リスクを伴うため、まずは通報が最優先です。
飼い主が守るべき基本ルール
ペットを守るために、飼い主が必ず守るべき基本ルールを整理します。
- 夏場はもちろん、春や秋でも車内にペットを残さない
- 犬の登録と狂犬病予防接種を毎年必ず実施
- 移動中は水分補給や休憩を計画的に確保
- エアコンの不具合などのトラブルも想定して行動する
これらはすべて「命を守るための最低限の義務」です。
まとめ — ペットを守るのは飼い主の責任
岐阜・大垣で起きた犬の車内放置事件は、飼い主の無責任な行動がいかに動物の命を危険にさらすかを示す事例です。
ペットを飼うことは「家族」としての愛情を注ぐだけでなく、法律上の責任も伴います。動物虐待の摘発が増える中、社会は飼い主のモラルに厳しい目を向けています。
ペットの命を守れるのは飼い主だけです。ちょっとした油断が取り返しのつかない事態につながることを肝に銘じ、責任ある行動を心がけましょう。