潜在ケアマネ12.5万人 資格保有者4割が従事しない理由と人材不足

潜在ケアマネ12.5万人 資格保有者4割が従事しない理由と人材不足 時事・ニュース
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介護保険制度を支える重要な専門職であるケアマネジャー(介護支援専門員)について、深刻な実態が明らかになりました。2025年12月20日、共同通信が47都道府県を対象に行った調査で、有効な資格を持ちながらケアマネとして働いていない人が約12万5千人に上ることが分かりました。これは、資格保有者全体のおよそ4割にあたり、「潜在ケアマネ」と呼ばれています。

高齢化が進む中で介護ニーズは増え続けているにもかかわらず、なぜこれほど多くの有資格者が現場に戻らないのでしょうか。本記事では、「潜在ケアマネ」が生まれる背景と、ケアマネ不足が介護保険制度全体に与える影響、そして今後求められる対策について、わかりやすく解説します。

「潜在ケアマネ」12.5万人 資格保有者4割が従事せず(共同通信) - Yahoo!ニュース
介護保険サービスの利用計画を立てるケアマネジャーの有効な資格を持つ人のうち、4割に当たる推計12万5千人が従事していない実態が20日、共同通信の47都道府県への調査で分かった。「潜在ケアマネ」と呼

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潜在ケアマネとは何か

ケアマネジャーは、要介護者や要支援者が介護保険サービスを利用する際に、ケアプラン(介護サービス計画)を作成し、事業者や医療機関、家族との調整を行う専門職です。介護保険制度の「司令塔」とも言える存在で、質の高いケア提供には欠かせません。

ケアマネ資格は国家資格ではありませんが、一定の実務経験を経て試験に合格し、都道府県に登録することで取得できます。また、資格は5年ごとの更新制となっており、法定研修の受講が義務付けられています。

今回の調査では、有効な資格を保有している人は全国で約31万1千人いる一方、実際に従事している人は約18万5千人にとどまっていることが分かりました。その差にあたる約12万5千人が「潜在ケアマネ」です。


なぜ潜在ケアマネが増えているのか

処遇と賃金への不満

潜在ケアマネが多い最大の理由として挙げられるのが、賃金や処遇への不満です。ケアマネは高い専門性と責任を求められる職種ですが、その負担に見合った報酬が得られていないと感じる人は少なくありません。

利用者や家族との調整、行政対応、トラブル対応など精神的な負担も大きく、「責任が重い割に給与が上がりにくい」という声が現場から聞かれています。

業務量の多さと精神的負担

ケアマネの仕事は、ケアプラン作成だけではありません。サービス担当者会議の開催、モニタリング、給付管理、記録作成など、事務作業も非常に多くなっています。

さらに、利用者や家族からの要望・苦情対応、緊急時の連絡対応などもあり、時間外対応が常態化しているケースも見られます。こうした働き方に負担を感じ、資格はあっても現場復帰をためらう人が増えています。

法定研修の負担

ケアマネ資格は更新制であり、更新のたびに指定された研修を受講し、受講料を支払う必要があります。仕事をしていない期間が長い人ほど、「研修の時間確保が難しい」「費用負担が重い」と感じやすく、これが復職のハードルとなっています。


ケアマネ不足がもたらす影響

介護サービス利用の遅れ

ケアマネが不足すると、要介護認定を受けてもケアプランが作成できず、介護サービスをすぐに利用できないという事態が起こります。これは利用者本人だけでなく、家族の負担増加にも直結します。

現場ケアマネへの負担集中

人手不足の状態では、現役ケアマネ一人あたりの担当件数が増え、業務負担がさらに重くなります。その結果、疲弊や離職を招き、負の連鎖が生まれやすくなります。

介護保険制度の持続性への影響

ケアマネは介護保険制度の中核を担う存在です。その担い手が不足すれば、制度全体の円滑な運営が難しくなります。超高齢社会が進む日本にとって、ケアマネ不足は看過できない構造的課題です。


自治体による潜在ケアマネ対策

今回の調査では、11の都道県が「潜在ケアマネ」の活用に向けた施策を行っていると回答しています。主な取り組みには、以下のようなものがあります。

・再就職支援や相談窓口の設置
・ブランクのある人向けの研修支援
・柔軟な勤務形態の導入支援
・就職マッチングや情報提供の強化

これらの取り組みは、資格を持ちながら現場に戻れない人の不安を軽減し、復職を後押しする効果が期待されています。

東京都、復職する潜在ケアマネに10万円を支給 申請受け付け開始 | 介護ニュースJoint
資格を持ちながら介護現場で働いていない「潜在ケアマネジャー」の復職を後押しするため、東京都が奨励金の支給を始めた。【Joint編集部】 都内でケアマネジャーとして復職し、そのまま6ヵ月以上働いた人に10万円を支給する。人

今後求められる本質的な対策

潜在ケアマネ問題を解決するためには、単に「人を呼び戻す」だけでは不十分です。重要なのは、長く働き続けられる環境を整えることです。

具体的には、
・処遇改善による専門職としての評価向上
・業務負担の軽減と役割整理
・研修制度の柔軟化
・ICT活用による事務作業の効率化
といった総合的な見直しが求められます。


まとめ:潜在ケアマネの活用は介護制度の鍵

今回明らかになった「潜在ケアマネ」12.5万人という数字は、日本の介護保険制度が抱える課題を象徴しています。資格を持つ人が多く存在する一方で、その力が十分に活かされていない現状は、制度の持続可能性にも直結します。

高齢者が安心して介護サービスを利用できる社会を維持するためには、ケアマネジャーという専門職が正当に評価され、無理なく働ける環境づくりが不可欠です。潜在ケアマネの活用は、その第一歩と言えるでしょう。

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