2026年春入学の東京大学の学校推薦型選抜で、過去最多となる93人が合格したというニュースが話題になりました。志願者は265人にのぼり、近年の中でも多い水準となっています。一方で、一般選抜の志願者数は減少し続けており、大学入試のあり方そのものが変化していることを示しています。
この動きは、単なる東大の話題にとどまりません。いま日本の大学入試では、「学校推薦型選抜」や「総合型選抜」の比重が年々大きくなっており、入試の主役が変わりつつあるとも言われています。
この記事では、今回のニュースをきっかけに、学校推薦型選抜とは何か、なぜ拡大しているのか、そしてメリット・デメリットについて丁寧に解説していきます。
東大推薦入試、過去最多の93人合格の意味
東京大学は2016年度入試から学校推薦型選抜を導入しました。目的は、多様な学生を集め、学部教育の活性化を図ることです。従来の学力試験中心の選抜だけでは見えにくい、個性や探究力を持った人材を発掘する狙いがあります。
今回の発表では、次のような特徴が見られました。
- 合格者は93人で過去最多
- 志願者は265人と高水準
- 女性比率は45%程度
- 地方高校からの合格者も一定数
特に注目すべきは、初めて出願した高校が27校あった点です。つまり、制度が徐々に全国に浸透しつつあることを示しています。
一方で、一般選抜の志願者数は減少しています。これは「難関大学を避ける安全志向」が強まっているとも指摘されており、入試の構造そのものが変化している可能性があります。

学校推薦型選抜とは?わかりやすく解説
学校推薦型選抜とは、高校からの推薦を受けて出願する入試方式です。学力試験だけではなく、人物評価や活動実績を重視するのが特徴です。
東京大学の場合、次のような要素が評価されます。
- 学校長の推薦
- 高校での成績
- 課題研究・探究活動
- 面接や小論文
単純な学力テストだけではなく、「何を学びたいか」「どんな活動をしてきたか」が重視される点が特徴です。
もともとこの制度は、多様な背景を持つ学生を受け入れるために設計されました。特定の試験対策だけでは測れない能力を評価しようという考え方です。
なぜ推薦入試は拡大しているのか
推薦型・総合型の入試は、ここ10年ほどで急速に広がっています。その背景には、複数の社会的要因があります。
①少子化による大学側の変化
受験生の数が減る中で、大学は早い段階で優秀な学生を確保したいと考えるようになりました。推薦入試は、志望度の高い学生を早期に囲い込める制度です。
②学力偏重からの転換
従来の入試は「試験の点数」が中心でした。しかし現在は、
- 主体性
- 探究力
- 課題解決力
といった能力が重視されるようになっています。推薦入試は、こうした力を評価しやすい方式です。
③地方からの人材確保
東京の難関校出身者に偏りがちだった東大でも、推薦制度によって地方の高校からの進学が増えています。これは大学の多様性という観点でも重要です。
学校推薦型選抜のメリット
推薦入試には、多くの利点があります。
学生側のメリット
・早い時期に進路が決まる
・試験一発勝負ではない
・活動実績が評価される
・自分の得意分野を活かせる
特に、研究活動やコンテスト、地域活動などに力を入れてきた生徒にとっては、実力を示す機会になります。
大学側のメリット
・多様な人材が集まる
・志望度の高い学生を確保できる
・入学後のモチベーションが高い
大学としては、「入学後に伸びる学生」を見つけやすいという利点があります。
学校推薦型選抜のデメリット
一方で、課題も指摘されています。
公平性への疑問
学校推薦は、高校の指導体制や情報量によって有利不利が出る可能性があります。
- 進学校は対策が進んでいる
- 地方校は情報が少ない
こうした差が出ることもあります。
準備の負担が大きい
推薦入試では、
- 研究テーマ
- レポート
- 面接対策
などが必要になり、高校側の負担が増えることもあります。
学力低下への懸念
「試験を受けないで入学する学生が増えると、学力水準が下がるのではないか」という意見もあります。ただし、東大の推薦は非常に厳しく、学力も当然重視されています。
一般入試志願者が減っている理由
今回のニュースでもう一つ注目されたのが、一般選抜の志願者が過去最少となった点です。
背景としては、
- 浪人を避けたい
- 確実に合格したい
- 年内入試を狙う
といった「安全志向」が強まっていることが挙げられます。
推薦や総合型選抜は、合格のチャンスが増えるため、多くの受験生が早期決着を望むようになっています。
今後、推薦入試はさらに増えるのか
結論から言えば、今後も拡大する可能性は高いと考えられます。
理由は明確です。
- 少子化は続く
- 学力以外の能力が重視される
- 大学間の学生獲得競争が激化
東大のような最難関大学でさえ推薦制度を強化していることは、日本の入試全体の方向性を象徴しています。
それでも東大推薦は狭き門
ただし、誤解してはいけないのは、「推薦だから簡単」ではないという点です。
東大の場合、
- 高校トップレベルの成績
- 明確な研究テーマ
- 強い志望理由
が必要になります。
実際には、一般入試と同じか、それ以上に厳しい競争になることもあります。
入試は「一発勝負」から「総合評価」の時代へ
今回の過去最多合格というニュースは、単なる人数の増加ではありません。
それは、
- 入試の価値観が変わっている
- 学力以外の能力が重視されている
- 大学が求める人物像が多様化している
という大きな流れの象徴です。
学校推薦型選抜は、
- チャンスを広げる制度
- 可能性を評価する制度
である一方、
- 情報格差
- 準備負担
といった課題も抱えています。
今後は、一般入試と推薦入試が共存しながら、より多面的な評価へと進んでいくでしょう。
