2025年12月25日、インド北部バラナシ(ヴァラナシ)にあるガンジス川で、サンタクロースの帽子をかぶった外国人観光客が沐浴しようとし、現地住民から強い抗議を受ける騒ぎが発生しました。当初の報道では「日本人旅行者とみられる男性」とされ、日本国内でも大きな議論を呼びましたが、2026年1月1日、人気クリエイターグループ「坂口カメラ」が当事者であることを認め、公式に謝罪しました。
本記事では、騒動の経緯と事実関係を整理し、なぜ問題となったのか、そして日本国内で議論される「外国人の迷惑行為」と同列に語れるのかについて考察します。
サンタ帽でガンジス川の沐浴騒動の経緯
クリスマス当日の出来事
騒動が起きたのは2025年12月25日の昼頃。インドのヒンドゥー教徒にとって、ガンジス川は最も神聖な川であり、神格化された存在です。亡くなった人の魂を浄化し、罪を洗い流す力があると信じられ、多くの巡礼者が沐浴に訪れる宗教的聖地でもあります。
現場にいた住民や巡礼者は、サンタ帽に赤い水着姿の男性が沐浴しようとする様子を見て驚き、「ここは神聖な場所だ」「常識がないのか」と強い調子で制止したとされています。
住民側の主張と「放尿疑惑」
一部報道では、騒動の背景として単に衣装が不適切だっただけでなく、住民側が「川で放尿していた」と主張したという情報も出ています。
このような行為はヒンドゥー教徒にとって聖なるガンジス川への重大な侮辱行為と受け止められかねず、単なる衣装の問題を超えた強い反発につながった可能性があります。
現地メディアやSNSの反応
インド国内の報道では、騒動を単純なマナー違反として非難する論調だけでなく、観光客に対する「宗教的逆差別」の側面を問題視する報道も見られます。一部英字紙は、住民の行為を「外国人観光客に対するハラスメント」とし、政治的な文脈で報じているケースもあります。
SNSやネット掲示板上でも、現地のヒンドゥー教徒側と、外国人観光客への過剰反応を批判する意見が混在しています。事象の背景にある宗教的感情やインド社会の多様な価値観が露呈しているといえます。
ガンジス川の騒動で日本人クリエイターが謝罪
坂口カメラの謝罪では、騒動の中で特に強い反発を招いた「放尿行為」については、自分たちは関与していないと明確に否定しています。
坂口カメラによれば、放尿を行ったとされる人物は、同行はしていたもののSNS活動は行っていない第三者であり、自分たちがその行為を指示したり、容認したりした事実はないと述べています。
ただし、神聖な場所において、同行者を含めた周囲の行動に対し、十分な配慮や判断ができていなかった点については反省しているとしています。
サンタクロースの帽子を被った状態でガンジス川に入ろうとした行為そのものについても、決して問題がなかったとはしていません。事前に現地ガイドへ相談し、「大きな問題にはならない」との説明を受けてはいたものの、結果としてその行動が動画として拡散され、宗教的聖地にふさわしくない印象を与えたことを重く受け止め、「慎むべき行動だった」と認めています。
また、異なる文化や信仰に対する理解と敬意が十分ではなかったとして、今後はより慎重に行動する姿勢を示しました。
なぜ問題になったのか:宗教と文化の背景
ガンジス川の宗教的意味
ガンジス川は単なる川ではなく、ヒンドゥー教における母なる川「ガンガー」として崇拝されています。そのため、聖地であるバラナシの川辺での行為は極めて神聖なものとして扱われ、規範も厳格です。他の文化圏では娯楽や観光と捉えられる行為でも、ここでは宗教的価値観が優先されます。
衣装と行為の不一致
サンタ帽や水着といったクリスマス文化に基づく装いが、宗教的な場と相容れないと感じられた点が今回の騒動の中心です。ヒンドゥー教徒にとっては宗教的象徴や聖地での衣装・行動について厳密な礼節が求められ、軽率な行動は不快感を与えかねません。
日本国内でも類似問題は起きているのか
日本においても、外国人観光客による“迷惑行為が社会問題として取り上げられるケースがあります。例として、京都や奈良の寺社での過度な撮影行為、静寂を乱す行動、公共交通機関でのマナー違反などが報じられています。これらは宗教的価値観や地域文化への理解不足が原因とされ、観光庁や地方自治体も注意喚起を行っています。
同様に、海外では日本人旅行者によるトラブルが報じられることがあり、文化的背景やマナーに対する無理解が摩擦を生む例は世界各地で見られます。重要なのは、個人の行為が全体の国際イメージに影響を与える可能性がある点ではないでしょうか。
異文化理解と責任ある旅
今回の騒動は、単なる「ふざけた衣装」の問題に留まらず、宗教的聖地での行動と文化への尊重のあり方を再考させる出来事となりました。海外旅行や宗教的な聖地を訪れる際には、SNS映えや話題作り以上に、その場所の歴史・信仰や慣習を理解し、敬意を払う姿勢が求められます。
旅行者としての自由と現地への配慮は両立し得るものであり、共存の鍵は「理解と尊重」にあります。今回の一件を機に、私たち自身も異文化との接点における責任について考えるきっかけとなれば幸いです。

