市販薬と成分や効能が似ている「OTC類似薬」について、厚生労働省が患者負担の見直しを検討していることが明らかになりました。花粉症などで処方されるアレグラや、解熱鎮痛剤として広く使われているロキソニンなどが対象となり、公的医療保険の適用を維持したまま、薬剤費の25%を追加負担として求める仕組みが導入される見通しです。実施時期は2026年度中とされています。
本記事では、OTC類似薬とは何か、なぜ患者負担の見直しが行われるのか、具体的に何が変わるのかについて、できるだけわかりやすく解説します。
OTC類似薬とは何かをわかりやすく解説
OTC類似薬とは、市販薬(OTC医薬品)と成分や効能が似ている医療用医薬品のことを指します。医師の処方が必要な薬でありながら、薬局やドラッグストアで購入できる市販薬と大きな違いがないケースも多く存在します。
通常、医療用医薬品は公的医療保険が適用されるため、患者の自己負担は原則3割(高齢者や所得状況により1~2割)で済みます。一方、市販薬は保険適用外のため、全額自己負担です。この差が「軽い症状でも病院を受診して処方薬をもらう」行動につながり、医療費全体を押し上げているという指摘が長年ありました。
なぜOTC類似薬の患者負担見直しが行われるのか
今回の見直しの背景には、日本の医療制度が抱える構造的な課題があります。高齢化の進行により医療費は年々増加しており、現役世代の保険料負担は重くなっています。このままでは、公的医療保険制度の持続可能性が揺らぎかねません。
こうした状況の中で、比較的軽症向けの薬まで保険で広くカバーしている現行制度を見直し、本当に必要な医療に保険財源を集中させるべきだという議論が強まってきました。OTC類似薬の負担見直しは、その一環として位置づけられています。
対象となる代表的な医薬品
今回、負担見直しの対象として想定されているのは、77成分・約1100品目に及ぶ医療用医薬品です。代表的な例として、以下のような薬が挙げられています。
- 花粉症などで処方される抗アレルギー薬「アレグラ」
- 解熱鎮痛剤として使用される「ロキソニン」
- 皮膚保湿剤として知られる「ヒルドイドゲル」
- 鼻炎治療に用いられる「アレジオン」
- 一部の湿布薬や胃腸薬
いずれも日常診療で使用頻度が高く、市販薬としても類似した製品が流通しているものです。
新制度の仕組み|25%の「特別料金」とは
今回検討されている制度の最大の特徴は、保険適用を外さない点です。OTC類似薬は引き続き公的医療保険の対象となりますが、従来の自己負担とは別に、薬剤費の25%相当を「特別の料金」として追加負担する仕組みが導入されます。
つまり、患者は通常の自己負担分に加えて、上乗せ分を支払うことになります。完全に保険適用外となるわけではないものの、実質的には患者負担が増える形となります。
患者への影響と想定される変化
患者負担は確実に増える
特に花粉症や皮膚疾患などで長期間薬を使用している人にとって、負担増は無視できません。これまで比較的安価に処方薬を受け取れていた人ほど、影響を強く感じる可能性があります。
医療費削減効果への期待
政府は、この見直しによって年間約900億円規模の医療費削減効果を見込んでいます。保険財政の改善や、現役世代の保険料負担軽減につながることが期待されています。
セルフメディケーションの促進
軽い症状の場合、市販薬を活用する人が増える可能性もあります。制度変更をきっかけに、薬剤師への相談やセルフメディケーションへの関心が高まることも考えられます。
慢性疾患患者・低所得者への配慮はあるのか
厚生労働省は、慢性疾患の患者や低所得者については、負担を抑えるための配慮策を講じる方針を示しています。ただし、具体的な内容は今後の制度設計で詰められる予定であり、不安の声も少なくありません。
賛否が分かれるOTC類似薬見直し
この制度見直しについては、賛成と反対の意見がはっきり分かれています。医療費抑制や制度維持の観点から評価する声がある一方で、患者にとっては「実質的な負担増」であり、受診控えにつながるのではないかという懸念もあります。
まとめ|OTC類似薬の負担見直しで私たちが考えるべきこと
OTC類似薬の患者負担見直しは、日本の医療制度を将来にわたって維持するための大きな転換点となる可能性があります。2026年度の実施に向けて、対象薬や負担の詳細が徐々に明らかになっていくでしょう。
今後は、「どの症状で医療機関を受診するのか」「市販薬をどう活用するのか」といった判断を、これまで以上に意識する必要が出てきます。制度の動向を正しく理解し、自分自身や家族の医療費との向き合い方を考えることが重要です。

