2024年3月から始まった「マイナンバーカードと運転免許証の一体化」。これにより、これまで別々に管理していた二つの証明書を一枚にまとめることが可能となり、利便性が向上すると期待されています。一方で、取得の手間や利用に関する注意点もあり、慎重に検討する必要があります。
マイナ免許証はいつから?
マイナンバーカードと運転免許証の一体化、いわゆる「マイナ免許証」は、2024年3月24日から交付が開始されました。これは、デジタル社会の推進を目的とした政府の取り組みの一環であり、運転免許証のデジタル化を進めるための制度です。
マイナ保険証とあわせてデジタル化が進む
マイナンバーカードを活用した取り組みは免許証だけにとどまらず、マイナ保険証の普及も進められています。2024年12月には現行の健康保険証が廃止され、原則としてマイナンバーカードと一体化した「マイナ保険証」へと移行する予定です。政府は、医療機関での手続き簡素化や診療情報の共有による利便性向上を目的としていますが、対応していない医療機関があることや、システムトラブルの不安も指摘されています。
マイナ免許証の運用は段階的に進行
マイナ免許証の交付は、一部の都道府県では段階的に実施されており、全国で完全に運用されるまでには時間がかかる場合があります。また、現在すでに免許証を持っている人がマイナ免許証に切り替えるには、次回の免許更新時に申請する必要があり、途中で切り替えることはできません。
マイナ免許証の取得状況
警察庁の発表によると、制度開始から1週間後の2024年3月31日時点で、11万7589人がマイナ免許証を取得しました。取得者の中では、「マイナ免許証のみ」よりも「従来の免許証とマイナ免許証の2枚持ち」を選択する人が多いようです。
現在、免許証の保有方法は以下の3つから選べます。
- 従来の運転免許証のみ
- マイナ免許証のみ
- 従来の運転免許証とマイナ免許証の両方(2枚持ち)
マイナ免許証のみを選択すると、住所や氏名の変更手続きが自治体の窓口で一括して行えるため、手間が軽減されます。また、新規取得や更新にかかる費用も従来の免許証より安くなるため、コスト面でのメリットもあります。

マイナンバーカードと運転免許証一体化のメリット
- 所持するカードを1枚にできる
これまで別々に持ち歩いていたマイナンバーカードと運転免許証を一枚にまとめることで、財布の中がすっきりし、紛失のリスクも低減します。 - 住所変更手続きの簡便化
引っ越しなどで住所が変わった際、従来は市区町村役場と運転免許センターの両方で手続きを行う必要がありましたが、「マイナ免許証のみ」所有する場合、市区町村役場で一括して手続きが可能になります。) - 免許証更新時のオンライン講習の受講が可能
免許更新時の講習をオンラインで受講できるため、忙しい方でも自宅で手軽に講習を受けられます。
(「マイナ免許証のみ」もしくは「運転免許証とマイナ免許証の2枚持ち」の所有の方で、優良運転者・一般運転者の方) - 更新時の手数料が安くなる
マイナ免許証のみを保有する場合、従来の運転免許証に比べて更新時の手数料が安くなります。
マイナ免許証のみ | 運転免許証とマイナ免許証の2枚持ち | 運転免許証のみ | |
---|---|---|---|
新規免許取得手数料 | 1,550円 | 2,450円 | 2,350円 |
免許更新時手数料 | 2,100円 | 2,950円 | 2,850円 |
マイナンバーカードと運転免許証一体化のデメリット
- 取得や更新に手間がかかる
マイナンバーカードと運転免許証の有効期限が異なるため、それぞれの更新時期を把握し、別々に手続きを行う必要があります。特に、2025年秋のシステム改善までにマイナンバーカードの更新時期が来る場合、マイナ免許証の再登録も必要となります。 - 紛失時の再発行に時間がかかる
マイナ免許証を紛失した場合、再発行には最短でも1週間、通常1〜3ヶ月かかるため、その間運転ができなくなります。従来の運転免許証なら即日再発行が可能だったため、この点は不便と言えます。 - スマートフォンでの利用が不可
現時点では、スマートフォンに登録したマイナンバーカードを運転免許証として使用することはできません。そのため、結局カードを持ち歩く必要があります。 - レンタカーやカーシェアの利用が難しくなる
マイナ免許証はICチップに免許情報が記録されており、カードの表面には免許に関する情報が記載されていません。そのため、レンタカーやカーシェアリングの利用時に、従来の運転免許証の提示を求められる場合があります。
まとめ
マイナンバーカードと運転免許証の一体化は、日常生活の利便性を向上させる一方で、取得や利用に際しての注意点も多く存在します。特に、紛失時の再発行の手間や、カーシェア利用時の制約など、想定外の不便さを感じる場面もあるかもしれません。
また、現時点では「マイナ免許証のみ」よりも「2枚持ち」を選択する人が多いことも事実です。これは、マイナ免許証の仕組みがまだ十分に普及しておらず、実際の使い勝手について不安を感じる人が多いことが理由と考えられます。
自身のライフスタイルに合わせて、一体化を利用するかどうか慎重に判断することが大切です。また、制度開始直後は運用面での課題も予想されるため、最新の情報を確認しながら適切に対応することが求められます。