2024年度、経営コンサルタント業の倒産が151件にのぼり、過去最多を更新したというニュースが話題になっています。「経営のプロ」とされるコンサルタントたちが、なぜ今、こんなにも厳しい状況に直面しているのでしょうか。
この出来事には、現代のビジネス環境ならではの課題や変化が関係しているようです。
専門性がなければ生き残れない時代に
最近のコンサルティング業界では、取り扱う分野がとても幅広くなってきています。たとえば、企業の再建支援、デジタル技術を活かした業務改善(DX)、企業買収や合併(M&A)など、その内容は多岐にわたります。
それにともなって、企業がコンサルタントに求めるものも、より専門的で実践的なものへと変化しています。「なんでも相談できる」存在よりも、「この分野に特化したプロフェッショナル」が選ばれる傾向が強まっているようです。
AIとインターネットの進化がもたらした影響
もう一つ、大きな変化として見逃せないのが、AI技術の進化とネット情報の普及です。資料の整理や情報収集といった、かつてコンサルタントの中心的な業務だったことが、今ではAIに任せられる時代になっています。
また、ビジネスに関する情報やノウハウは、ネットで簡単に手に入るようになりました。企業の担当者自身が、自社の課題を調べて判断できるようになりつつあります。
こうした時代の流れにうまく適応できなければ、従来のやり方だけに頼るコンサルタントは、次第に価値を失ってしまうのかもしれません。

経営コンサルタント参入しやすい?
実は、経営コンサルタントという仕事は、資格が必要なわけではありません。極端に言えば、誰でも今日から「私はコンサルタントです」と名乗ることができてしまいます。
この参入のしやすさは、良くも悪くも業界に大きな影響を与えてきました。近年では、補助金や助成金の申請をサポートするだけの「代筆屋」のような存在も増え、それが業界全体の信頼性を下げてしまう一因にもなっているようです。
経営コンサルタントに必要なのは「人に寄り添える力」
もちろん、すべてのコンサルタントが厳しい状況にあるわけではありません。業界に特化した深い知識や、実際の成功体験に基づいたアドバイスができる方たちは、今でも高く評価されています。
そして、これからの時代に本当に必要とされるのは、知識や技術だけでなく「共感力」や「人間味」ではないでしょうか。
経営者が抱える不安や迷いに耳を傾け、心に寄り添いながら一緒に道を探っていく。そんな、あたたかく頼れる存在が、これからのコンサルタントには求められているように感じます。
AIと競うのではなく、AIとともに
「AIに仕事を奪われる」といった話をよく聞きますが、実は、AIをうまく活用できる人ほど、これからの時代を味方につけられるのではないでしょうか。
たとえば、AIにデータ分析や資料作成を任せ、その時間を使って、もっと深い課題の発見や、クライアントとの対話に集中する。そんなふうに役割を分担することで、より高い価値を提供できるようになるのではないでしょうか。
これからの経営コンサルタントに求められること
「プロフェッショナル」とは、ただ知識があるだけではなく、信頼される存在であること。そのためには、変化を恐れず、自分の専門性を深め、相手と真摯に向き合う姿勢が何よりも大切です。
コンサルタント業界は今、試されている時代なのかもしれません。でも、これを「終わり」と見るのではなく、「新しいかたちへの進化」と受け止めれば、きっとまた、必要とされる仕事として輝けるのではないか。