冠水・浸水で補償は受けられる?HV・EVとガソリン車のリスク比較と対策ポイント

冠水・浸水で補償は受けられる?HV・EVとガソリン車のリスク比較と対策ポイント 時事・ニュース
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2025年9月、台風15号の影響により富士山静岡空港の有料駐車場が冠水し、停めてあった車両が浸水する被害が発生しました。運営会社は「天災による不可抗力であり、免責事項にあたるため補償はできない」という見解を発表しています。利用者としては納得しがたい部分もありますが、自然災害による車両被害では、補償の仕組みや保険の有無が重要な分かれ道となります。

本記事では、今回の冠水被害の概要、自動車の浸水がどの程度まで大丈夫なのか、廃車の判断基準や補償の仕組み、そして被害に遭った際に取るべき行動をわかりやすくまとめます。


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台風15号がもたらした冠水被害

今回の台風15号は、静岡県を中心に短時間で激しい雨を降らせました。特に富士山静岡空港周辺では排水能力を上回る雨量となり、第5駐車場の半分ほどが冠水。複数の車両が浸水する被害が出ました。

運営する空港会社は「利用者に大きな迷惑をかけた」としつつも、利用規約に基づき「天災や不可抗力による被害は免責対象」と説明。つまり、駐車場に停めていた車が浸水しても、空港側から補償は受けられないという立場です

これは空港に限らず、多くの公共駐車場や商業施設の駐車場でも同じです。駐車場利用規約には「天災や不可抗力による損害については責任を負わない」と記載されているケースが一般的で、事業者側の過失が明確でない限り、補償を受けるのは難しいのが現状です。


冠水による浸水被害はどこまで修理可能か

車が水に浸かった場合、その深さによって被害の大きさは大きく変わります。

  • ドアの下部やフロア程度の浸水
     床面が濡れる程度であれば、清掃や乾燥、軽度の点検で済む可能性があります。ただし、泥水が侵入すると臭いやカビの原因となり、内装の交換が必要になる場合もあります。
  • シート下や座面までの浸水
     内装や電装品に影響が出始めます。配線やセンサーに水が回ると、後から電気系統のトラブルが発生するリスクが高まります。
  • ダッシュボードやエンジンルームが水没
     電装系やエンジンそのものに致命的なダメージが及びます。修理には高額な費用がかかり、車両の時価額を超えることも多く、結果的に廃車(全損)と判断されるケースが少なくありません。

重要なのは「自己判断でエンジンをかけない」ことです。浸水後に始動を試みると、エンジン内部に水を吸い込み、破損を拡大する恐れがあります。


なぜ冠水すると車は廃車になりやすいのか

車が廃車扱いになるかどうかは、主に以下の二つで決まります。

  • 物理的全損
     エンジンや主要な部品が完全に故障し、修理が不可能な場合。
  • 経済的全損
     修理可能ではあるが、修理費用が車両の時価を超える場合。多くの保険会社では「修理費が時価の70〜80%を超えれば全損扱い」とされることが一般的です。

比較的新しい車種でも、ダッシュボード以上まで水に浸かると修理費が膨大になり、全損と判定されるケースが多いです。

HV・EVは冠水に弱い?ガソリン車との違い

ハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)の普及が進む中で、「ガソリン車よりも水に弱いのではないか」と不安に思う人は少なくありません。前提として、HVやEVが「特別に水に弱い」ということはありません。主要メーカーは防水性能・絶縁性能を考慮して設計しており、通常の降雨や短時間の冠水であれば感電やショートの危険性はほぼないとされています。

一方で、今回の台風15号では、想定を超える大雨によって静岡空港の駐車場が冠水し、多くの車両が水につかりました。こうしたケースは、ガソリン車・ハイブリッド車(HV)・電気自動車(EV)を問わず、大きな被害が発生する可能性があります。

  • ガソリン車では、エンジンや排気系に水が侵入し、走行不能やエンジン交換を余儀なくされることがあります。
  • HVやEVの場合、防水性能は設計段階で確保されていますが、長時間の水没は高電圧バッテリーやモーター、制御ユニットに深刻なダメージを与えるため、メーカーや保険会社は「修理よりも廃車判定」を下すことが多いです。
  • 特に駐車中でエンジンもシステムも停止している状態での冠水は、車体の下部から静かに水が侵入し、ドライバーが気付かないまま全損に至る危険があります。

つまり、台風や豪雨による冠水では、HV・EVはもちろん、ガソリン車でも安全に修理できる可能性は低く、廃車に直結することが多いのです。

静岡空港駐車場の一部で車両水没 運営会社が補償はできないと見解示す=台風15号(静岡放送(SBS)) - Yahoo!ニュース
静岡空港で9月5日、駐車場の車が大雨により複数台水没した事案で、空港を運営する富士山静岡空港株式会社は6日、補償はできないという趣旨のコメントをホームページで発表しました。静岡県内では9月5日、

補償はどうなる?保険でカバーできるか

自然災害による車両被害は、任意保険の中でも「車両保険」に加入しているかどうかで大きく変わります。

  • 車両保険に加入している場合
     台風や大雨による水害は「水災補償」として対象になることが多いです。免責金額や特約内容によって補償範囲は異なりますが、廃車判定になった場合でも時価相当額の保険金が支払われる可能性があります。
  • 車両保険に未加入の場合
     自賠責保険や対人・対物の基本的な任意保険ではカバーされません。浸水被害は自己負担で修理・処分するしかないため、大きな経済的ダメージとなります。

今回の静岡空港のように、管理者が免責を理由に補償を拒否する場合、最終的には「加入している保険でカバーできるか」が決定的に重要になります。


浸水被害に遭ったときの正しい行動

被害に遭った場合、焦らずに次の手順を踏むことが重要です。

  1. 安全の確保
     水が引くまでは近づかず、感電や転倒の危険を避けることが第一です。
  2. エンジンをかけない
     始動すると被害が拡大する恐れがあります。
  3. 写真や動画で記録
     被害状況を残しておくと、保険請求や修理見積りで役立ちます。
  4. 保険会社に連絡
     ロードサービスを利用してレッカー搬送を依頼し、補償の可否を確認します。
  5. 整備工場で点検
     電装系やブレーキなどを専門家にチェックしてもらい、修理可能か廃車かの判断を受けます。

今後に備えてできること

  • 車両保険の加入状況を確認する
     水災補償の有無をチェックし、必要なら見直しをしておきましょう。
  • 駐車場所の選び方を工夫する
     低地や排水の悪い場所を避け、できるだけ高台や立体駐車場を利用することが有効です。
  • ハザードマップを確認する
     住んでいる地域やよく利用する施設が浸水想定区域に入っていないかを確認し、リスクを把握しておくことも重要です。

まとめ

静岡空港で発生した駐車場の冠水被害は、誰にでも起こりうる災害リスクを示しています。自然災害による車の浸水では、駐車場管理者の補償を受けるのは難しく、最終的に頼れるのは自分自身の保険です。

「どこまで浸水すれば廃車か」という判断はケースによって異なりますが、いずれにしても自己判断でエンジンをかけず、専門家と保険会社に相談することが鉄則です。

今後の災害に備え、保険内容の確認と駐車場所の工夫をしておくことが、愛車を守る大切な準備となるでしょう。

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