SNSを中心に「〇月〇日に大地震が来る」といった予言が広まることが増えています。特に、2025年に関しては4月26日や7月5日を巡る「予言」が話題となっています。しかし、こうした情報に過度に振り回されることなく、正確な知識と冷静な備えを持つことが大切です。
内閣府も注意喚起「地震予知は困難」
2025年4月24日、内閣府防災の公式X(旧Twitter)アカウントは、「日時と場所を特定して地震を予知することは、現在の科学的知見からは困難」と発信しました。そのうえで、「いつ発生してもおかしくない地震」に備える重要性を呼びかけています。
この発信は、SNSなどで広まっている「地震予言」の影響を踏まえた対応とみられます。
防災担当大臣の坂井学氏も、25日の閣議後の記者会見で「正確な地震の発生日時を事前に特定することは困難」と強調。「南海トラフや首都直下地震といった大規模災害への備えを日頃から進めることが何より重要」と述べています。
気象庁も公式サイトで、「一般に、日時と場所を特定した地震予知情報はデマと考えられます」と明記しています。
2025年4月26日「大地震・大津波予言」について
沖縄の霊能者(ユタ)とされる金城保氏が「2025年4月26日に、東京湾を震源とするM8.3の大地震が起き、30メートル級の津波が関東を襲う」と予言していると、ネット上で話題になっています。
彼は過去に東日本大震災を「予言した」とも言われていますが、科学的根拠は一切示されていません。
地震学者によれば、「震源の場所・規模・発生日時を正確に予測することは、現在の地震科学では不可能」です。
予知を名乗る発言は多くの場合、”偶然”当たったように見えるだけで、厳密な検証には耐えられません。
2025年7月5日「漫画に基づく予言」について
香港では、日本の漫画家たつき諒氏の作品『私が見た未来 完全版』(令和4年刊)が話題となり、「2025年7月に日本で大災害が起こる」という内容がSNSで拡散されています。
たつき諒氏は過去の作品の中で東日本大震災を暗示したような表現があったため、一部で注目を集めていますが、本人は「これは予知夢を元にした漫画であり、予言ではない」と述べています。
こうした「7月大地震説」の広がりは、日本への観光にも影響を与えています。香港のグレーターベイ航空は、香港-仙台線(週4往復)と香港-徳島線(週3往復)の定期便について、2025年5月13日~10月25日の間、それぞれ週1往復ずつ減便すると発表しました。理由は、「日本で大地震が起こる」という噂により、春季の旅行予約が見込みより約3割減少したためとされています。
徳島県の後藤田正純知事は、「いざという時に観光客を守れる体制が整っていると発信することが大事」とコメント。宮城県の村井嘉浩知事も「非科学的な情報が観光に悪影響を及ぼしている」と懸念を表明しました。
過去の有名な予言とその結果
- ノストラダムスの大予言(1999年)
「1999年7月に空から恐怖の大王が降りてきて人類は滅亡する」とされていましたが、何も起こりませんでした。『ノストラダムスの大予言』は、1973年に祥伝社から発行された五島勉の著書です。 - マヤ暦の終末説(2012年)
マヤ文明の暦が2012年で区切りを迎えることから「世界の終わり」が噂されましたが、実際は新たなサイクルの始まりを意味していただけでした。
これらの「終末予言」は多くの人々に不安を与えましたが、いずれも現実には起こらず、後になって「予言が回避された」「象徴的な意味だった」などと解釈が変更されるケースが目立ちました。
地震予言は本当に当たるのか?
これまでの事例を見る限り、「特定の日時・場所を予言した地震」が正確に的中した例は存在しません。
地震発生にはプレートの動きや地殻変動などの膨大な自然現象が関与しており、それらをリアルタイムで完全に把握することは現在の科学技術では不可能です。
また、予言が外れた際には「祈りで災害が回避された」や「警戒したから起きなかった」など、後付けの言い訳がなされることが少なくありません。これでは科学的な検証はできません。
不安を煽る情報に惑わされないために
災害に対する不安な気持ちは自然なものですが、不安につけ込む根拠のない情報には注意が必要です。
- SNSで拡散される情報をそのまま信じない
- 気象庁や自治体の公式発表を確認する
- 友人・家族と冷静に情報を共有する
- 防災対策を日常的に心がける
予言に頼るのではなく、正確な情報をもとに「できる備え」をしておくことが、自分や大切な人を守るために最も大切なことです。
まとめ
地震は、いつどこで起きてもおかしくありません。しかし、「予言」によって発生時期を正確に知ることはできません。
内閣府や気象庁も、科学的に見て地震予知は困難であると繰り返し強調しています。
不安を煽る情報に振り回されるのではなく、日頃から防災意識を高め、冷静に行動できる準備をしておきましょう。
私たち一人ひとりの正しい判断と備えが、未来の安全につながります。