航空機内でのモバイルバッテリー使用をめぐり、安全対策が大きく動き出しています。
韓国ではすでに全航空会社が機内での使用を全面禁止しており、その流れは日本にも広がりつつあります。国土交通省は2026年4月にも、機内でのモバイルバッテリー使用禁止および持ち込み数の制限を導入する方針を固めました。相次ぐ発煙・発火トラブルを受け、航空業界は「利便性より安全」を優先する姿勢を明確にしています。
この記事では、禁止の背景、具体的なルール、世界の航空業界の動向、日本への影響までをわかりやすく解説します。
韓国の航空会社でモバイルバッテリー使用が禁止になった理由
今回の措置の背景には、リチウムイオン電池の火災リスクがあります。モバイルバッテリーの内部には高エネルギー密度の電池が搭載されており、衝撃やショート、劣化などが原因で「熱暴走」を起こす可能性があります。
特に航空機内は閉鎖空間であり、火災が発生した場合には被害が拡大しやすい環境です。実際に韓国では、金海国際空港で離陸準備中の機体でモバイルバッテリーが原因とみられる火災が発生し、機体が全焼する事故がありました。
また、中国発仁川行きの便や、仁川発香港行きの便でもモバイルバッテリーの発火や煙発生事例が報告されています。こうした事例を受け、韓国航空業界は先制的な安全措置として使用禁止を決定しました。

持ち込みは条件つきでOK 今回の禁止措置の具体的な内容
韓国国内で旅客便を運航する全11社が対象となり、大手航空会社からLCCまで含まれます。主な内容は次の通りです。
- 機内でのモバイルバッテリー使用を全面禁止
- スマートフォンやタブレットへの充電行為を禁止
- モバイルバッテリー本体の充電も禁止
一方で、モバイルバッテリーの機内持ち込み自体は禁止されていません。ただし、厳しい条件が設けられています。
- 端子部分に絶縁テープを貼ること
- 個別の袋やポーチに入れること
- 頭上の収納棚ではなく、座席前ポケットなど目視できる場所に保管すること
これは、万が一発熱や発煙があった場合に、早期発見と迅速な対応を可能にするための措置です。
世界の航空会社でも規制強化が進行中
韓国だけが特別な措置を取っているわけではありません。欧州や中東でも機内でのモバイルバッテリー使用禁止の動きが広がっています。
たとえば、ドイツのルフトハンザ航空や中東のエミレーツ航空も、機内での使用を禁止しています。国際民間航空機関でもリチウム電池の安全管理について議論が続いており、今後は国際基準として統一される可能性もあります。
日本でも、日本発着便に対して同様の措置を検討・推進する動きが報じられており、今後の規制強化は避けられない情勢といえます。
モバイルバッテリーが危険視される理由
リチウムイオン電池は、エネルギー効率に優れる一方で、内部短絡が起きると急激な温度上昇が発生します。これが熱暴走と呼ばれる現象です。一度発生すると消火が難しく、再発火するケースもあります。
航空機内では、限られた空間で多数の乗客が搭乗しているため、小さな発火でも重大事故につながるリスクがあります。そのため、航空業界では「持ち込みは認めるが使用は禁止」という厳格な安全管理に移行しつつあるのです。
韓国に続き日本も規制強化 国際的な流れが加速
韓国で全航空会社が機内でのモバイルバッテリー使用を全面禁止した流れは、日本にも波及しています。
2026年2月18日、国土交通省が航空機内でのモバイルバッテリー使用を禁止する方針を固めたことが明らかになりました。早ければ4月にも施行される見通しです。
今回の日本の措置は、単なる自主判断ではありません。航空分野の国際ルールを定める国際民間航空機関(ICAO)が3月下旬にも新たな規制を採択する予定であり、それに対応する形で国内制度を整備する動きです。航空安全は国際的な足並みをそろえることが原則であり、日本も例外ではありません。
日本の新ルールの内容 持ち込みは2個まで
国交省の方針では、次のような内容が想定されています。
まず、機内でモバイルバッテリー本体を充電する行為は禁止されます。さらに、スマートフォンなど電子機器への充電についても控えるよう求められる見通しです。実質的に「機内でモバイルバッテリーを使用しない」ことが原則となります。
加えて、新たに持ち込み数が1人2個までに制限される方向です。これまで容量制限(ワット時基準)はありましたが、個数制限が明確化されることで、安全管理が一段と厳格化されます。
これは韓国で導入された全面使用禁止措置と同様、安全最優先の判断といえます。
日本の利用者への影響と今後の課題
韓国、日本と規制強化が続けば、アジア地域では「機内でモバイルバッテリーは使えない」という認識が標準になる可能性があります。
日本国内線・国際線ともに影響は避けられません。特に長距離路線や、電源ポートを備えていない機材を運航するLCCでは、搭乗前の充電管理がこれまで以上に重要になります。空港の充電設備の利用増加や、航空会社側の機内電源インフラ整備も課題となるでしょう。
一方で、リチウムイオン電池の発火は小規模でも重大事故につながりかねません。閉鎖空間である航空機内では、初期対応の遅れが致命的な結果を招く可能性があります。その意味で、利便性より安全を優先する今回の規制強化は、国際的な安全潮流に沿った合理的な措置といえます。
韓国で始まった機内使用禁止の流れは、日本を含めた国際標準へと発展する可能性があります。今後は各航空会社の正式発表や国交省の詳細ガイドラインを確認し、最新ルールに対応することが不可欠です。
