2026年1月末、上野・羽田と香港を舞台に、極めて異例な規模の現金強奪事件が相次いで発生しました。
東京・上野では約4億2000万円が奪われ、羽田空港では約1億9000万円を狙った強盗未遂事件が発生。さらにその直後、香港でも約5800万円が奪われる事件が起きています。
特に注目されているのは、これらの事件が時間的・人的につながっている可能性が高いという点です。警視庁や香港警察は、単発の強盗事件ではなく、国境をまたぐ組織的犯罪の可能性を視野に捜査を進めています。
上野で発生した4億2000万円強奪事件の詳細
事件が起きたのは1月29日午後9時半ごろ、東京都台東区の路上でした。
日本人と中国籍の男女あわせて7人が、現金約4億円が入ったスーツケースを車に積み込もうとしていたところ、突如現れた3人組の男が催涙スプレーのようなものを噴射。スーツケースを奪い、車で逃走しました。
逃走中、犯人グループは近くの交差点で歩行者をはねるひき逃げ事故も起こし、車を乗り捨てて別の車に乗り換えたとみられています。
さらに、逃走に使われた車の名義が「暴力団関係者」であったことも判明しており、事件の背後に反社会的勢力や犯罪組織の関与が疑われています。
被害者側の説明によれば、奪われた現金は「香港に運ぶ予定だった」とされています。
上野に続き羽田空港で現金強奪未遂事件発生
上野の事件から約3時間後、羽田空港の駐車場でも不審な事件が起きました。
日本人男性4人が乗る車には、約1億9000万円の現金が積まれており、香港へ運び出す直前だったといいます。
そこへ白いセダンに乗った男4人が接近し、
「何しているの」
と声をかけた直後、再び催涙スプレーのようなものを使用して現金を奪おうとしました。
この事件では現金の強奪には至らず、犯人グループは神奈川県川崎市方面へ逃走しました。しかし、犯行手口が上野事件と酷似している点は見逃せません。
香港でも同一人物が襲われていた可能性
羽田空港で襲われた男性は、その後予定どおり香港へ渡航します。
翌30日朝、香港の繁華街・上環にある両替所付近で、日本人男性2人が突然襲われ、約5800万円の現金が入ったリュックサックを奪われました。
香港警察はこの事件について、6人を逮捕。そのうち3人が日本人であると発表しました。
警察が押収した現金は約1100万円分の日本円で、事件の一部が回収された形です。
内通者の存在が判明|被害届を出した日本人が逮捕
事件の構図を大きく変えたのが、内通者の存在です。
香港警察の会見によると、逮捕された6人のうち1人は、事件当初「被害者」として被害届を出していた日本人男性であり、この人物が犯行グループに情報を流していた内通者だった疑いが浮上しました。
香港警察はこの男性について、「強盗の仲間であり、内部から情報を提供していた可能性が高い」
と説明しています。
つまり今回の事件は、外部から偶然狙われた強盗ではなく、内部に裏切り者を抱えた計画的犯行だった可能性が極めて高くなりました。
不可解な点① なぜ運搬役が必要だったのか
この一連の事件で最も不可解なのは、なぜこれほどの高額現金を、銀行送金などを使わず、人が直接運んでいたのかという点です。捜査関係者によると、台東区の被害関係者の1人は、「1回、香港まで現金を往復で運ぶと、3万円の報酬がもらえる」という趣旨の説明をしているといいます。
この証言から浮かび上がるのは、複数の“運び屋”を使って、現金を人力で海外へ運ぶ仕組みです。
通常、正規の資金移動であれば銀行送金が用いられます。
それにもかかわらず、危険を伴う現金輸送を繰り返していた点は、資金の性質に何らかの問題があった可能性を示唆しています。
不可解な点② 犯人側が“運搬ルート”を把握していた可能性
上野、羽田、香港と、現金が移動する先々でピンポイントに襲撃されている点も不可解です。
偶然にしては精度が高く、内部情報が漏れていた、もしくは長期間尾行されていた可能性も否定できません。
実際に内通者が逮捕されたことで、情報漏えいを前提とした犯行だった可能性が強まりました。
事件のつながりの可能性|「金密輸グループ」とは
捜査関係者が注目しているのが、金(ゴールド)を利用した密輸ビジネスとの関連です。
報道によれば、
- 日本から現金を香港へ持ち込む
- 非課税の香港で金を購入
- 金を日本へ密輸し、国内で売却
- 消費税分(約10%)が利益になる
というスキームを繰り返すことで、多額の不正利益を得る手口が存在するとされています。
羽田の事件で被害者の一人は
「1億9000万円は金業者から金を買い取って売却したお金」
と説明しており、この証言は捜査側の見立てとも一致します。
つまり今回の事件は、金密輸グループ、あるいはそれに関係する資金を狙った“計画的な強盗”だった可能性が浮上しているのです。
まとめ|単なる強盗事件では終わらない可能性
今回の上野・羽田・香港で起きた連続強盗事件は、
- 被害額が異常に大きい
- 現金輸送という不自然な手法
- 国境を越えて同一人物が狙われた可能性
- 暴力団名義の車両使用
- 金密輸との関連疑惑
といった点から、単なる偶発的な強盗事件とは考えにくい構図が見えてきています。
今後、捜査が進むことで、資金の出どころや組織的背景が明らかになる可能性があります。事件の全容解明とともに、同様の犯罪を防ぐための制度的課題も問われることになりそうです。

