高校生を育てる家庭にとって気になる「高校生扶養控除」。
一部のネットニュースでは、あたかも扶養控除の縮小が決定したかのような報道が流れ、SNSでも不安の声が広がりました。
しかし、高市早苗首相は自身の公式投稿で、
「指示もしていないし、与党税制調査会で決定した事実もない」
とはっきり否定しました。
この記事では、報道の背景や議論の現状、子育て世帯への影響をわかりやすく整理し、読みやすく丁寧な文章で解説します。
高校生扶養控除とは?
まず基礎として、16〜18歳の子どもを扶養する家庭には以下の控除があります。
- 所得税:38万円
- 住民税:33万円
この控除によって、課税対象となる所得額が減るため、実質的な税負担が軽くなる仕組みです。

なぜ「縮小」案が浮上したのか
背景にあるのは、2024年から実施された児童手当の拡充(高校生まで拡大)です。
政府は「こども未来戦略」のもとで子育て支援を強化しており、
- 高校生まで児童手当を支給
- 所得制限の撤廃
- 多子世帯への加算手当の増額
など、大規模な給付拡大が続いています。
その一方で、給付(児童手当)が拡大されたのだから、税の控除(扶養控除)も調整すべきでは?
という政策議論が税制調査会で検討項目として上がっていたのです。
ここが「縮小報道」の出発点になりました。
報じられた“縮小案”の中身(あくまで検討段階)
一部ニュースで伝えられた案は、次のようなものでした。
- 所得税:38万円 → 25万円に縮小
- 住民税:33万円 → 12万円に縮小
ただし、これは「検討段階で出た案の一つ」であり、確定情報ではありません。
にもかかわらず、「決まった」「削減される」といった断定的な見出しがSNSで拡散され、不安の声が一気に高まったのです。
高市首相の発言:「指示していない」
報道が広がる中、高市首相はSNSで次のように述べました。
「縮減に関する指示を出したこともありませんし、
与党税制調査会で決定した事実もありません。」
さらに、「子育て支援については政府として全力で取り組んでいる」とも強調しています。
この発言は、事実上「高校生扶養控除の縮小・見送りを示唆した」と受け取れる内容で、世論の不安を抑える狙いがあったとみられます。
税制調査会の現状:賛否が割れる
与党税制調査会では、
- 控除縮小に慎重な意見
- 児童手当とのバランスを求める意見
が交錯しており、与党内でも意見が割れています。
特に中間所得層では、児童手当の増額よりも、控除縮小での負担増が強く意識されるケースがあり、政治的にも敏感なテーマです。
そのため、これまで何度か同様の議論があったものの、野党の反対や世論を受けて先送りされてきた経緯があります。
今回も同じように、慎重な判断が求められている段階です。
子育て世帯への影響はどうなる?
扶養控除が縮小された場合、影響は家庭ごとに異なります。
手取りが増える可能性があるケース
- 年収が低〜中程度
- 児童手当の拡充メリットが大きい世帯
- 子どもの人数が多い家庭
逆に負担が増える可能性があるケース
- 年収が一定以上の中間所得層
- 扶養控除減より児童手当メリットが少ない世帯
つまり、「誰もが損をする」わけではなく、反対に「得をする」家庭も存在します。
この点が数字だけでは誤解されやすく、制度の難しさでもあります。
今回の報道が広がった理由
今回の騒動が大きくなった背景には、次のような情報の誤解・混乱があります。
- 「検討案」が「決定事項」のように伝わった
- SNSで断定的な情報が拡散された
- 税制の仕組みが一般にわかりづらい
- 子育て世帯の負担増への敏感さ
こうした要因から、事実以上に不安が増幅される形になりました。
まとめ:現時点で“決まっていない”、過度な不安は不要
最後にポイントを整理します。
- 高校生扶養控除の縮小は決定していない
- 高市首相は「指示も決定もしていない」と明言
- 税制調査会では議論中だが、反対意見も多い
- 児童手当拡充との“総合的な負担”で判断される
- 今後の税制改正大綱で正式に発表される見通し
現段階では、過度に不安になる必要はありません。
子育て支援政策全体の中で、扶養控除の扱いがどうなるかは、今後の議論次第です。
政府は「子育て支援を最優先」と繰り返し表明しており、今回の首相コメントもその一環だと言えるでしょう。
