火星に「生命の痕跡」? NASAが発表した驚きの発見とは

火星に「生命の痕跡」? NASAが発表した驚きの発見とは 時事・ニュース
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2025年9月、NASA(アメリカ航空宇宙局)が探査車「パーサヴィアランス」が火星から去年採取した岩の中から、「生命の痕跡」が見つかったと発表しました。

これはすぐに「火星に生命がいた!」と断定できるものではありません。しかし、これまで数十年にわたって探し続けてきた「火星に生命の痕跡があるのか?」という問いに、ぐっと近づく発見であることは間違いありません。

今回は、このニュースをできるだけわかりやすく整理し、私たちが注目すべきポイントを解説します。


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火星探査車「パーサヴィアランス」が見つけたもの

パーサヴィアランスは2021年に火星に降り立ち、古代の川や湖の跡が残る「ジェゼロ・クレーター」という場所を探検してきました。ここは昔、水が流れていたと考えられていて、生命が存在した可能性がある場所として期待されています。

2024年7月、探査車は「サファイア・キャニオン」と名付けられた岩から試料を採取しました。その岩には、赤茶けた表面に小さな斑点がポツポツと並んでおり、よく見るとヒョウ柄のような模様が浮かんでいました。

この斑点を詳しく調べると、「炭素」や「リン」「硫黄」など、地球の生命活動と深く関わる成分が含まれていたのです。しかも、それらが不思議な組み合わせで存在しており、「生命が関わった痕跡の可能性がある」と判断されました。


なぜ「生命の痕跡」と考えられるのか

地球でも同じような成分の組み合わせが見つかる場所があります。それは、微生物が活動していた泥や土の中です。微生物が食べたり、排出したりする過程で、炭素や硫黄、リンなどの物質が特徴的な形で残されるのです。

火星で今回見つかった斑点も、まるで「微生物が残した食べかすやフン」のような痕跡に見えると科学者たちは説明しています。

もちろん、生命がいなくても、自然の化学反応によって似たようなものができる可能性はあります。ですが、岩の状態や成分の並び方を見ると「これは単なる偶然ではなく、生命活動によるものかもしれない」と考えられるのです。


すぐに「生命発見!」と言えない理由

「火星に生命がいた」と断定できれば大ニュースですが、科学は慎重に進めなければなりません。今回の分析は、探査車に搭載された装置で行われたもので、限界もあります。

今回発表された分析は、火星に着陸している探査車によって行われました。探査車は、カメラや分析機器を搭載しており、地球からの指示を受けて自律的に岩石を調べることができます。

もっと正確に調べるためには、実際にその岩のサンプルを地球に持ち帰って、最新鋭の研究施設で詳しく調べる必要があります。分子の構造や同位体比(物質の細かい組成)まで調べられれば、本当に生命由来なのか、そうでないのかがはっきりしてくるでしょう。


サンプルを地球に持ち帰る「火星サンプルリターン計画」

今回の試料は、将来「火星サンプルリターン計画(Mars Sample Return)」で地球に届けられる予定です。

この計画では、パーサヴィアランスが集めた試料を火星から打ち上げ、別の宇宙船に受け渡し、それを地球まで運ぶという大プロジェクトが構想されています。まるで映画のような計画ですが、技術的にも予算的にもハードルは高く、実現時期はまだ確定していません。

しかし、もしサンプルが無事に地球に届けば、火星に生命が存在したかどうかを人類が初めて明確に判断できる日が来るでしょう


NASAのコメントと科学者たちの反応

今回の発表にあたって、NASAのダフィー長官代理は「これまで火星で見つかった中で最も明確な生命の兆候の可能性がある」と興奮を隠しませんでした。

一方で、研究チームの科学者たちは冷静です。
「生命の痕跡かもしれないが、自然の化学反応でも説明できる」
「結論を急がず、さらなる調査が必要」

と強調しており、あくまでも「強い手がかりが見つかった段階」と位置づけています。


火星における生命と水の痕跡の発見

火星に生命が存在したのではないかという探究は、長い歴史を持っています。

1996年には、南極で発見された火星由来の隕石「ALH84001」が大きな注目を集めました。この隕石の中に、微生物に似た微細な構造が見つかったのです。当時は「火星に生命がいた証拠ではないか」と話題になりましたが、その後の研究で、生命活動がなくても自然にできる可能性があることがわかり、現在では生命の証拠とはみなされていません。

その後、2004年から活躍した探査車オポチュニティーやキュリオシティーによって、さらに大きな発見が続きました。これらの探査車は、かつて火星に大量の水が存在していたことを示す証拠を次々と見つけたのです。水の波によってできたと考えられる波紋のような岩や、水中で沈殿した硫酸塩の鉱物などが代表的な例です。これらの発見は、「火星に水があった」という事実を強く裏づけました。

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火星以外の天体での生命探査

火星は最も注目される対象ですが、生命の痕跡を探す試みは太陽系の他の天体、さらには太陽系の外にも広がっています。

たとえば、土星の衛星エンケラドゥスは有力な候補のひとつです。探査機カッシーニの観測により、その厚い氷の下には液体の海が広がっていることが判明しました。さらに、氷の割れ目から水蒸気の噴煙が吹き出しており、その中に生命に欠かせない有機分子が含まれていることも確認されました。科学者たちは「地球外生命がいる可能性が高い場所のひとつ」と見ています。

同じく土星の衛星タイタンも注目されています。表面には液体の水ではなく、メタンやエタンといった炭化水素の湖や川が広がっています。まるで地球の水循環のように、メタンが蒸発し、雲をつくり、再び雨となって降るサイクルがあるのです。ここで生命が存在するかどうかはまだ不明ですが、将来の探査計画により新たな手がかりが得られるかもしれません。

さらに視野を広げると、太陽系の外にある「系外惑星」の観測も進んでいます。ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡によって、地球からはるか遠くにある惑星の大気成分を分析することが可能になりました。最近では「K2-18b」という惑星の大気から、生命活動と関係があるかもしれない分子が検出されたと発表されています。これも地球外生命探査における大きな一歩といえるでしょう。

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火星生命発見が意味すること

仮に今回の発見が「火星の古代生命によるもの」と確定した場合、その意味は計り知れません。

  • 地球以外の惑星でも生命が誕生できることが証明される
  • 宇宙に生命は普遍的に存在するかもしれない
  • 「私たちは宇宙で孤独なのか?」という長年の問いに答えが出る可能性がある

これは科学だけでなく、哲学や宗教、社会にまで大きな影響を与える発見となるでしょう。


まとめ

今回のNASAの発表は、火星にかつて生命が存在したかもしれないという「強いヒント」が見つかったというものです。

  • 斑点のある岩から、生命活動を思わせる物質が発見された
  • ただし、自然の化学反応でも説明できるため断定はできない
  • 地球にサンプルを持ち帰って詳細に分析することが今後の鍵
  • 確定すれば「地球外生命の存在」が初めて科学的に証明される可能性がある

私たちが生きている間に「火星に生命がいた」とはっきり言える日が来るかもしれません。

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