近年、日本国内でオンラインカジノ(通称「オンカジ」)の利用が急増し、違法賭博としての問題が深刻化しています。
特に、吉本興業の芸人やプロ野球・読売巨人軍の選手が関与した事例が報道され、社会的な関心が高まっています。これを受けて、政府や与野党は法改正を含む規制強化に乗り出しています。
本記事では、オンラインカジノの現状、法的課題、そして今後の対応について解説します。
オンラインカジノの現状と問題点
急増するオンラインカジノ利用者数と賭け金
警察庁の調査によると、国内でオンラインカジノを利用したことがある人は推計約337万人に上り、年間の賭け金総額は約1兆2423億円に達するとされています。
特にスマートフォンを利用する20代、30代の利用率が高く、10代の利用者も確認されています。このような状況は、ギャンブル依存症のリスクを高め、社会問題となっています。
違法性の認識不足
オンラインカジノの利用者のうち、約44%がその違法性を認識していなかったと報告されています。
これは、SNSや動画サイトでの広告や紹介が、オンラインカジノを合法的な娯楽として誤認させている可能性があるためです。実際、YouTubeなどでオンラインカジノを紹介する動画が多数存在し、若者を中心に影響を与えています。
有名人のオンラインカジノ関与と社会的影響
吉本芸人の事例
吉本興業の芸人がオンラインカジノ「スポーツベットアイオー」などを利用していたことで書類送検されました。書類送検されたのは、お笑いコンビ「ダイタク」の吉本大さん、「9番街レトロ」のなかむら★しゅんさん、「プリズンクイズチャンネル」の竜大さんと最強の庄田さん、「ダンビラムーチョ」の大原優一さん、「ネイチャーバーガー」の笹本はやてさん。
また、お笑いコンビ「令和ロマン」の高比良くるまさんと、「とろサーモン」の久保田かずのぶさんも警視庁の聴取を受けたことを認めています。
「令和ロマン」の高比良くるまさんに関して、吉本興業は契約を解除するなどの対応を取りました。
巨人選手の事例
プロ野球・読売巨人軍のオコエ瑠偉選手と増田大輝選手が、海外のオンラインカジノで賭博を行った疑いで書類送検されました。2人はカジノサイトで「ブラックジャック」や「バカラ」などを利用していたそうです。
2人とも、オンラインカジノの違法性を認識しないまま興味本位で利用していたとのことです。両選手とも容疑を認めており、プロスポーツ選手の関与が社会に与える影響は大きいとされています。
法的対応とオンラインカジノ規制強化の動き
与野党による法改正の協議
自民党と立憲民主党は、オンラインカジノへの誘導広告やSNSでの紹介を禁止する法改正に向けた協議を開始しました。
ギャンブル等依存症対策基本法の改正案を議員立法で提出し、今国会での成立を目指しています。禁止の対象には、カジノに誘導する広告やSNS上の投稿などが含まれ、警察などから削除要請を受けたプロバイダーが対応しやすくすることが目的とされています。
政府の基本計画と対策
政府は、違法オンラインカジノ対策を柱とする新たな「ギャンブル依存症対策推進基本計画」を閣議決定しました。この計画では、オンラインカジノで金を賭けた客だけでなく、運営に関与する業者や決済代行業者、SNSなどで違法サイトを紹介するアフィリエイターなども賭博ほう助に当たる可能性があるとして取り締まりを強化する方針です。
社会的課題と今後の展望
ギャンブル依存症への対策
オンラインカジノは、24時間いつでもスマートフォンからアクセスできる手軽さがあり、依存症を誘発しやすいと指摘されています。
警察庁の調査では、経験者の約60%がギャンブル依存症の自覚があると答えています。依存症対策として、違法性の周知や摘発の強化、ブロッキング導入に向けた議論が必要とされています。
法的整備と国際的な連携
オンラインカジノは、海外で合法的に運営されていても、日本国内から接続して金を賭ければ賭博罪に該当します。しかし、現行法では誘導広告を規制する法律がなく、法的整備が求められています。また、海外の運営者との連携や国際的な取り締まりも重要な課題となっています
まとめ
オンラインカジノの違法性や依存症のリスクについて、社会全体での認識を高める必要があります。また、有名人の関与が報道されることで、一般の人々にも影響が及ぶ可能性があるため、法的な規制強化とともに、教育や啓発活動も重要です。政府や与野党の取り組みに注目し、適切な対応が進められることを期待します。