TBS系で放送中のアニメ『ダンダダン』の第18話に登場した劇中歌とバンド名をめぐり、X JAPANの楽曲や名前との類似が指摘され、SNSを中心に大きな話題となりました。公式が謝罪文を掲載し、YOSHIKIさんも「建設的な話をさせていただいた」と発言するなど、事態は前向きな方向に進みつつあります。本記事では、この経緯やSNSの反応を整理しつつ、今回の騒動が示す課題について考えてみます。
ダンダダン第18話に登場した「HAYASii」と劇中歌
問題の発端となったのは、8月8日放送の『ダンダダン』第18話で流れた劇中歌「Hunting Soul」です。その楽曲が、X JAPANの代表曲「紅」に酷似しているとSNSで指摘され、大きな話題となりました。
さらに、作中に登場するビジュアル系ロックバンド「HAYASii」の名前がYOSHIKIさんの本名「林」を連想させること、そしてバンドメンバーの名前も実在のX JAPANメンバーを想起させるネーミングであったことから、批判は一層拡大しました。
騒動の発端とYOSHIKI氏の反応
- 2025年8月7日深夜
TBS系で放送されたアニメ『ダンダダン』の第18話に、劇中バンド「HAYASii」の楽曲「Hunting Soul」が登場。この曲がX JAPANの代表曲『紅』に酷似していると、視聴者の間で話題になりました。 - 2025年8月8日
X JAPANのYOSHIKI氏が自身のX(旧Twitter)で、「何これ、X JAPANに聞こえない?」「この件何も知らないんだけど、こういうのってあり?」と投稿。ファンに何が起こっているのかを問いかける形で、騒動は一気に拡大しました。
著作権と「オマージュ」を巡る議論
- 著作権問題への言及
YOSHIKI氏は、この件について「弁護士やスタッフから緊急で連絡が来た」と明かし、著作権侵害の可能性に言及しました。一方で、「最初は面白くて笑っていた」とも述べており、あくまで制作側からの事前の連絡がなかったことに対する困惑が主な理由であったことが伺えます。 - 「オマージュ」か「盗作」か
ネット上では、この楽曲が「X JAPANへのリスペクト(オマージュ)」なのか、それとも「盗作」なのかを巡って議論が活発化しました。多くの声は、楽曲の雰囲気や演出、ボーカルのシャウトなどが『紅』を強く意識していることを指摘し、制作側の「リスペクト」の姿勢は感じられるものの、許諾を得ていない点が問題視されました。 - バンド名「HAYASii」への言及
騒動が一旦収束に向かうかに見えた中、YOSHIKI氏は8月18日に再びXを更新。劇中バンド名「HAYASii」が自身の本名(林)を連想させること、そして「自殺した俺の父の名前?」と、自身の過去にまで踏み込んで言及し、「複雑な気持ち」であると投稿しました。この投稿は後に削除されましたが、再び波紋を呼びました。

YOSHIKIの反応と制作側の対応
放送後、YOSHIKIさんは自身のSNSで「著作権侵害の可能性」や「名前の連想」について触れ、困惑を示しました。アーティストにとって、名前や音楽スタイルが勝手に利用されることは非常にセンシティブな問題です。リスペクトから生まれたオマージュであっても、アーティスト本人に事前連絡をするのは当然の配慮であり、制作側やレコード会社の対応に不足があったのは否めません。
騒動を受け、アニメ『ダンダダン』の制作委員会は、8月22日に公式Xで声明を発表。今回の楽曲がX JAPANへのリスペクトから生まれたものでありながら、事前調整が不足していたことを認め、YOSHIKI氏とX JAPAN、そしてファンに対して謝罪しました。さらに「未来に向けて建設的な取り組みを共に考えている」と表明し、協議を続ける姿勢を示しました。
YOSHIKIのコメント―「建設的な話をさせていただきました」
同日、YOSHIKIさんは「僕もびっくりしました」「いろいろ勉強になった」と率直に語りました。制作委員会のプロデューサーから電話があり、誠意あるやり取りをしたことを明かし、「建設的な話をさせていただきました」と和解ムードを漂わせました。一方で「騒がせてしまって申し訳なかった」とも述べ、冷静かつ前向きな態度を見せています。
SNSでの反応――賛否両論
今回の騒動に対して、SNS上ではさまざまな声があがりました。
- 「これは完全にX JAPANをモデルにしている」「名前まで似せているのはやりすぎ」
- 「オマージュとして面白い演出だった」「歌も格好よかった」
- 「事前に本人に説明していれば問題にならなかったはず」
一方で、YOSHIKIさんの反応についても議論が起きています。中には「大げさに受け取りすぎでは」という批判の声も見られました。しかし、人気アニメでの描写であり、しかも物語の内容自体が万人受けするものではないことを考えれば、アーティストとして敏感になるのは当然のことだと言えるでしょう。自分の名前や作品スタイルを想起させる形で使用されれば、本人が複雑な感情を抱くのは自然な反応です。
ダンダダン騒動が示した課題
この一件は、「リスペクトを込めたオマージュ」と「無断使用の境界線」が改めて問われた事例となりました。とりわけアニメや音楽のように多くのファンに届くコンテンツでは、オマージュのつもりでも「盗用」と受け取られるリスクがあります。
今回のように配慮を欠いたまま放送されてしまうと、結果的にファンや本人を不快にさせ、作品の評価にも影響を与えてしまいます。
まとめ
『ダンダダン』の劇中歌騒動は、作品制作における権利意識やリスペクトの示し方について大きな教訓を残しました。公式は謝罪し、YOSHIKIさんも「建設的な話」を強調することで大きな炎上には至らなかったものの、「事前の説明がなかった」点は多くの人に共通の疑問として残っています。
オマージュは文化を豊かにする一方で、適切な配慮を欠くとトラブルの火種になります。今回の『ダンダダン』の事例は、今後のアニメ制作や音楽業界において「リスペクトの可視化」と「透明性あるコミュニケーション」の重要性を示す象徴的な出来事となったと言えるでしょう。