近年、高齢者による自動車事故が増加しており、セルフ式ガソリンスタンドでの事故も少なくありません。例えば、2025年4月1日には北海道稚内市で、高齢の女性が給油ノズルを差し込んだまま車を発進させ、ホースが破損しガソリンが流出する事故が発生しました。こうしたセルフスタンドでのトラブルは、操作ミスや不注意が原因となることが多く、安全対策の強化が求められています。
セルフスタンドは便利な反面、操作が複雑に感じられることもあり、特に高齢の方にとっては戸惑う場面もあるかもしれません。
セルフスタンドの現状と高齢者の課題
セルフ式ガソリンスタンドは、ドライバー自身が給油を行う形式です。正しい操作方法や安全対策を理解していないと、事故の原因となる可能性があります。特に高齢の方にとって、セルフスタンドの操作は複雑に感じられることがあり、実際に給油中の事故も報告されております。
自動車教習所における給油方法の指導
自動車教習所では、運転に必要な基本的な技能や知識を指導しています。しかしながら、給油方法については教習カリキュラムに含まれていない場合が多いようです。これは、各都道府県の公安委員会が定める指導要領に給油方法の項目が存在しないためと考えられます。
高齢者講習と認知機能検査について
運転免許証の更新時、高齢者講習の受講が義務付けられています。これらの講習では主に運転技能や適性検査の検査が行われますが、給油方法の指導は含まれていない場合が多いようです。高齢者講習では合否の判定はなく、受講後、「高齢者講習終了証明書」が交付されます。
また、運転免許証の更新期間満了日の年齢が75歳以上の方は、高齢者講習に加えて認知機能検査が必要です。認知機能検査は、安全運転に必要な記憶力や判断力を測定する検査です。検査の結果、「認知症のおそれあり」と判定された場合は、臨時適性検査などの医師の診断を受けることになります。その結果によっては免許の取消しや停止の処分が行われます。

セルフスタンドでの安全な給油のポイント
セルフスタンドを安全に利用するためには、以下のポイントに注意することが重要です。
- エンジンを停止する:給油前に必ずエンジンを停止する。
- 静電気を除去する:給油前に静電気除去シートに触れる。(引火のリスクを低減)
- ノズルを確実に差し込む:給油ノズルは給油口にしっかりと差し込み、確実に固定する。
- 注ぎ足し給油をしない:タンクが満タンになったら、それ以上の給油はしない。
- 給油キャップを確実に閉める:給油後は、給油キャップを確実に閉める。
これらのポイントを守ることで、セルフスタンドでの事故を防ぐことができます。
高齢者へのサポートと教育の必要性
高齢者が安心してセルフスタンドを利用できるよう、以下のような取り組みが求められます。
- 操作方法の再確認:スタンドのスタッフが積極的に声をかけ、操作方法を丁寧に説明することで、不安を解消。
- 簡易な操作ガイドの提供:文字が大きく、わかりやすいイラスト付きの操作ガイドを用意する。
- 定期的な安全講習の実施:地域のコミュニティと連携。高齢者向けの給油操作や安全対策に関する講習会を開催する。
まとめ
セルフスタンドの普及に伴い、高齢者の方々が安全に利用できる環境づくりが重要となっております。スタンド側の設備や対策の充実、スタッフによるサポートが求められます。また、高齢者自身の学び直しの機会など、多方面からの取り組みも必要ではないでしょうか。