トリカブトとニリンソウの違いとは?

トリカブトとニリンソウの違いとは 農業

春の山菜採りシーズンには、自然の恵みを楽しみに多くの人が山や野に足を運びます。しかし、食用とよく似た毒草を誤って採取し、食中毒になるケースが毎年報告されています。特に注意すべきなのが、「トリカブトとニリンソウの誤認」です。


トリカブトとは?有毒植物の代表格

トリカブト(鳥兜)は、キンポウゲ科トリカブト属の多年草で、日本全国の山地に広く分布しています。特に標高の高い湿った場所や林道沿い、沢沿いなどに自生しています。

トリカブト
若芽

トリカブトの特徴

  • 花の時期:夏から秋にかけて
  • 花の色:青紫色
  • 葉:深く切れ込みがある掌状(てのひら型)、光沢がある
  • 茎:赤みを帯びることがある
  • 根:芋状の塊根(特に毒性が強い)

トリカブトの毒性

アコニチン」という強い神経毒が含まれており、わずかな量でも致命的になることがあります。摂取後はしびれや吐き気、呼吸困難、心停止などを引き起こすことがあります。

トリカブトが使われた事件:トリカブト保険金殺人事件

トリカブトの毒性が一般に知られるきっかけの一つとなったのが、1986年(昭和61年)に発生した「トリカブト保険金殺人事件」です。

この事件では、アコニチンを凶器として使った殺人が行われ、保険金の受け取りを目的とした計画的な犯行として社会に衝撃を与えました。被害者の血液などを行政解剖時に保存していた医師の判断が後に決定的な証拠となり、毒物による殺害が立証されました。

この事件は、日本国内においてトリカブトが明確に“殺人の凶器”として使われた稀な例であり、トリカブトの危険性が社会的にも強く認識される契機となりました。


ニリンソウとは?春の山菜として人気

ニリンソウ(二輪草)は、同じくキンポウゲ科の多年草ですが、トリカブトとは異なり、食用として知られる安全な山菜です。

ニリンソウ
若芽

ニリンソウの特徴

  • 花の時期:春(4月〜5月)
  • 花の色:白色、小さな花が2輪咲く(これが名前の由来)
  • 葉:トリカブトとよく似た掌状で切れ込みがあるが、やや柔らかく光沢が少ない
  • 茎:緑色で細い
  • 根:繊維状で細い

トリカブトとニリンソウの見分け方まとめ

特徴トリカブトニリンソウ
葉の形状深い切れ込み、厚くて光沢あり切れ込みは浅め、やや薄くマット
茎の色赤みがかることがある緑色で細い
花の色青紫色白色
花の時期夏〜秋
匂いほぼ無臭若干の青臭さあり
毒性強い毒あり(アコニチン)食用として安全

特に注意すべきなのは、花が咲く前の若葉の状態では非常によく似ている点です。山菜採り初心者にとって、葉の見た目だけで安全かどうかを判断するのは非常に危険です。


誤認による事故が発生しています

2025年4月には、神奈川県で60代の女性がトリカブトをニリンソウと誤って採取し、自宅でおひたしにして食べたところ、食中毒症状を発症して緊急搬送される事故が発生しました。

幸い命に別状はなかったものの、全国的にみても過去10年間で9件のトリカブトによる食中毒が発生し、死亡例もあると報告されています。


トリカブトとニリンソウ以外にも注意すべき山菜

ニラとスイセンの誤認

スイセンは見た目がニラに似ていますが、強い毒性があります。スイセンには「リコリン」という毒が含まれ、加熱しても無害化されません。

セリとドクゼリの誤認

ドクゼリは猛毒植物で、セリに酷似しています。湿地に自生しており、葉の見た目や香りが似ているため、誤認例が後を絶ちません。


山菜採りで守るべき3つのルール

  1. 知らない植物は採らない、食べない
  2. 図鑑や専門家と照らし合わせて確認する
  3. 経験者と一緒に行動する

まとめ:山菜採りは正しい知識が必要

山菜採りは自然とのふれあいを楽しめる素晴らしい体験ですが、植物に対する確かな知識と判断力が求められます。特にトリカブトのような有毒植物を誤って摂取すると、命に関わることもあるため、絶対に安易な判断は避けるべきです。

安全な山菜採りを楽しむために、常に慎重な行動と確認を心がけましょう。

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この記事を書いた人
Rouma

日々のニュースやSNSの話題できになることを中心に、感じたことや、役立った情報をお届けしています。

新聞配達、データ入力、動物病院の助手、ペット用品の販売、製薬会社や銀行での派遣事務など、さまざまなお仕事を経験。現在は在宅で事務代行をしながらライターとして活動しています。

小学生の子供と柴犬に癒される日々です。

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