2025年8月11日、日本マクドナルドは公式サイトにて、ハッピーセット「ポケモン」販売における混乱と不適切な行為について謝罪しました。
販売初日から一部顧客による転売目的の大量購入、食品の放置・廃棄などが相次ぎ、SNSや報道で社会問題化したことを受けての対応です。
転売騒動を受け、日本マクドナルドが公式謝罪
声明ではまず、「日頃よりマクドナルドをご利用のお客様にご不便をおかけしてしまったことに加え、店舗で働くクルーの皆様、近隣にお住いの住民の皆様、テナント入居先のオーナーの皆様に多大なるご迷惑をおかけしましたことを、深くお詫び申し上げます。」と謝罪の意を表明しました。
マクドナルド公式:ハッピーセット®販売に関する大切なお知らせと当社の対応について
マクドナルドが発表した再発防止策の全貌
謝罪と同時に、今後の再発防止策として複数の具体的な取り組みが発表されました。
① 厳格な販売個数制限の導入
従来の「1会計につき○個まで」という店舗任せの制限を、全国一律で強化。
さらに、モバイルオーダーやデリバリー注文にも同じ制限を適用します。
これにより、来店とアプリ注文を組み合わせた“制限回避”が困難になります。
② 制限超過や不正購入への販売拒否
- 同一人物による制限を超えた購入
- 繰り返しの購入を目的とした行列並び直し
- 威圧的・迷惑行為を伴う注文
こうした行為に対しては、店舗裁量で販売を拒否できるよう明文化。
さらに悪質な場合はアプリの利用停止や退会処理を行うと警告しました。
③ フリマアプリ運営会社との連携
マクドナルドは、転売抑制のための情報共有をフリマアプリ各社と継続。
特にカードやおもちゃの大量出品を監視し、企業間での協力体制を強化するとしています。
④ 店舗スタッフへのサポート強化
販売現場で混乱が起きないよう、全国の店舗に向けたマニュアルを刷新。
制限説明や不正行為対応の指示を明確化し、スタッフへの心理的負担軽減も図ります。
騒動の背景:なぜ販売初日に混乱したのか
謝罪の裏側には、予想を超える人気と転売市場の存在があります。
- 販売初日、都内や都市部の店舗では開店1時間前から行列
- カードだけ抜き取られ、食品が路上に放置されるケース多数
- フリマアプリで1パック数千円〜1万円超の高額取引
SNSでは「子ども向けの企画が転売ヤーの餌食になっている」と批判が集中。
今回の謝罪は、こうした世論の高まりにも応じた形です。
再発防止策の効果と課題
今回の販売制限は、短期的には大量購入や食品廃棄の防止に効果が見込まれます。
一方で、人気商品の限定販売という構造的な課題は依然として残ります。
- 購入制限をすり抜ける手口への対応はイタチごっこになりやすい
- 転売価格の高騰は需要の高さが続く限り完全には防げない
- 真に欲しい子どもたちへの公平な配布方法(抽選・事前予約)が必要
マクドナルドは、次回以降のコラボでもこの教訓を生かす必要があります。
現場で目撃された“衝撃の光景”とは?
① 開店前の“スマホ列”と買い占め行為
東京都内の店舗では、開店1時間前に20人以上が行列を形成。中には折りたたみ椅子を持ち込み、スマートフォンで転売価格をこまめにチェックしながら待機する光景も。その後、複数人で協力しながら並び直し、購入枠を最大限に使おうとする動きも確認されています。
② カードだけ抜き取り“放置”される食品
商品のカードやおもちゃだけを取り出し、ハンバーガーやポテトを残して去る客が多数発生。路上や店舗内に“置き去り”となった食品は、大量の廃棄につながりました。実際に店舗スタッフや近隣住民からは、「ゴミの山を見た」「残された食べ物が通路に散乱していた」といった目撃報告が相次いでいます。
③ 高額転売マーケットの活況
販売から数時間でフリマアプリには同一商品が大量に出品され、「未開封10個セット」など高額商品も登場。1パック(カード2枚)で300パックが数十万円規模の取引となるケースもあったそうです。
④ 店舗スタッフの疲弊——制限説明もままならず
モバイルオーダーによる大量注文、子どもを使った購入など、様々な制限回避を試みる動きで、現場スタッフは対応に追われました。元店員の証言には「“売れればいいのか”という葛藤すらあった」「ルール違反の客対応に心が折れそうだった」といった声もありました。
企業姿勢が問われる時代へ
今回のマクドナルドの対応は、「売れればいい」から「誰にどう売るか」へという転換点とも言えます。
消費者の信頼を守るためには、謝罪だけでなく、継続的な改善が求められます。
転売文化や限定商法のあり方は、今後も大手企業にとって避けて通れないテーマです。
そして今回の騒動は、「企業が誰のために商品を届けるのか」を改めて考えさせる出来事になりました。
