「子育てケアマネ」は本当に必要? 〜支援策への期待と懸念〜

「子育てケアマネ」は本当に必要? 〜支援策への期待と懸念〜 教育・育児

2025年5月5日の「こどもの日」に合わせ、三原じゅん子こども政策担当大臣は、5月5日からの1週間を「こどもまんなか児童福祉週間」と位置づけ、社会全体で子育てを支える機運を高めたいと述べました。
その中で注目を集めたのが、「子育てケアマネ」導入に関する話題です。

「子育てケアマネ」とは何なのか、また、その制度は本当に必要なのか。
この記事では、基本情報と現在のネット上での議論を整理し、一般市民の立場から考察してみたいと思います。


ケアマネジャーとは?

そもそも「ケアマネジャー(介護支援専門員)」とは、高齢者や障害者が自立した生活を送るために、必要な介護サービスを計画し、適切な支援を調整する専門職のことです。
利用者本人の状況を詳しく把握し、介護事業者や医療機関と連携を取りながら「ケアプラン(介護サービス計画)」を作成・管理します。

ケアマネージャーは、単なる「案内役」ではありません。
本人と家族の希望を汲み取りながら、生活全体を見通した支援をデザインする重要な役割を担っています。

この仕組みを「子育て」の分野にも応用しようというのが、「子育てケアマネ」の発想です。


子育てケアマネとは?

「子育てケアマネ」とは、妊娠初期から出産、育児に至るまで、一貫して子育て家庭を支援する専門家を指します。
母子保健や福祉、教育の知識に精通した担当者が、各家庭に寄り添いながら必要な助言と情報を提供する役割を担うとされています。

  • 妊娠中の不安
  • 出産後の育児負担
  • 孤立した子育て
    などを早期にキャッチし、支援につなげることで、虐待予防や母子の健康維持にも役立てたい考えです。

さらにこの制度は、「必要な家庭だけ」ではなく、「すべての家庭」を対象とすることを想定しています。
これにより、表面化しづらい困りごとも拾い上げ、支援の網の目からこぼれ落ちる家庭を減らしたいという狙いがあります。

子育てケアマネいつから?

「子育てケアマネ」という構想自体は、ここ最近になって急に持ち上がったものではありません。
背景には、少子化対策を強化するための一連の動きがあります。

特に注目されたのは、2023年12月に政府が発表した「こども未来戦略方針」です。
ここで、「すべての妊産婦・子育て家庭に対する伴走型支援の強化」が盛り込まれ、
それを具体化する手段の一つとして、「子育てケアマネ」の役割が議論されるようになりました。

また、2024年に入ってからは、推進を求める民間団体や一部の国会議員が、
今後3年以内に子育てケアマネ制度を全国展開できるよう目指す」と表明。
これを受け、具体的な制度設計に向けた検討が始まった段階にあります。

つまり、「子育てケアマネ」は、2023年末〜2024年初頭にかけて徐々に構想が表面化し、
2025年現在、導入に向けた議論が本格化しつつある、というのが正確な流れです。

ただし、現時点では制度の詳細も予算も決まっておらず、
本格導入までにはなお多くの課題が残されている
のが実情です。


子育てケアマネは本当に必要なのか?

しかし、「全家庭に子育てケアマネ」という構想には、多くの疑問や懸念も寄せられています。

1. 人手不足の懸念

現在ですら、介護分野のケアマネジャーは人手不足が深刻です。
子育て分野においても、新たに十分な数の専門職を確保するのは容易ではないでしょう。
特に地方部では人材確保がさらに難しく、制度が絵に描いた餅になってしまう懸念があります。

2. 「薄く広く」支援になるリスク

支援対象を「全家庭」とした場合、リソースが分散してしまい、
本当に支援が必要な家庭(たとえば重度障害児を育てる家庭や、虐待リスクが高い家庭など)への手厚い支援が手薄になる恐れも指摘されています。

「薄く広く」支援を広げるより、「深く重点的に」支援が必要な家庭を見極めて手厚く支援すべきだという声も強いです。

3. そもそも求められている支援とズレている?

多くの子育て世帯が本当に望んでいるのは、

  • 所得制限のない児童手当
  • 年少扶養控除の復活
  • 消費税の減税
  • 教育費の軽減
    など、経済的な支援です。

日々の生活が苦しい中で、「子育てケアマネをつけます」と言われても、
「ありがたい」と感じる家庭ばかりではないというのが実態です。


ネット上での反応

実際に、SNSや掲示板では以下のような声が多く見られます。

  • 「人手が足りない中で全家庭に?現場はますます疲弊するだけでは」
  • 「そんな制度より、手取りを増やしてほしい」
  • 「検診や予防接種のときに相談できる窓口があれば十分」
  • 「“全家庭対象”じゃなくて、本当に困ってる家庭に重点支援を」

また、「子育てケアマネ」が担当する役割と、すでに存在する母子保健師、子育てコンシェルジュ、子育て支援員などとの違いが不明確なことも、混乱を招いています。
新しい肩書きだけ作って、現場が混乱するのではないかという不安の声も少なくありません。


まとめ:本当に必要な支援とは何か

「子育てケアマネ」は、妊娠・出産・育児期の不安を減らし、孤立を防ぐという理念に基づく取り組みです。
確かに、孤独な子育てを防ぐためには何らかの伴走支援が重要でしょう。

しかし一方で、

  • 制度設計の不備
  • リソース不足
  • 支援対象と内容のズレ
    といった課題が山積しているのも事実です。

子育て支援は「理想」を語るだけではなく、
実際にどれだけ役立つか、現場が疲弊しないか、持続可能か――冷静な議論が必要です。

また、現時点で多くの家庭が求めているのは、生活を支える「経済的支援」です。
所得制限の撤廃、年少扶養控除の復活、消費税の減税といった、直接的なサポートこそ、まずは最優先で議論すべきではないでしょうか。

今後、「子育てケアマネ」について具体的な制度設計が進む中で、
本当に困っている家庭を確実に支え、支援の網の目から誰一人取りこぼさない仕組みが求められています。

国や自治体が机上の空論にとどまらず、現場の声にしっかり耳を傾けながら、
真に必要な子育て支援を構築していくことを期待したいと思います。

教育・育児
この記事を書いた人
Rouma

日々のニュースやSNSの話題できになることを中心に、感じたことや、役立った情報をお届けしています。

新聞配達、データ入力、動物病院の助手、ペット用品の販売、製薬会社や銀行での派遣事務など、さまざまなお仕事を経験。現在は在宅で事務代行をしながらライターとして活動しています。

小学生の子供と柴犬に癒される日々です。

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