高速道路での逆走は、毎年全国で約200件発生しており、そのうち約2割が事故につながっています。
特に高齢ドライバーによる逆走が多く、深刻な社会問題となっています。
本記事では、逆走の原因や傾向、逆走してしまった場合、逆走に遭遇した場合や違反点数などについて解説し、逆走事故を防ぐための対策を考察します。
なぜ逆走事故が起きるのか?
誤進入による逆走
最も多い原因は、一般道から高速道路への誤進入です。インターチェンジやジャンクションの分合流部・出入口部での進行方向の誤認が多く、全体の約37%を占めています。
意図的な逆走
目的のインターチェンジを通り過ぎた際に、Uターンして戻ろうとするなど、意図的に逆走するケースもあります。しかし、高速道路上でのUターンやバックは非常に危険であり、絶対に避けるべき行為です。
高齢ドライバーの認知機能低下
逆走事故の約68%は65歳以上の高齢者によるもので、特に75歳以上が46%を占めています。認知症などによる判断力の低下が原因とされており、逆走していることに気づかないまま走行を続けてしまうケースがあります。
逆走の傾向と発生場所
逆走は、全国の高速道路で概ね2日に1回の頻度で発生しています。発生場所としては、分合流部・出入口部が最も多く、次いで直線やカーブなどの単路部、料金所の前後でも多く発生しています。
高速道路での逆走の違反点数と罰則
高速道路での逆走は、道路交通法第17条に基づく「通行区分違反」として処罰されます。普通車の場合、違反点数は2点、反則金は9,000円です。
ただし、逆走によって事故を起こし、人を死傷させた場合は、自動車運転過失致死傷罪が適用され、7年以下の懲役または100万円以下の罰金が科される可能性があります。
逆走事故を防ぐためには
明確な標識と路面表示の整備
進入禁止の標識や路面表示がわかりにくいとの意見が多くあります。
高齢者にも見やすい大きさや色使い、夜間でも視認性の高い反射材の使用など、標識や路面表示の改善が求められます。
高齢ドライバーへの対策
高齢者による逆走が多いことから、運転免許の更新時に認知機能検査を強化するなど、高齢ドライバーへの対策が必要です。また、家族や周囲の人々が高齢者の運転状況に注意を払い、必要に応じて運転を控えるよう促すことも重要です。
車両の安全装置の活用
近年、逆走を検知して警告する車両の安全装置が開発されています。これらの装置を活用することで、逆走の早期発見と事故の防止が期待されます。
もし逆走に気が付いたらどうすればよいか
もし自分が高速道路で逆走してしまったと気がついたら、すぐに次の行動をとることが大切です。
① 路肩に安全に停車する
- 急ハンドルや急な方向転換は絶対にしないでください。(向きはそのままで)
- ハザードランプを点灯し、後続車に注意を促しながらできるだけ安全な場所(路肩など)に停車します。
② 安全な場所に避難する
- 高速道路上では、車外に出ることが非常に危険です。
- ガードレールの外側など安全な場所に避難してください。
③ 通報する
- 警察(110番)また、非常電話で通報します。現在地や状況をできるだけ正確に伝えます。
- 「〇〇高速道路の〇〇IC付近で逆走してしまった」など、分かる範囲で伝えましょう。
【絶対にやってはいけないこと】
- 自力でUターンしようとする
- バックして元の道に戻ろうとする
- 車外に出て歩いて戻ろうとする
これらはさらなる事故を引き起こす危険が極めて高い行為です。
逆走車に遭遇した場合の対処法
逆走車を目撃した場合、警察庁は以下の対応を推奨しています。
- スピードを落として十分な車間距離をとって走行する。
- 前方に逆走者を発見した場合は、衝突を避けるように注意して走行。
- 同乗者からの110番か、最寄りのサービスエリア等の非常電話から通報する。
まとめ
高速道路での逆走事故は、運転者の判断ミスや認知機能の低下など、さまざまな要因で発生しています。特に高齢ドライバーによる逆走が多く、深刻な問題となっています。逆走事故を防ぐためには、標識や路面表示の改善、高齢ドライバーへの対策、車両の安全装置の活用など、多方面からの取り組みが必要です。また、逆走車に遭遇した場合は、冷静に対応し、安全を最優先に行動することが重要です。
安全な高速道路の利用のために、運転者一人ひとりが注意を払い、逆走事故の防止に努めましょう。