2025年4月22日、政府は物価高騰対策として、5月22日よりガソリン価格を1リットルあたり10円引き下げると方針を固めた。これに加え、夏季の冷房需要を見据えて、電気・ガス料金への補助金も7月から9月にかけて再開される方針です。これらの対策は、国民の生活負担を軽減することを目的としていますが、短期的措置にとどまらず、根本的な税制改革の必要性を訴える声も強まっています。
ガソリン価格補助の見直しと新方針
今回の対策では、石油元売り会社への補助金支給を通じてガソリン価格を実質的に引き下げる仕組みが維持されます。ただし、これまで設定されていた価格目安(全国平均で185円程度)に依存せず、今後は価格の高低にかかわらず、1リットルあたり10円を固定で引き下げる新方式に移行します。
この補助制度は、2022年1月から開始されたもので、当初は短期的な措置として位置付けられていましたが、原油価格の不安定さや為替変動の影響により、延長と拡充を繰り返してきました。補助金の財源には既存のガソリン補助金向けの基金が活用され、新たな補正予算の編成は行わない方針です。
電気・ガス料金補助の再開
今年3月で終了していた電気・ガス料金への補助も、夏の猛暑を見据えて再開されます。昨年と同様に、一般家庭向けの低圧契約や小規模事業者向けの高圧契約が補助の対象となります。
2024年の実施例では、電気料金は1キロワット時あたり4円、ガス料金は1立方メートルあたり30円の補助が行われました。今回も同様の仕組みが想定されますが、エネルギー価格の下落傾向を踏まえて補助額は前回より引き下げられる可能性が高く、5月中には具体的な補助額が決定される予定です。
補助に必要な財源には、2025年度予備費(約7,000億円)が充てられる予定で、国会での新たな審議を経ることなく迅速な実施が可能と見られています。
コストコのガソリン価格が安い理由とそのメリット
ガソリン価格高騰への対策として、コストコのガソリンスタンドの存在も注目されています。全国の一般的なスタンドに比べ、コストコのガソリンはリッターあたり10円から20円程度安い価格で提供されており、家計にやさしい選択肢として人気です。
その理由は主に、(1)会員制による販売コストの削減、(2)大量仕入れによるコスト低減、(3)利益率を抑えた価格設定にあります。特に、普段から車の利用が多い家庭や、営業車を保有する企業にとって、コストコのガソリン価格は大きな節約につながります。
ただし、コストコの利用には年会費が必要であり、スタンドのある店舗も限られているため、恩恵を受けられる層は一部にとどまります。それでも、近隣に店舗がある家庭にとっては非常に魅力的な選択肢であることは間違いありません。
税制改革とトリガー条項の再考を求める声
ガソリン価格の引き下げに関して、補助金政策だけでは限界があるという指摘もあります。特に「トリガー条項」の凍結解除を求める声が強まっており、これはガソリン価格が一定水準を超えた際に燃料税の一部(暫定税率)を自動的に停止する仕組みですが、2011年代以降、災害復興財源などの理由で凍結されたままです。
また、消費税の引き下げや廃止を求める声も根強く、日本共産党などは消費税率を一時的に5%に引き下げる案を提示しています。消費税廃止によってGDPを2.0%押し上げるという経済効果の試算もある一方で、社会保障制度の維持の観点からは慎重な議論が必要とされます。
まとめ:短期対策だけでなく中長期的視野を
今回のガソリン価格10円引き下げと電気・ガス料金補助の再開は、国民の生活支援として歓迎される施策です。しかし、その一方で、根本的な課題解決には至っていないとの指摘も多くあります。将来的には、エネルギー政策や税制の抜本的な見直しが避けて通れないでしょう。
政府には、今後も透明性のある情報提供と、持続可能で公平な社会を実現するための制度設計が求められています。